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茨姫は秘密の部屋に

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シナリオガイド

それは、別れの始まり…
シナリオ名:茨姫は秘密の部屋に / 担当マスター: 東安曇

 11時41分、イルミンスール魔法学校。永遠に続く様な長い長い廊下を歩きながらアレクサンダル四世・ミロシェヴィッチ(あれくさんだるちぇとゔるてぃ・みろしぇゔぃっち)は嘆息していました。
「またこの制服を着て此処を歩く事になるとはな――」
 此処、イルミンスール魔法学校はドイツ式の学年制度を導入しています。通常13歳から入学するこの学校は、蒼空学園のように大学部との明確な区別が――そもそも校長の意向で大学部の概念すら無い為、『依頼』をこなす為に校舎内を自由に歩き回るには制服のローブを纏うのが何かと都合がいいのです。
 イルミンスール魔法学校校長エリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)に与えられた『依頼』。
 それは此処、イルミンスール魔法学校で近頃頻発している『白の教団』絡みの事件を調べるというものでした。
 その組織はモンスターを操って生徒を脅かすような下らない悪戯を仕掛けるという以外、目的も何もかもが不明瞭なのにどういう訳か日々勢力を増しているというのです。
「唯一の手がかりは教祖が『白荊(はくけい)の乙女』と呼ばれている事くらいか。これでそいつの見た目が男だったらいよいよ手詰まりだな」
 軽口を叩いていたアレクの元に、何処からか一匹の使い魔が飛んできます。
「エリザベート校長の――?」使い魔はアレクが伸ばした腕へ降り立つと、エリザベートの伝言を告げます。
「アレクサンダル。今ジゼル・パルテノペー(じぜる・ぱるてのぺー)ゲートで『地下』へ渡りましたよぅ。貴方、パートナーは蒼空学園へ置いてきた筈では?」



「ジゼルが此処に――、『地下』に来てる」
 通話を終えたトゥリン・ユンサルの言葉に、タチヤーナ・アレクサンドロヴナ・ミロワの表情が凍ります。彼女達が今探索している『地下』は不浄なものを生み出す淀みが堪った場所として非常に危険なのですが、『依頼』の為にアゾート・ワルプルギス(あぞーと・わるぷるぎす)の力を借り、特別に降りてきていたのです。
「こんな場所に居たらジゼルさんが危険な目に遭ってしまいますよ!? オーダーに変更は? 大尉からは何か無いんですか!?」
「追加指令は無い。……個人的な連絡としては見つけたらで良いって言ってる」
「『また』あの男は!」
 トゥリンが言い終えた瞬間、タチヤーナは一目で分かる程怒りを露にし両手に刀を出現させると、本来進むべき道から外れた方向へ歩き出します。
「ターニャ、それ軍規違反――」
「知るか! 私はジゼルを探す」
 明瞭な意志を伝える声に、トゥリンはタチヤーナの横に並びます。タチヤーナは驚いた表情を見せますが、トゥリンもまたはっきりと答えるのでした。
「私も行くよターニャ。ジゼルは私の……友達。それにアンタは私のパートナー。
 同じ願いを叶える為に、私達は契約を結んだ。だから一緒に行く」



 一方こちらはイルミンスールの森。キアラ・アルジェントが、パートナーのトーヴァ・スヴェンソンを慌てた様子で追いかけています。
「お姉様!? 待って、何処に行くんスか?」
「ダイジョーブダイジョーブ♪ 問題無いってー」
「でもそっちは隊長が言ってた危険区域っスよ!? 隊長が一緒で無ければ絶対に駄目だって……事前に決めた探索ポイントには入って無――」
「……つーか何? キアラちゃんはアタシに文句言える立場? 階級、実力、ああそうだ……ふふ、年齢も。
 つまり命令を出せるのはアタシ。分かってるでしょ? アンタは黙ってついてくればいいの」
 振り返りざまにトーヴァはキアラの腕を掴み無理矢理引き寄せます。その脅す様な強さに、キアラは息を呑みました。
「おかしいっスよ……? お姉様……今迄そんな事絶対に言わなかったのに!!」
 キアラがトーヴァの手を思わず力任せに振り払った所為で、トーヴァはその場でよろけてしまいます。するとその時、キアラの目からトーヴァの胸元が――そこに存在する鈍色の黒い石が見えるのでした。
「あれは……ゲーリングの血星石!? どうしてあんなものがお姉様に――」
「さあ、キアラ。一緒に行こう……」
 手を差し出してくるトーヴァの後ろには、何時の間にか同行していたプラヴダの隊員達が立っていました。彼等の目は何れも虚ろで、一目で様子がおかしいのが分かります。
「……イヤ…………イヤああッ!!」
 キアラは首を振りながら叫ぶと、踵を返して走り出すのでした。

