蒼空学園

【前回までのあらすじ】

　蒼空学園の教員、久瀬　稲荷（くぜ　いなり）は個人的な目的からニルヴァーナにあるという研究施設を目指していました。
　ニルヴァーナへ渡る為、ゴアドー島に立ち寄った際に熾天使に似た姿の少女、エンジェルと出会います。
　彼女は記憶喪失でした。彼女は冒険者たちの協力のもと、自分の記憶を探して久瀬と共にニルヴァーナに向かったのですが……。
　


【序章】

　ニルヴァーナを訪れた久瀬の視線の先に静かに眠る女性の姿がありました。
　彼女は街に着くと疲れが出たのか、意識を失ってしまったのです。

　すぐに目を覚ますかと思われましたが、幾日が過ぎても彼女が目を覚ますことはありません。
　医者に診せても原因は不明とのことでした。
　そして意識を取り戻す気配もない状態が続き、三か月が過ぎました。
　彼女、エンジェルの様子を心配して彼女を知る人物が何度か見舞いに来ましたが目を覚ますことはありませんでした。

　医者曰く、衰弱が徐々に進んでいるというエンジェルの様子を覗いながら久瀬は呟きました。

「困りましたね……」

　教員になってからというもの困ってばかりだな、と彼はここ一年を振り返ります。
　魔女の仲違いに首を突っ込んだり、謎の化物に腕を食い千切られたり、エンジェルを拾ったり……。

（ああ、思い返すと九割九分で自業自得ですね）

　毎回と言ってよいほどに冒険者や学生の皆に助けられていた一年でした。
　それだけに誰かの力になりたいという気持ちも強かったようで、彼は悩んでいるのです。

「教導団の方でも調査を行う準備を進めていた様子ですし、状況は芳しくありませんね。ですがこの子を放置するわけにも……」

　時折、苦悶の表情を浮かべては寝言を漏らす彼女を気にかけながら、久瀬は思案に耽るのでした。
　答えが出ないまま、今日も久瀬は宿で一日を過ごしています。
　　

　初めましての方は初めまして。お久しぶりの方はお久しぶりです。
　このたびもゲームマスターを務めさせて頂きます、砂鳥です。
　よろしくお願い致します。

　今回のシナリオは全5〜7部で完結する予定の長編シナリオの第3部となっています。
　詳細は『失われた絆　第１部　〜火花散る春の武道大会〜』のシナリオガイドをお読みください。

　ニルヴァーナとパラミタの戦争の事実はこの3部で判明します。
　またこのシナリオで一度、話が終わりを迎えます。
　残りの部ではその後の関係した人物等のお話を予定しています。
　前回登場した少年などがメインですね。今回は登場しません。　

　公開予定日に関しても注意事項がありますので、参加する前に下記に目を通してください。
　
　なお今回も入手したアイテムなどは手元に残りません。そこはご了承ください。


■目的に関して

　今回のシナリオはフリーシナリオを想定しています。
　大筋のメインシナリオを主軸に、フリーシナリオがその中に組み込まれているような形です。
　ある条件を満たした場合、該当する物語が展開されるようになっております。
　また同様にある条件を満たすことで情報が開示されるようにもなっております。

　ですが、当シナリオには失敗・成功判定を想定しておりません。
　ですので条件を満たす以外での行動も自由に考えて頂いても結構です。
　破天荒すぎるとアクション採用が難しいのでそのあたりはご理解くださいませ。

　あえて目的をあげるとすれば主題にもあるように、
『一万二千年前のニルヴァーナとパラミタの戦争の理由を知る』ことです。
　また当シナリオで言えば衰弱しているエンジェルを救うことになります。

　参加する方は自分なりの目的をもってご参加頂ければと思います。
　


■メインシナリオ分岐条件

１：教導団の調査よりも先に研究施設を調査する。
２：研究施設内で機晶石および機晶姫の研究資料を入手する。
３：研究施設内で機晶技術の生物兵器転用に関する研究資料を入手する。
４：研究施設内に設置されている各端末から記録媒体を入手する。
　　※端末は複数あるがいずれか一つからで良い。

【条件概要】
１：シナリオ分岐条件
２：エンジェル救出条件１
３：エンジェル救出条件２
４：パラミタ侵略の理由が判明



■フリーシナリオ分岐条件

１：研究施設を守っている機晶姫を破壊する。
２：研究施設内の封鎖区域の奥にいる石化状態の機晶姫に衝撃を与える。
３：研究施設内の封鎖区域の奥で石化していた機晶姫を破壊する。


