蒼空学園

　休日にも関わらず、葦原明倫館の食堂は賑わっていました。
　なかでもひときわ目立つのは、ハイナ・ウィルソン（はいな・うぃるそん）総奉行。
　お向かいにはいつもどおり、葦原房姫（あしはらの・ふさひめ）の姿があります。
　しかし。

「見付けたわ。
　相変わらずはしたない格好を……」

　突然降ってきたその声が、２人の時間へと割り込みました。

「む？」
「どなた、ですか？」

　声がするまでハイナは、その存在を認識していませんでした。
　寝惚け眼だった所為……では、ないようです。
　だって、眼前にいたはずの房姫さえ、気付いていなかったのですから。

「ハイナ・ウィルソン、ですね」
「いかにも……お主は誰じゃ？」
「私は、決して貴方を許さない。
　貴方の大切なモノ、すべて奪い尽くしてあげるわ」
「なに……」

　天井から現れたのは、漆黒の忍装束を着た、緋桜色髪の細身の女性でした。
　彼女は食堂の机の上に立ち、瑠璃色の瞳をハイナへ向けました。

「３日よ」
「なんじゃ？」
「これから３日ののちに、私達は総攻撃をかけるわ。
　この学校も城下も、私達がいただく！」
「はぁっ！？」
「貴方に負けないよう、私達だっていろいろと研究したのよ。
　本場を訪ねて、忍者のスキルだって身に付けた！
　少数精鋭の私達に、敵なんていない」

　そこまで言うと、女性は封筒を差し出してきました。
　縦に長い、所謂、長形３号の封筒。
　裏面に貼ってある向日葵のシールが、白い封筒によく映えています。

「詳しくはそれに書いてあるわ。
　それでは、３日後に」
「ちょっと待っ……」

　ハイナが封筒を受けとったことに満足したのか、女性は姿を消しました。

＊＊＊

「ったく、なんだったのじゃ。あの娘は……」
「本当に覚えがないのですか？」
「うむ、まったくのぅ」
「ハイナのことですから、なにかやらかして忘れているのではございませんか？」

　部屋へ戻るなり、ハイナは封筒を開けます。
　なかからとりだした紙を拡げると、まじまじと読み始めました。
　一方で房姫はいつもどおり、緑茶を淹れています。

「……あぁっ！」
「どうしたのです、ハイナ」
「想い出したのじゃ、房姫！　この名前！」
「名前、ですか？」

　手紙の最後には、アリス・ドレイシアという名前が書かれていました。
　ハイナ曰く、ハイスクール時代の友人なのだとか。

「アリスとは当時、成績で学年トップを争っていた仲じゃった。
　運動もそこそこできるし、想いを寄せる相手も同じことが多かった……と。
　ここまでくれば、粗方、見当も付くじゃろうて」
「え、えぇ……」

　成る程。
　悪意はないにせよ、因縁をつけられる要素は多々ありそう。
　これは、とても面倒くさそうな予感がします。

「ぁ、あの、肝心な３日後のことは、なんと？」
「それがのぅ、これには『球あてで勝負』と書かれておるのでありんす」

　つまり、アリスの言う総攻撃とは『ドッジボール』のことのようで。

「この勝負を受けなかったり明倫館側が敗北したりすれば『ハイナ・ウィルソンの恥ずかしい秘密』をバラまく、じゃと……」

　いつになく、ハイナの眼は真剣でした。

「絶対に負けるわけにはいかないでありんす。
　学外の生徒にも呼びかけ、明倫館の総力を結集し、アリスを迎え討つでありんすよ！」

　斯くして。
　葦原明倫館とハイナのピンチを救うべく、生徒達が集まったのでした。

このシナリオには、学校を問わずどなたでも参加が可能です。

ＭＣとＬＣの行動は、同じものでも異なるものでも構いません。
それぞれにおいてどのように立ちまわるかは、皆様の自由です。
キャラクターらしさの出る行動をおとりください。
台詞や心情表現も含め、具体的なアクションであればあるほど採用率が高くなります。
目的達成のために必要な道具などをお持ちになられる場合は、アクションにてお知らせください。
ほかのキャラクターやＮＰＣと絡みたい場合も、相手の名前を明記してください。
ただし、複数のシーンに跨がるようなアクションは、一部のみの採用となることがあります。
お気を付けください。

ドッジボール
　ルールは、通常のドッジボールと基本的には同じです。
　ボールを当てられたら、内野から外野へ移動します。
　内野に誰もいなくなったチームの負けです。
　これ以外の細かいルールは、ひとまず気にしなくて構いません。
　そのほか、セット数など詳細も不明です。

ＮＰＣ
　ハイナ＆房姫
　　無条件で登場します。勿論、絡んでいただいて構いません。
　燿助＆那由他＋ゲイル＆ティファニー＋匡壱＆佐保
　　ご指名のあった場合のみ登場します。

それでは、皆様のご参加とアクションをお待ちしております。

・ドッジボールの選手として参加する。

・明倫館の護りを固める。

・ハイナの過去を探る。

・城下を楽しむ。