蒼空学園

　パラミタで開発されたオンラインゲームが完成し、ネット配信に先駆けて抽選で選ばれたプレイヤーがゲームに参加できる企画―――デモンストレーション開催が開発会社の方で持ちあがりました。

　蒼空学園の講堂に設置された巨大なモニターと、その前方で扇状に広がる机にはゲーム開発を行う数社が技術を結集させて開発したゲーム用特化パソコンが整然と配置されています。新作オンラインゲームの披露場所に蒼空学園の講堂が選ばれ、そのイベントには他校の生徒も多く招待されます。
　
　見学者用に設置されたモニターのテストも終了し、ゲームのデモンストレーションを翌日に控えた講堂では馬場　正子（ばんば・しょうこ）やゲーム会社の技術者が慌ただしく準備に追われていたのです。



　◇　　　◇　　　◇


　オンラインゲーム披露イベント当日―――

　蒼空学園の生徒は勿論、宣伝を受けて他校の生徒も集まり始めた講堂はデモンストレーション開始時間が近付くにつれて賑わいを見せていました。テストプレイに参加する生徒の中にはシルヴァニー・リードリットの姿もあります。
「イーシャン・リードリットも来れれば良かったんだけどな……ま、団長の用があるんじゃ仕方ねえか。誰か見知ったヤツいねえかな……」
　設置されたパソコンが並ぶ机には、既に席について開始を待っている生徒も多くみられる中でシルヴァニーは高円寺　海（こうえんじ・かい）の姿を見つけました。その１つ前の席には雅羅・サンダース三世（まさら・さんだーすざさーど）の姿もあります。声をかけようとしたところで、ゲーム参加者は席について準備するよう案内放送が流れ、シルヴァニーは仕方なく自分の席について案内に従いまずは操作するキャラクター作りから入りました。

　イベントが開始された頃―――


　シャンバラ教導団金　鋭峰（じん・るいふぉん）の執務室では、イーシャンが鋭峰の前に立っていました。
「先頃の事件――ゾンビの館で取り逃がした首謀者について、君に聞いておきたい。彼は、君の……ん？　何事だ？」
　イーシャンに問い質そうとした鋭峰が言葉を途中で止め、飛び込んできた教導団員に視線を向けます。反射的にイーシャンも振り返り、慌てながら報告する教導団員の言葉を聞くとイーシャンは一目散に蒼空学園へと向かっていきました。

『蒼空学園講堂にて行われていたオンラインゲームのデモンストレーションイベントで異常事態発生、参加していた生徒は全員会場から姿を消し、見学用に設置されたモニターの情報からゲームの世界に閉じ込められた事が解りました』

　その報告が各学校に知らされると、見学に来ていた生徒達が原因を探ろうと動き始めるのでした。
「とにかく、おぬしらは技術者たちの手助けをするのだ。……デモンストレーション後には、わしの包丁技を披露して料理を振舞うはずだったがそれどころではなくなってしまったか……」
　蒼空学園校長、馬場正子は心底残念そうにつぶやきます。本当にそれどころではないと見学していた生徒からツッコミを受けるも、校長として指示を飛ばし始めました。

　そんなイベント会場を見学席から見下ろす１人の男―――
「……さて、これは私にも予想外な出来事になってしまったか。まあ、契約者の皆さんなら何とかするでしょう……私に気付く者が現れたら逃げればいいだけです」
　見学席から高みの見物を決め込んだ人物、鋭峰がイーシャンに訊ねようとした先頃の事件で逃亡した首謀者でした。


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　仮想世界に閉じ込められた契約者達は、オンラインゲームの世界――物語の最初に訪れる森の中に集まっています。ゲームの世界には高円寺　海、雅羅・サンダース三世、そして参加していた契約者達とシルヴァニー・リードリットが居ます。
　開発会社の技術者達は、何とか現実世界＝パラミタと仮想世界＝ゲームの世界を音声のみ繋げる事が出来ました。
「やっぱり、ゲームの世界に入り込んでしまいましたのね。どういう事なのかしら……」
　海が意味深な視線を雅羅に送っていると、それにつられて幾人かの契約者達もそれに倣ってか視線を向けました。
「なんです？　何か言いたそうですけれど……」
「いや、雅羅のジンクスのせい……じゃないよな」
　シルヴァニーが興味深そうに海に聞き出そうとしたところで、雅羅が怒り出してしまいます。