担当マスターより

▼担当マスター

東安曇

▼マスターコメント

 東です。今回のシナリオは何時ものようにジゼルが受難するシリーズの一回目です。全三回予定ですが、いつも通り何処から入っても問題の無い仕様です。どうぞお気軽にご参加下さい。
 今回皆様は、アレク中隊ことプラヴダの協力者としてエリザベートの依頼を受け、『白荊の乙女』と呼ばれる教祖が率いる『白の教団』の影を追ってイルミンスール内を探索する事になります。教団の信者は、手の甲など体の何処かにモンスターを操る為の力の源が有ると言いますが、その詳細は一切が不明です。また、エリザベート・アーデルハイトは依頼主として協力関係に有りますが、探索には参加致しません。予めご了承下さい。

 こちらのシナリオでは、PCさんは三つのルートのどれか一つを選択しイルミンスール内を探索して頂く事になります。次回へ続く内容を含むルートもございますので、以下の説明に目を通されてからの参加をお願い致します。
 
* * *

【校内】NPC:アレク
 アレク隊長の軍門に下り(屈辱)主に学校内を探索します。このチームはエリザベートの許可により、ゲートを利用して別の場所(地下や森など)へ行く事も可能です。行きたい場所があればアレクに進言して下さい。場所によってはモンスターが出現する可能性も有ります。

【地下】NPC:トゥリン、ターニャ
 本来は探索の為に地下に入りましたが、現在は総隊長命令違反でトゥリン分隊長の元地下に迷い込んだジゼルを探し、救出するのが目的です。近頃この場所には巨大な虫のような強力なモンスターが出現するとの噂があるので、戦闘準備をして下さい。また、このチームの分隊長はトゥリンなので、必要な場合は彼女(ロリ様)に指示を仰ぎましょう。

【森】NPC:キアラ、(トーヴァ)
 当日立ち入り禁止区域の森付近を探索していたろころ、かつてジゼルを操っていたゲーリングという武器商人の男の使う謎の石(血星石)を埋め込まれたトーヴァに内部へと誘導されました。途中でガイドの出来事があった為、PCさんは追いかけてくるトーヴァとプラヴダの隊員を振り切りキアラとゲートへ引き返す事になります。
 トーヴァ、又は隊員に捕まった場合、該当PCには関係称号が配布され、次回以降敵側のキャラクターとして登場する事が可能になります。称号セットでこちらの設定が適用されるのは本シリーズのみです。他シナリオでは関係無いので、ご安心下さい。
 敢えてそちらに回りたい方は、捕まってしまう様なアクションをお願い致します。アクション欄に「闇落ち希望」でもOKです。

★個人で小規模のゲートを使用した結果、【地下】、【森】へ迷い込んでしまったというアクションも可能です。

* * *
以下、設定です。
トゥリン、ターニャ、トーヴァ、キアラについて詳しくはマスターページの画像(プロフィールを)をご覧下さい。

【プラヴダについて】
 アレク率いる陸軍中隊。トゥリン、ターニャ、キアラ、トーヴァの他、二百数十名(ほぼ男)が所属しています。教導団とは関係の無い私設兵団で、主な目的は『平和活動(笑)』です。
 今回の作戦にはトーヴァの分隊に、20名の兵士が参加しています。アレク・トーヴァ・ターニャ・トゥリンの順に戦闘力は非常に高いですが、キアラは普通、他隊員の強さもまちまちです。

【ジゼルについて】
 アレクのパートナーの少女。軍人では有りませんが、音響生物兵器であり、大量破壊兵器としての可能性を秘めています。
 本来は心優しい少女ですが、以前武器商人の男に捕らえられていた際兵器としての教育を施された結果、人を傷つける可能性(戦い)を恐れ、心の中に迷いが生じています。
 今回の作戦に同行しようとしたのですが、ジゼルの異変に気づいていたアレクに不許可されてしまいました。彼女がイルミンスールに居るのは本人の独断で有り、アレクはその事を好ましく思っていません。

【なんだかややこしい呼び名について】
 アレクサンダル――大体短縮名のアレクで呼ばれていますが大尉、総隊長、隊長、アリクス(アレックス)、サーシャ、お兄ちゃん、シスコンその他色々ございます。
 トーヴァ――副隊長 

▼サンプルアクション

・アレクの軍門に下る……

・トゥリンと共闘!

・ゲートまで逃げ切る!

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2013年08月10日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2013年08月11日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2013年08月15日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2013年08月29日


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