蒼空学園

　ツァンダではあちこちで桜が開花し、今まさに絶好の花見日和となっていました。

　満開の桜の木が立ち並ぶ『お花見スポット』では沢山の花見客が花見を楽しんでいます。

　蒼空学園の近くにも、そんなスポットが一つ。

　『桜花公園』では、その名の通り公園中に植えられた桜が満開を迎えていました。



　しかし……。



「これは……、一体どういうことだ？」

　お花見に来た馬場　正子（ばんば・しょうこ）が困惑した表情で呟きます。

　公園に来ている花見客は皆酷い有様でした。

　誰も彼もが泥酔した様子で、足取りのおぼつかない者や、地面に寝転がって動かない者。大声で笑いながら他人に酒を浴びせたり、更には、凶暴悪質な顔つきをしたパラ実の生徒らしきモヒカンが、「ヒャッハー！」と鳴きながらハリセンを振り回していたりと、非常に混沌としています。

　そして馬場は見ました。酔っぱらいの一人が散歩をしていた男性にお酒らしき者を無理やり飲ませると、飲まされた男性が一瞬の内に泥酔状態になり、同じように他人に酒を飲ませ始めたのです。



　更に、酔っぱらいの群れの中にメルヴィア・聆珈（めるう゛ぃあ・れいか）の姿もありました。

「あ、あの、メルヴィア少佐、今は仕事中でして……」

「にゃんだとぅ〜。わたしの酒が飲めねぇってのかぁ〜？」

　完全に酔っ払った様子のメルヴィアは拒否する部下らしき男性の口に、無理やり酒らしき物が入ったコップを押し付けます。

「がふっ！？」

　飲まされた男性はすぐさま酔っぱらい、大笑いするメルヴィアの前で踊りだしました。

　実は彼女、用事があってツァンダを訪れていたのですが、偶然この公園の横を通りかかった際に泥酔して暴れている一団を発見。

　注意しようと近寄った所いきなり酒のような物を飲まされ……そして今に至ります。



「あの液体、どうやらただの酒では無さそうだな……。おぬし達、調べてくるのだ」

「は、はいっ！」　

　正子の指示を受け、一緒に花見に来ていた生徒達が謎の液体の調査を始めます。

　ややあって、二人の生徒が小さな子供を連れて戻ってきました。

「校長、こいつが原因みたいですよ。何でも桜の精霊だとか」

「ほう、精霊とな？」

　生徒に両腕を掴まれふてくされた様子の少女は言います。

　人間達が自分の桜の下で勝手にお祭り騒ぎを始めたのが気に食わなかったこと。そして桜のエキスを使った特製の『桜酒』を使い、花見に来ていた客達を酔わせた事。

　どうやらこの『桜酒』、普通のお酒とは異なりアルコールは含まれておらず、例え子供が飲んでも害は無いようです。

　しかし、桜の精霊の魔力が込められたこのお酒は一口でも飲めばたちまちＭＡＸに酔い、さらには周囲の者にも酒を飲ませる酔いどれゾンビと化してしまうという、迷惑極まりない物でした。

　そして、酔いどれゾンビ達を正気に戻すには桜の一部を使った料理を食べさせれば良いとのことです。

「まったく、面倒な事になったものだ」

　解放された精霊が公園の奥に姿を消すのを見届け、正子は溜息をつきました。

「おぬしら、公園に人が近寄らないようにしておけ。これ以上被害が拡大しては敵わん。わしは料理を作る人員を集めてくる」

　正子は連れていた蒼空学園の生徒達を公園の周囲に散らせ、人が寄り付かないようにしました。

　そして自分はすぐに学園へ戻り、学園にいた生徒、遊びに来ていた生徒の友人、その他とにかく使えそうな者全てをかき集めたのでした。

こんにちは、ＲＥＤです。
この度は「桜と料理と酔いどれゾンビ」のシナリオガイドをご覧頂き、ありがとうございます。

　酔いどれゾンビ達は桜料理を食べさせることで正気に戻ります。
　食材となる桜の花弁や葉は正子や蒼空学園の生徒が集めていますので、皆さんはそれを使って料理を作ってください。

　料理については主食、菓子、飲み物、何でも構いません。

　泥酔したゾンビ達は美味しそうな物が目の前にあればすぐに飛びつきます。
　しかしあまりにも美味しくなさそうな見た目の場合は食べようとしないかもしれません。


　また、酔いどれゾンビに混ざって宴会を楽しみたい、というアクションも可能です。
　その際、アクションにて【無礼講じゃあ！】と書いてあれば、そう書かれているＰＣ様同士で遠慮なく「無礼講な」絡みを行わせて頂きます。



　お酒に酔ったり、まったり料理したり。桜の時期は短いですが、皆さんと一緒にこのシナリオでお花見を楽しめますと幸いです。

・酔っぱらいに混ざって宴会！

・桜料理を作る