蒼空学園

「これだからあなたたちは野蛮だというのですよ！」
「んだとぉっ！　お高く留まりやがって」

　ここは東の大通り。ラフターストリート（Ｂ地区）とエヴァーロング（Ｄ地区）の中間地点。

　大声で言い合っているのは、それぞれの地区の住人たちです。互いににらみ合っています。
　どうも、あまり良い雰囲気ではありません。
　実は最近、こういった争いがよくおきていました。

「あっちが落ち着けばこっちか」

　アガルタの総責任者。ハーリー・マハーリーは長いため息を吐き出します。しかしすぐに目が鋭くなります。
　秘書に先を促します。

「それで？」
「はい。争っていたものたちの血液を調べた結果、微量ですがコレが検出されました」

　示された資料には『アルギーレ』という文字がかかれてあり、袋に入った乾燥した植物もついていました。ハーリーはソレを手にとって、なんとも苦々しい顔をします。
　アルギーレ。それは神経を高ぶらせる作用があり、焚いた香をわずかにかぐだけで効果がでます。その香を吸ったり飲んだりしたものはわずかなことでもイライラとし、その怒りを抑えられなくなるのです。
　中毒性はなく、数時間経てば自然と抜け、身体への影響もないのですが。

「まあ、これだけが原因ともいえないが」

　アガルタは東西南北に走る大通りで４つの町に分かれています。４つの街（区）にはそれぞれに個性があり、住民たちもそれぞれの個性に近い気質の人たちが多く集まっています。
　ですからまったく異なる気質のラフターストリート（Ｂ地区）とエヴァーロング（Ｄ地区）の住民たちが喧嘩、というのは一見普通なように見えます。

　しかし、司令部（役所）のトップ同士は仲がよく、今までも友好的に過ごしていたのです。それが突然、（薬が出回ったとはいえ）『違う区同士のいさかい』だけが頻発するというのはおかしな話。
　どこかに扇動者がいるのでしょう。

「どうやら扇動者と薬を広めているのは別にいて、どうもネズミ講のような組織体系になっているようです。辿っていますが、上に行くほど知恵のあるものらしく、なかなか尻尾を出さないようです」
「……そうか。まあ、本当の大元があいつだとしたら、辿ったところで無駄だろうがな」

　犯人を数人捕まえても一時雇われただけの下っ端で、ろくな情報を持っていません。薬のまき方も最近は薪に薬をしみこませたり、水に混ぜたり食器に塗りつけたりと方法も巧妙になっています。アガルタにも治安当局――警察はあるものの、手が足りません。

　何せ問題が起きているのは、ラフターストリート（Ｂ地区）とエヴァーロング（Ｄ地区）だけではなく、全区で起きているのです！

　ハーリーはもう一度ため息をつきました。

「協力の要請を……。必要なら協力者の身元も調べろ」
「ハッ」
　そうして信頼できるものたちへ、依頼を出したのでした。

「あいつの思惑通りなんだろうがな……」
　呟くハーリーの脳裏には、楽しげに笑う女の顔が浮かんでいました。


＊　＊　＊


　一方。こちらは移動式住居。
　ふわふわと宙に浮いた丸い物体――コーン・スーこと土星くん　壱号（どせいくん・いちごう）……あ、逆だった……が、キリッとした顔（当社比）で悩んでいました。

『……今のままやと無理やなぁ』

　見つめているのは、土星くんが作った、自身と同じ機晶生命体の位置が確認できるレーダー。丸い形をした中央で点滅するのは土星くんを示していて、そして少し離れた位置にも点滅しているものがあります。
　土星くんはレーダーから、今度は地図へと目を落とします。彼らはニルヴァーナの外に逃げたのです。地図など確認せずとも、土星くんが制御する移動式住居では迎えにいけません。この移動式住居はニルヴァーナの中を移動するために作られたため、移動速度はもっとも速いのですが空は飛べないのです。
　どれだけのニルヴァーナ人が生きているかは分かりませんが、この住居で迎えに行った方がよいと土星くんは考えていました。大勢いた場合はもちろん。怪我や病気などで動けない場合でもこの住居内には医療施設が整っています。壊れていたところもたくさんの協力で直っていますし、外敵から身を守る装備も充実しています。
　彼らを安全に連れ帰るためにも、ソレが一番良いのです。

『改造か。やとすると、遺跡からいろいろもってこなあかんなぁ。あと人手も足りとらんし……各部についての説明もせんと』
　土星くんは設計図を引き、必要な部品などをメモしながら、改造への協力者を募ることにしたのでした。


＊　＊　＊


「え？　薬が他区に出回っている？」
「へぇ。一時期『全暗街』に出回っていたものと同種のものが……あっしらから逃れた残党が流している可能性もありやすね。実際そういう噂も出回りはじめているようで」
「それは……まずいですね」

　全暗街（Ｃ地区）の裏を取り仕切る巡屋一家の頭、巡屋　美咲（めぐりや・みさき）は、部下のヤスの報告に目を見開きました。それからすぐに厳しい顔をします。
　実際にこの区から流れていなくとも、噂が流れているというのだけでも問題でした。せっかく秩序ある街への一歩を歩み始めたというのに、他区との関係が悪化してはその歩みが妨げられかねません。

「他の区の方たちにも、前回お世話になりました。それにこのままでは私たちの街が誤解されてしまいます。この街が好きだと言って下さる方のためにも、なんとしても薬の元を断ちましょう」
「「おおおっ」」

