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祭壇に現れし魔獣 ~ガルディア・アフター~

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祭壇に現れし魔獣 ~ガルディア・アフター~

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シナリオガイド

生贄の少女を救え
シナリオ名:祭壇に現れし魔獣 ~ガルディア・アフター~ / 担当マスター: ウケッキ

 
 荒野の道を一人の青年が歩いています。
 短めの黒髪で軽装。腰には一本の長い太刀。気怠そうなその水色の瞳は少し向こうに見える村を見つめていました。
「……生身の身体というのは、不便だな」
 黒髪の青年――ガルディアは額から流れる汗を拭いながら足場の悪い石の転がった道を進みます。
 見えていた村に着いた頃にはもう日は傾いて辺りは薄暗くなっていました。
 彼は宿を取ると、案内された部屋に荷物を下ろします。
 慣れない荒野の旅による疲れもあってかベッドに吸い込まれるように倒れ込み、そのまま眠りに落ちていきました。

 彼は夢を見ました。遠い遠い……記憶。もう訪れる事のない幸せ。
 彼の傍らにいるのは一人の少女――エリー。薄い水色の髪をした少女は無垢な笑顔を彼に向け、寄り添います。
 ふと、彼女が立ち上がり歩き出します。彼もそれ追おうとするのですが体が動きません。
 彼女は少し歩いて立ち止まると、彼に向かって微笑んで背を向けて歩いて行きます。
(待ってくれ……エリー……)
 手を伸ばしますが、その手が彼女に届くことがもうないことを……彼は知っています。
 それでも悲しき幸せな幻影に、手を伸ばさずにはいられないのでした。
「……エリーっ!」
 彼が目を覚ますと、そこは宿の一室。暖か味のある木の天井が彼の目の前に広がっています。
 身体を起こし、彼は深く息を吸いました。
「また……か」
 爪が食い込んで血が出る程に彼は拳を握ります。過去を振りきれない自分に対する苛立ちを示すかの様でした。
 何かに気づいて彼は立ち上がり、ふらっと宿の外に出ます。
 耳を澄ますと何かが聞こえてきました。
「…………歌?」
 綺麗なその歌声に導かれるように彼は歩きます。
 村はずれの花畑で一人の少女が歌っていました。薄い水色の髪が腰まで緩やかに伸びています。
 記憶の中の少女と目の前の少女が重なり、つい彼の口から言葉が漏れます。
「エ……リー……?」
「……え?」
 少女は歌うのをやめ、振り返ると見知らぬ人物である彼に対し警戒するどころか優しく微笑みました。
 ガルディアは少女から目を背けます。助けられなかった記憶の中の少女に合わせる顔がないかとでもいう様に。
 彼の手を取ると少女は問いかけました。
「私はリュアナ。あの、歌、もう少し聞いていきませんか?」
 彼は驚くようにゆっくりと水色の目を彼女に向けた。
「なぜ、見知らぬ旅人である自分から逃げないのか、ですよね。答えは簡単です――優しい目をしてるから」

