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涙の数だけお助けを

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シナリオガイド

名門貴族のお嬢さまが攫われた!? 助けるのは、君しかいない!
シナリオ名:涙の数だけお助けを / 担当マスター: 夜光ヤナギ

「なんたることだ!」
 カナンのとある小都市で、嘆きに満ちた声があがりました。
 声の主は、アルベルト・リリアンテ
 名門貴族リリアンテ家の当主であり、この街に大きな影響力を持った人物でした。
 そのアルベルトがなぜこんなにも嘆いているのか。
 それは彼の一人娘であるメル・リリアンテが、とある神官に攫われてしまったからでした。
 神官の名はイルーム。リリアンテ家に仕えていた、この街の有力者の一人でした。
 しかしなにを思ったか。イルームは、リリアンテの一人娘のメルを攫って、彼女を生け贄に古王国時代に封印されたという伝説の生物を蘇らせようと考えたのです。
 街の外れの“陽ならずの森”にある神殿へと逃げ込んだイルームを追うために、アルベルトは自らの持てる限りの力を尽くして、討伐隊を結成しました。
 そのリーダーとなったのは、メルの婚約者であり名門貴族出身の騎士アクシューミでした。
 彼は討伐隊を『メル様助け隊』と名付け、さっそく進軍の準備を進めました。
「ご安心ください、アルベルト様。この私にお任せいただければ、必ずやメル様は助けだしてみせましょう」
 アクシューミはそう宣言しました。
 しかし、メルの右腕で側近の女性にして、討伐隊副隊長のカーミラだけは、それが実に信用ならない言葉ということに気づいていました。アクシューミは確かに腕は立ちますが、自分の家柄を鼻にかける嫌な男でした。それに頭のネジがどこか一本抜けている気がします。ちょっとおバカとでも言いましょうか。討伐隊の名前を見れば、それは明らかでした。
 しかしアルベルト卿はすっかりアクシューミを信用していました。
「うむ。任せたぞ、アクシューミ。そなたなら安心だ」
 アルベルト卿はアクシューミの剣の腕を見て、一目で娘の婚約者と決めました。
 カーミラは思ったものです。ああ、かわいそうなメル様。あんな大バカ者と結婚させられるなど、さぞ嫌だったことでしょう。
(……もしものときは、私が助けださなければ)
 カーミラは人知れず決意しました。



 さて、一方――。
 イルームに攫われた噂のお嬢様が何をしていたかというと。
「たーいくつですわー」
 神殿の小塔の一つに閉じ込められ、小窓から顔を出していました。
 持ち前のブロンドの髪は何日も洗っておらずパサつきが目立ちます。もっとも、メルが思うには、ですが。普通の庶民の感覚では、そんなほんの数日のパサつきなど大したこともなく、メルの髪はあいかわらず美しかったものでした。
 ところでメルは、まったく怖がっている様子がありませんでした。
 というのも、彼女もアクシューミほどではありませんが、やっぱりどこか普通よりもズレていましたし、長年の優雅で裕福な貴族生活で、自分は絶対に危険な目に合わないと、心のどこかで安心していたからでもありました。むしろメルはこの状況を楽しんですらいたのです。彼女は側近のカーミラにだけこそっと教えていましたが、アクシューミが嫌いなのでした。
「あんなキモくて(世間ではこう言うのでしょう?)自慢しいで、自分の家を鼻にかける人は、わたくし大ッキライですわ!」
 そんなこんなだから、メルはこの状況をアクシューミから逃げられたとすら思っていました。
 食事を運んできたり、たまに外の状況を伝えたりしてくれる、イルームの従えるモンスターたちにも、「こんなマズいご飯は食べられませんわ!」といつもと変わらないワガママを言い出す始末です。
 ついには小窓のそばに腰をおろして、子どもの頃から夢見ていた物語に夢想するようになりました。
 その物語では、王子様が塔の中に閉じ込められたお姫様を助けに現れるのです。姫をさらった邪悪な竜を退治して(この際、それが神官なのは良しとしましょう)、颯爽と窓から姫を助けだす。ああ、なんと美しいことか。
(きっと、王子様が助けに来てくれますわ、きっと……)
 メルは小窓を囲う石段に頬を乗せて、空に浮かぶ名のなき王子の物語に恋い焦がれたのでした。

 攫われた貴族の一人娘メルを助けるため、討伐隊が結成されました!
 あなたもぜひ、皆と力を合わせてメルを助けてあげてください!


担当マスターより

▼担当マスター

夜光ヤナギ

▼マスターコメント

初めましての方は初めまして。
そうでない方はお世話になっております。
某ドーナツチェーンのカフェオレはアイスもおかわり自由にして欲しいな、と思っているMSの夜光ヤナギです。

今回のシナリオはオーソドックスな冒険物となっております。
初心者の方も、ぜひお気軽にご参加くださいませ。

●陽ならずの森
街からそう遠くない場所に広がる、鬱蒼とした木が生い茂る森です。
カナンは緑が短期間で回復したせいか、時々こうした不吉な森も生まれることになったようです。
木々が天蓋のように空を覆って陽を隠してしまうせいで、こうした名前がついたようです。
森の奥には古王国時代の遺跡が残っており、イルームが身を隠した神殿はその中にあります。
森や遺跡にはいまだに魔物がうようよしていますので、注意が必要です。

【出没モンスター】
・陽ならずの森
 ゴブリン/吸血コウモリ/ソウルミスト(※1)
・遺跡、神殿
 ゾンビウルフ/さまよう兵士/ゴーレム/マッドジャンケンマン(※2)

※1 霧状のモンスター。幻惑の使い手です。
※2 地面から生えた泥の手がジャンケンを仕掛けてきます。

●大巨人グランドプロス
イルームが復活させようとしている古王国時代のモンスターです。
別名『大地の巨人』とも言われており、その拳は大地を割るという話です。
噂によると両腕両足を鎖に繋がれているのは、その昔、グランドプロスが封印されたときに彼の力を封じこめるためのものだったといいます。いまでもグランドプロスはその恨みを忘れていないのでしょうか。
グランドプロスの封印を解くためには『乙女の純血』が必要と言われており、メルはその生け贄となるようです。

●イルーム
かつては多彩な魔法を操る、舞台となる土地に影響力を持った神官でしたが、いつしか絶大な力への野望を抱くようになりました。
性格はいたって陰険でずるがしこく、やたらと神経質。それに慎重な男でもあります。
グランドプロスの復活のために何年も念入りな準備と調査をしており、すでに森の奥の神殿は彼の秘密の住処と化していました。
グランドプロスの復活の儀式には数日の祈祷を必要とし、最後の日にメルを生け贄としてささげるようです。

▼サンプルアクション

・『メル様助け隊』に入隊する

・イルームと戦う

・グランドプロスと戦う

・メルを救出する

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2013年08月17日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2013年08月18日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2013年08月22日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2013年09月03日


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