　巡屋一家が薬を断つべく、動き出しました。



「――そう。巡屋の小娘が動き出したのね。ええ。分かったわ。あなたはそのまま小娘の動きを見ていて頂戴」

　電話を受けた御主　悪世（おぬし・わるよ）は、艶やかな紅が引かれた唇を楽しげにゆがませました。楽しくて、楽しくて仕方がないというように。

「土星くんたちにも動きがあるようだし、ほんと。楽しみねぇ」

　おはようございます、こんにちは、こんばんわ。もしくは始めまして、二度めまして（？）。舞傘　真紅染（まいかさ　まあかぜ）です。

　アガルタの発展は順調……ではあるものの、いろいろ動きがあるようです。
　とはいえ、今までアガルタシナリオに参加したことのないという方も、気軽にご参加ください（学校関係なくＯＫです）

【土星くん・壱号について】
　イメージは、マスターページをご参照ください。
　本名はコーン・スー。土星くん・壱号はセレスティアーナにつけられた名前で、こちらの方が有名。本人的には不本意だが、キン○マと呼ばれるよりはマシかと最近悟り始めた。本名を呼ばれると感激で泣くかもしれない。
※土星くんの素敵な呼び名大募集中（笑）。気軽にあだ名で呼んであげてください。

【アガルタの街について】
　地下に発見された巨大空間を利用してやり手商人ハーリー・マハーリー（３０・男）が作った巨大地下街。
　街の詳細や出展者一覧はコチラから。
　また、出店者は随時募集中！。出店していただいた方は、出店一覧に追加させていただきます。
　出店希望の方は店名やどんな店（ジャンルや店内の雰囲気など）をお書きください。キャッチコピーなどがありましたらそちらもぜひ。

　また、Ａ地区の名前を募集中です。Ａ地区に出店していない。そもそも店を出してない、という方でも、良い名前がございましたらお願いします。
　いただいた名前候補は若干もじる（合体する）ことがあります。複数の候補があった場合はよりその区にあった名前（もしくは合体などして）を選ばせていただき、該当候補なしの場合は次回に持ち越しになります。

　今回から知名度というものを用います。これは活動を行った区でのみ上がりますが、一度（のシナリオ）に全部の区で活動する（表裏両方）、は不可です。
　活動区をＡＢＣＤのどれかでご記入いただけると助かります。
　なお、こちらの『知名度』はアガルタシナリオのみ効果があります。

【ハーリーに協力！】
　パトロールをして実行犯の逮捕。いさかいの仲裁などがメインの、表向きの活動になります。

　事件解決だけでなく、活動を行った区での治安が上昇します（活動区を記載ください）。また一般人の目に触れるため、その区での知名度（表）もあがります。
　知名度がある程度上がると、『【アガルタ】（区名）の○○』という共通称号（何段階かあり）を送らせていただきます。称号がある場合、その地区において有名人ということになります。
※一般人にあまり顔や名前を知られたくない方は一言いただければ考慮した描写にさせていただきます（存在だけはあるのは知っているけれど名前も顔も誰も知らない）。

【巡屋一家に協力！】
　こちらは薬や扇動者たちの大元を断つために情報収集をし、大元の逮捕をすることが目的になります。

　事件解決だけでなく、活動を行った区での治安が上昇します（活動区を記載ください）。また表に出ない裏での行動になるため、その区での知名度（裏）もあがります。
　知名度がある程度上がると、順に『【裏アガルタ】（区名）の○○』といった共通称号（何段階かあり）を送らせていただきます。称号がある場合、その地区の裏側において有名人という扱いになります。
※あまり顔や名前を知られたくない方は一言いただければ考慮した描写にさせていただきます（存在だけは知られているけれど名前も顔も誰も知らない）。

【土星くんに協力！】
　土星くんは全暗街（Ｃ地区）の遺跡にて、必要な素材の運搬を手伝ってくれる人＆道中の護衛（土星くんだけでなく部品も）を探しているようです。
　また、技術者の養成のため、遺跡内で講義も行う予定。
　護衛を行った場合のみ、Ｃ区の治安が少しだけ上昇します。
　協力してくれた場合、土星くんにあだ名をつけられる可能性があがります（誰得？）。ご希望のあだ名がある場合は記載いただけましたら考慮させていただきます。

【御主組に協力！】
　基本、悪世は表には出てきません。部下から依頼を受けた、自分から部下に接触した、という形での協力となります。
　活動は薬の散布。住民の扇動。またそれらを行うもの達の護衛、です。
　活動を行った地区の治安が下がります。

【その他】
　お店を出す。別荘（家）を買う。観光する。などなど、上記の事件とまったくかかわらずともＯＫです。アガルタの街を楽しんでいってください。

※ＮＰＣについて
・巡屋　美咲（めぐりや　みさき）。１６歳。現役女子高生。めがねでお下げな大人しい子。護身術は叩き込まれているためそこそこ強いが、暴力はスキじゃない。一般人には迷惑をかけず、全暗街（Ｃ区）の秩序を守ろうと日々、新米組長としてがんばっている。
・御主　悪世（おぬし　わるよ）。２８歳。独身。カールした茶色の髪。真っ赤なドレス、とかなり派手な人。鞭が似合うどＳでもある。目的を達成するためなら、どんなことでもする。キレやすいように見えてかなり冷静。
・ハーリー　マハーリー。３０歳。男。元やり手商人。偶然地下の空間を見つけ、街を作った。街の総責任者であり、かなり多忙な日々を送っている。御主のことを知っているらしい？

　では、皆様のご参加＆アクションをお待ちしています（リアクションを、と書きそうになったのは秘密です←）

・ハーリーに協力！

・巡屋に協力する！

・土星くんにあだ名をつけてもらう！

・御主組につく！

・出店する！