「私のせいにしないでちょうだい！　いくら災難体質でも限度というものがあるでしょう！」

　雅羅の怒鳴り声は、ゲームのスピーカーを通して現実世界にも響き渡ったのでした。


　仮想世界から現実世界へ―――

　想定外の冒険をする事になってしまったゲーム参加者達と現実世界で手立てを講じる見学者達、そして一計を謀ったと見られる謎の男―――
　
　蒼空学園の講堂を舞台に体力と頭脳を賭けた勝負が始まろうとしていました。

初めましての皆様も、再びお目にかかれた皆様もこんにちはです。

小湊たまごです。

今回のシナリオは

仮想世界＝ゲーム世界に閉じ込められてしまいました。現実世界からの助けを借りて脱出しましょう
現実世界＝蒼空学園で原因を突き止め、ゲーム世界から契約者達を助けよう

上記が主な行動になります。
仮想世界には高円寺　海、雅羅・サンダース三世、シルヴァニー・リードリットが居ます。特に同行したいＮＰＣがいる場合はアクションに明記して下さい。
現実世界には馬場正子、金　鋭峰、イーシャン・リードリットが居ます。こちらも特に一緒に行動したいＮＰＣがいる場合はアクションに明記して下さい。
現実世界には「首謀者」も居ます。彼の正体を探ろうとするのも有りです。


■首謀者について
前作「ゾンビの館！　救出を求む調査隊」にてゾンビの研究を進めていた主任研究員です。護衛についていた契約者の方達と共にシャンバラ教導団の捕縛を逃れました。
赤の書・青の書と何らかの関わりがあると見られています。


■オンラインゲームについて
蒼空学園でデモンストレーションのイベントが行われていたオンラインゲームはＲＰＧです。
装備している武装・スキルも使用に制限はありません。
モンスターも出現しますが、ゴブリンからドラゴン、ゴーレムといった幅広いレベルのモンスターが配置されている世界です。
デモンストレーションの為に用意されたミッションを達成する事でゲームクリアなので、まずはミッション達成を目指しましょう。

ミッション内容：仮想世界に降り立った国の王様は実は偽物です。モンスターが化けた偽の王様の正体を暴き、本物の王様を助けて下さい。


■ＮＰＣについて
特に同行希望がない場合、下記のアクション判定で同行ＮＰＣが決まります。
※このシナリオ内のみですが、例としてＭＣは海にＬＣは雅羅にという別々の行動も容認致します。

高円寺　海：ミッションで主に攻撃要員として動きます。武器での攻撃を主とするＰＣ様は海に同行します。　

雅羅・サンダース三世：ミッションで主に後衛として動きます。魔法スキルや弓、銃といった遠距離攻撃を主とするＰＣ様は雅羅に同行します。

シルヴァニー・リードリット：ミッションで主にサポートとして動きます。回復を中心に行うＰＣ様はシルヴァニーに同行します。

馬場正子：見学していたＰＣ様と共に現実世界から仮想世界へ指示とアドバイスの指揮を執ります。

金　鋭峰：正子と同じく、仮想世界への指揮を執りますが首謀者逮捕を優先するので、所属校に関わらず首謀者逮捕を中心に行動するＰＣ様と同行します。

イーシャン・リードリット：正子、鋭峰どちらにもサポートとして動きます。


シナリオに登場する小湊ＮＰＣ

赤の書（ロート）イーシャン・リードリット
性別：男

初見は「双子の魔道書」
シャンバラ教導団が保持する魔道書です。
あらゆる魔法スキルの力を解放し、威力を底上げします。


青の書（ブラウ）　シルヴァニー・リードリット
性別：男

初見は「双子の魔道書」
シャンバラ教導団が保持する魔道書です。
未知の魔法を生み出す潜在する知識を持っています。

※赤の書・青の書は自発的に魔道書の力は使えません。外部からの命令でのみ力を行使しますので「力」の解放にはＰＣ様からの命令が必要です。

・仮想世界でクリアを目指す

・原因を探りつつ、仮想世界へ指示を出す

・首謀者を逮捕に向かう