 村に滞在する間、ガルディアは夜になる度、花畑でリュアナの歌を聴くことが多くなりました。
 特に何か言うわけでもなく、唯々目を閉じて歌を聞いています。
 
 ある日の夜、リュアナは花畑に来ませんでした。
 ガルディアは少し待つように花畑で過ごすと、宿へと引き返します。
 その道の途中で彼の耳に話し声が聞こえてきました。
「おい、イケニエの儀式が行われるっていうのは本当か!」
「ああ……今さっき血筋の巫女を連れて村長達が神殿に入って行ったよ」
 男の一人が肩を落としながら言います。
「遅かったか……血筋の巫女、リュアナちゃんだよな……あの歌、もう聞けないんだな」
「そうなるな」
「くそ…………いつまで、こんな……」
 空をぼうっと眺めている方の男が肩を落とす男の方を向きました。
「そろそろ気持ちを切り替えろ。明日も仕事だろ、お前」
 肩を落とす男はふっと顔をあげ、叫ぶように言います。
「俺、戦う力を持っている人達に助けてもらえないか頼んでくる!」
「無意味だと思うぞ。今までに何人の奴らがあいつの討伐に失敗したと思ってるんだ? どうせ頼んでも、また死体の山が増えるだけさ……」
「ほんとならすぐにでも助けに行ってやりたいさ……でも、戦う力なんて俺にはない――――けど、できることは自分が無理に戦う以外にあるはずだ!」
 助けを呼びに男が駆けだした時、ガルディアはそこにいませんでした。
 彼は一人、宿の一室でベッドに座っています。
 彼は刀を抜こうとしますが……手が震え、上手く抜くことができません。
 頭には助かられなかった少女、エリーの最後の瞬間が何度も、繰り返し、繰り返し、思い浮かびます。
「……俺は……ッ」
 彼はベッドに力一杯、拳を叩きつけます。
 ガルディアは一人、暗い部屋の中で過去と戦っているのでした。

担当マスターより

▼担当マスター

ウケッキ

▼マスターコメント

お初の人もそうでない人もこんにちわ、ウケッキです。
このシナリオは「赤と青の鼓動、起動するは人型古代兵器」の続編となります。
時系列は「赤と青の鼓動、起動するは人型古代兵器」の一ヶ月後。
時刻は夜となります。


シャンバラ荒野の一角にある村から救援依頼です。
神殿の奥に住む魔獣ヴィグール。それに捧げられることになった少女、リュアナ。
彼女はイケニエとしてその命を失ってしまうのでしょうか。
それともヴィグールという脅かす存在から村は救われるのでしょうか。
そして過去に囚われ、前に進めないガルディアはどうなってしまうのでしょうか。

全ては皆様の行動に掛かっています。
また今回は村人から魔獣に関する言い伝えの文献が提供されています。

●登場人物と詳細情報

ガルディア
:黒髪短髪、水色の瞳の青年。武器は身の丈ほどもある細く長い太刀。
 戦う事しか知らなかった戦闘マシーンであった過去を持つ。
 過去のとある出来事により心に深く傷を負っており、武器を持つことができなくなっている。
 基本的に無口で無愛想に見えるが人との接し方を知らない為であり、本人に悪気はない。

エリー
:薄い水色の髪の少女。
 過去にガルディアと深い仲にあったが、とある出来事により既に死亡している。

リュアナ
:エリーに似た薄い水色の髪の少女。
 歌うことが好きでよく夜に村はずれの花畑で歌っていた。
 血筋の巫女と呼ばれ、村では特別な意味を持つ家系。


●魔獣に関する書物
 其ノモノ、家屋ホドノ巨体を持ツ獣ナリ。イカヅチヲ自在ニ操リ、時ニ 二本ノ脚デ アバレマワル。
 其ノモノ、不可思議ナ結界ヲモチ、イカナル魔法モ効果アラズ。

 数百年ニ 一度目覚メシ古ノ魔獣ヴィグール。
 其レカラ逃レタクバ 血筋ノ巫女ヲ イケニエトシテ捧ゲ ソノ身モ魂モ ヴィグール ニ喰ラワセルベシ。
 サスレバ ヴィグール ハ 再ビ長キ眠リニ落チル。

●神殿に関する情報
 地上部分は一階程度しかないが、その内部は地下に深く広がり、最深部にヴィグールの祭壇がある。
 地下部分には長く人が立ち入っておらず、怨霊や亡者達の住処となっている。
 罠の類は仕掛けられていないが、内部は狭く奇襲に注意しなければ全滅の可能性もある。


▼サンプルアクション

・イケニエなんて許せないな

・魔獣を討伐したい

・ガルディアが過去と戦っているのなら、その手助けがしたい。

・魔獣と村に伝わっているのなら他にも何か文献があるんじゃないかしら。

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2013年09月09日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2013年09月10日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2013年09月14日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2013年09月27日


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