蒼空学園

　雪が夕日にちらつきながら空を舞っている、そんなある日のこと。
　河原の近くの街道を二人の男女が歩いていました。
「ほら、手をポケットに入れて歩かないの！」
　キロス・コンモドゥス（きろす・こんもどぅす）が手を突っ込んでいるコートのポケットに夏來　香菜（なつき・かな）が視線を注ぎました。
「手を出したら寒いだろうが。委員長かお前は！」
「転んだら危ないでしょ」
「俺は転ばねぇよ」
「転ぶわよ」

　喧嘩をする二人の後ろでカチャリと何かが落ちる音がしました。
「ん？」
「どうした？」
　香菜が足元を見ると、小さな鎖が落ちています。細い鎖はネックレスのようにも見えました。
「落し物かな……」
　香菜は不思議そうに屈んで、鎖を手に取りました。先端には蒼い結晶が付着しています。
　
　「ねえ、キロス？これって誰のだろう？」
「どうでも良い……」
　立ち止まって鎖を眺める香菜を置いて、視線を落とすこと無くキロスは歩き出しました。
「待ちなさいよ」
「早くしろ」

「おい、早く――」
　キロスが振り返った先は、雪が降る道だけがありました。
「おい？」
　河原に目を走らせますが、香菜がいる気配はありません。
「どこ行きやがった？」

　「消えた？」
「ああ……」
　苛立った様子でキロスは山葉　涼司（やまは・りょうじ）に頷きました。壁に寄りかかり窓から空を睨み付けています。
「何か鎖みたいな物を拾った後だった」
「物はあるのか？」
　高円寺　海（こうえんじ・かい）が尋ねるとキロスは無造作に放ります。
「……」
　それは放物線を描いて海の手の中に落ちました。
「これか？」
「あいつが居なくなった場所に落ちていた」
「細い鎖に……氷結晶？」

　「此処は……」
　村の中に香菜は独り佇んでいました。ぽつぽつと民家が見えます。
　ちらほらと香菜の傍を人が通り過ぎていきますが、雪が時折強く散っている所為で視界が判然としません。
「あの――」
　「お姉さん、地球人だよね？」
「キロス……？」
　屋根の上から不意に声を掛けられました。民家の屋根を見上げると、白髪の青年がこちらを見下ろしています。
「え？」
「お姉さんは地球人だよね？」
「……そうだけど」
　目を細め、雪の中の青年を見ようとするが顔が良く見えません。
「へえ、やっぱりそうなんだ」
　訝しむ香菜の返事を聞くと満足そうに青年は頷きました。　
「ちょっと助けて欲しいんだけど」
「助ける？貴方を？」
「僕じゃない。彼女を助けて欲しいんだ」
「彼女？」
「ずっと氷の中に閉じ込められている」
「氷の中に？」
「そう、頑張ってるんだけどなかなか氷が融けなくてね」

　「何処にその人はいるの？」
　香菜の返事を聞いて、青年は薄く笑いました。
「助けてくれるの？」
「良いわよ、助けたいんでしょ？」
　青年は屋根から飛ぶと、香菜の前に静かに着地しました。
「案内するよ。僕はハンス、ハンス・グリムス」
「私は香菜よ」
「宜しく、香菜。……彼女は向こうだ」
　雪の積もる森の奥をハンスは視線で指しました。

　「……」
　香菜達が森の中へ入っていくと、先ほどまで人だった物が崩れ雪へと還っていきます。
「……ふ」
　雪に与えた魔力が消えるのを確認し、人知れずハンスは笑います。

　「地球人に反応している……？」
　海に触れた鎖は薄っすらと淡い光を放っていました。
「貸せ」
　キロスが鎖を掴むと、光は消えていきます。
「コントラクターがその鎖に触れると反応するようだな」
「キロス。海と一緒に香菜が消えた場所へ行ってこい。コントラクターに触れていれば、お前も向こうに引っ張られる筈だ」
「あんたは？」
「俺はここで待たせてもらう。帰ってきたのに待つ人が居ないのは寂しいだろ？」

　こんにちは。お久しぶりです、村野憂規です。
　宜しく御願い致します。　

　キロスと海の目的は、香菜を向こうの世界から連れて帰ることです。
　ハンスは村にいた人々の代わりに魔法で雪人形を配置していますので、村の雪人形退治も含みます。

　向こうの世界に行く方法として、ＰＣ達は香菜と同様に親切心から街道で鎖を拾ったことにより向こうの世界へ行くことになります。

　今回扱う雪人形について説明します。
　雪人形達は村人達を模して作られています。雪人形達は普段の村人の生活を真似て行動を行っているため、
　最初はＰＣ達は村にいるのが雪の人形だと気付きません。
　ただ、ハンスの魔法は人の形を維持するために大半を使用しているため、熱に強くありません。
　その為、雪の降るこの寒い時期にも暖房器具や温かい飲み物等は身体の維持に影響を与えてしまいます。
　雪人形達と人の違いはその生活の様子から気付く形になります。

　雪人形達はハンスの命令によって動いているので、雪人形の存在がばれた場合はその対象を消そうと襲ってきます。
　村人達が村に戻る場合は、同じ人間が其処に同時に存在することになるので雪人形の基となった人間を排除しようとします。
　ハンスの邪魔をする場合も邪魔者を排除しようとします。

　アクションを掛ける際、真相について予想して書かれるといいと思います。

アクションとしては、以下の様なものが考えられます。

1.ハンスについて行く
2.村周辺の人達から情報を集める
3.居なくなった村人を探す
4.キロス達と一緒に調査する
5.雪人形を討伐する

　それでは宜しくお願い致します。

　

・海と一緒に調査を行う

・キロスの護衛をします