蒼空学園

　イルミンスール魔法学校、校長室。明日は年明け。

「……何だよ。変なもん配るなって。うるせぇな」
「何も問題ねぇだろ。オレ達はみんなが最高の初夢が見られたらいいと思っただけで」
　悪戯好きの双子ヒスミ・ロズフェル（ひすみ・ろずふぇる）とキスミ・ロズフェル（きすみ・ろずふぇる）は渋い顔でエリザベート・ワルプルギス（えりざべーと・わるぷるぎす）とアーデルハイト・ワルプルギス（あーでるはいと・わるぷるぎす）をにらみました。
「確かにまともそうじゃな。きちんと裏に使用上の注意も書かれておるし」
　アーデルハイトの手には兄弟から取り上げた紙束がありました。
　兄弟が廊下で行き交う人に札を配布していたのを見かけたアーデルハイトが悪さをしているのではと思い、配布物を取り上げて校長室に連行したのです。
「必ず夢を見させる夢札ですか。面白そうですね〜」
　エリザベートは札の裏書きに目を通しながら言いました。

「じゃ、配ってもいいよな」
「ほら二枚！　ということで行くぞ、ヒスミ」
　検閲が通った事を確認するなりヒスミはアーデルハイトから紙束を奪い取り、キスミは夢札を二枚エリザベート達に押しつけました。
　兄弟はイルミンスールでの配布が終わるなり、他の場所へと労力を惜しまず楽しげに配布しに行きました。

　夜。夢札を枕の下に忍ばせ初夢となる夢を見せる時。

　ロズフェル兄弟の夢。
　春夏秋冬、昼夜めちゃくちゃの世界、上に下に奇妙な動物や機械が徘徊しています。

「うはー、すげぇな、キスミ」
「オレ達、同じ夢を見てるんだな」
　二人は楽しげに世界を見回します。
「よし、誰かの夢に行くか」
「だな、ヒスミ」
　自分達の夢に満足出来ず、二人は誰かの夢へ散歩に出かけました。
　最初の行き先は……。

　エリザベートの夢。
「賑やかですぅ」
　エリザベートは騒がしい祭りのパレードを眺めていました。
　そこに
「ここにおったのか。賑やかじゃな。私の夢はいつもと変わらず愚かな双子の説教が待っておった」
　アーデルハイトが現れました。自身の夢は悪戯をするロズフェル兄弟を説教する夢だったのです。

「……夢でも同じみたいですぅ」
　エリザベートはざわついている行列を指さしました。
「……あれは」
　アーデルハイトの視線が動きます。その先には見覚えのある少年二人。

　エリザベート達が気付いたと同時に
「……キスミ、発見されたぞ」
「別の夢に移動だ！」
　ロズフェル兄弟達もエリザベート達に気付き、別の夢に行くべくぱっと姿を消してしまいました。

「エリザベート、追いかけるのじゃ」
「面白い事になったですぅ」
　エリザベート達も姿を消し、楽しみながら追跡を開始しました。

　シナリオ担当の夜月天音です。未熟ながらここまで来る事が出来たのは皆様のおかげです。本年は本当にありがとうございました。
　今回の舞台は夢です。ロズフェル兄弟から皆様への日頃の感謝が詰まったお年玉です。夢なのでご都合主義や救いがない夢など何でも構いません。自分達の夢をたっぷりと満喫するのもよし、他人の夢へお邪魔するのもよし、双子を追跡し現実よりも痛いお仕置きをするのもよし、好きなように過ごして下さい。


【夢札（札の裏書き）について】
・枕下に忍ばせる事によって確実に使用者に夢を見せる札です。効果は一回限りで目が覚めたら終わりです。

・札使用者間の夢干渉は出来ますが、夢特有の道具は他の夢へ持ち込む事は出来ず、道具は消滅してしまいます。

【夢の中について】
・夢なので人や物など様々な姿、天地が逆さまなど有り得ない世界など問題ありません。当然、良い夢や悪夢、死亡夢、過去夢、未来夢、場面の
　移り変わりが激しい夢などどのような設定でも構いません。

・人型以外時、使用しても特に問題が無さそうなアイテムやスキルは使用出来ます。

・他人の夢へ干渉する際、その夢に沿った姿に変わります。

・他人の夢に干渉されたい方につきましては、基本的にＭＣ・ＬＣ間、もしくはグループアクション（お互いのアクションに、干渉したいＰＣ名とＰＣＩＤを
　書く＝双方の同意が必要）でお願いします。

・ＭＣとＬＣが別々の夢を見るか同じ夢を見るかは自由ですが、夢札の力のためＭＣは自分の夢を楽しみ、ＬＣが双子追跡に行くというように別行
　動を選択する事は出来ません。

・奈落人の場合、憑かれた人と憑いた人の夢が混じり合ったものになります。

【ロズフェル兄弟とエリザベート達の動向について】
・ロズフェル兄弟は他人の夢へと干渉して回り、エリザベート達はロズフェル兄弟を追うついでに他人の夢に寄り道します。声をかければ同行など
　もしてくれます。

・四人の来訪の有無はアクションに記載お願いします。無い場合は、マスターの方で決定させて頂きます。

・夢の放浪者

・夢の追跡者

・自分の夢を楽しむ