【条件概要】
１：私の手掛けるシナリオ限定で使用可能な武器と防具が手に入ります。使用する場合はアクションにて記載してください。
　　なお当シナリオから利用可能です。名前を付けるなり壊すなり自由にお使いください。
　　ただし入手人数に限りがあるので必ず入手または利用が可能というわけではありません。
　　また強度を設定していますので無茶な使い方をすると壊れます。ご了承ください。

２：私の手掛けた過去のシナリオに関係した魔物と類似した存在との戦いとなります。
　　メインシナリオ分岐条件３を先にクリアしていた場合でかつその情報を知る手段を持っていた場合、
　　以下の情報が与えられます。是非、有効活用してください。

　　・魔物の制御は頭部に埋め込まれた人工物で行っているので、一定の衝撃を与えることで一定時間動きを止めることができる。
　　・素体となった生物の首と胴を切り離すことで死亡させることができる。
　　・上記の弱点を補うため、外骨格の腕内部および腹部に副腕が内蔵されており、近づいた敵を捕獲できるようになっている。
　　・耐電、耐熱、耐寒仕様であるが耐水仕様にはなっておらず、特定条件下では電撃が通る。

３：研究施設が崩壊します。
　　この時点で研究施設内で得られる情報は得ることができなくなります。
　　シナリオ強制終了の合図です。ご利用は計画的に。


■情報開示の条件

１：研究施設内の研究員の宿舎らしき区画にある記憶媒体を入手する。
２：研究施設内の封鎖区域の一角にあるパラミタの生体に関する研究資料を入手する。
３：研究施設内にある研究員の日記を入手する。

【条件概要】
１：施設で生み出されたモノの一覧が見れます。ただしその場で見る場合は電子情報を読み取る手段が必要となります。
　　※開示される内容はいちごとエンジェルとその他研究されていた生き物の概要です。

２：鬼の能力と機晶石の出力に関して記されています。
　　この情報を知ったクラスがラセツ（羅刹）のキャラクターは当シナリオにおいてのみ機晶石が利用されている武器・防具の
　　効果に＋補正があるとみなします。具体的に申しますと戦闘での演出がやや派手になります。

３：ある研究員の当時の心情が描かれています。
　　その場で読むことも、後で読むこともできます。

　

■NPCに関して
　当シナリオでは私が今までに手がけたシナリオで登場したNPCが登場します。
　詳細を記載しますのでご参考程度にどんな人物たちか知って頂けると幸いです。


・久瀬　稲荷（くぜ　いなり）
　ツァンダ南部の蒼空学園分校で教員をしている男性です。
　昔は冒険者だったらしく、当時の仲間を助けるために色々と調べたりもしているようです。
　幽霊が苦手で宿直の日には誰かを呼ぶこともあるようです。生徒たちを呼んだときもありました。

　とある事件で右腕を失いました。
　いまは機晶技術を使用した義肢を付けています。
　機関銃が内蔵していたりとかなりアクティブな義手のようです。


・エンジェル
　久瀬の出会った人物です。
　書物に記されるパラミタ古代種族である熾天使の特徴が見受けられるようですが……。
　額に水晶のようなものがついています。

　どうやらニルヴァーナに所縁のある人物のようです。



■NPCの死亡に関して　
　参加者のアクションによってはエンジェルおよび久瀬が死亡する可能性があります。
　エンジェルの生死はメインシナリオ分岐条件によって変化します。
　久瀬の生死は参加者のアクションで変化します。研究施設に連れ出したりすると……。
　

■アクションに関して
　前回のシナリオにおいて久瀬よりも先にニルヴァーナへ向かったアクションが採用された方は、
　他の参加者よりも先に行動ができます。裏道を探すのに適したスキルがあれば誰とも合わずに侵入することもできるでしょう。
　ステルス系は鬼門なのでご利用には細心の注意を……。
　なお三ヶ月待って皆と行動を共にする場合は下記の情報を得たものとします。

　・機晶姫が守っている正門を通らずに研究施設内に入れる裏道を見つけている。

　
■称号に関して
　当シナリオには称号の付与は基本的にありません。
　ただし、私が面白いと感じたアクションを成功させることができたキャラクターにはそれに関係した称号を付与致します。
　こちらを目標にするのも楽しいかもしれませんね。



■公開日に関して
　リアクション公開予定日は１０月１日となります。
　参加いただく皆さまにはご迷惑をおかけ致しますがご了承ください。

・一人にはできない

・冒険者の自由にはさせないよ

・皆の案内役を……

・色々やってみる