蒼空学園

　先日の失神から跳ね起きるように覚醒した破名・クロフォード（はな・くろふぉーど）は、痛む頭に眉間に皺を寄せつつ、応接間の壁を見つめます。
「起きていたんですね」
　極力音を立てずにドアノブを回し室内に入ってきた手引書キリハ・リセンは抱えていた書類をテーブルの上に置いて破名の側に寄ると、頬に触れ目の色を確認し異常は無いですねと息を吐きます。
「どのくらい寝てた？」
「気にするほどではありませんよ。子供達は二ヶ月くらい覚悟していたみたいですけど、回復が早くなったのは利点ですね」
「……文句を言われずに済むな」
「そうですね。皆楽しみにしていましたから。居ないことに慣れてはいますけど、居ないより居たほうがやはり良いみたいです。それに、もうすっかり歌は覚えたみたいですし……もしかしてそれで起きましたか？」
　応接間の外では先程から子供達が飽きもせず同じ歌を歌っています。
「……七夕か。ハロウィンじゃないのか？」
　いつかの会話を掘り返されてキリハはその時と同じく頷きました。
「ハロウィンではないですよ。内容はそっくりですが。地球の島国の地域の風習みたいです。そういうのがあると話をしたら年に二回お菓子が貰えると子供達が盛り上がっていたではないですか。嫌ですね、記憶の欠落ですか？」
　自分にだけ言葉を選ばないキリハに、破名は真面目な顔できつい事をと弱く笑います。


「竹に短冊七夕祭り　多いは嫌よ　ローソク一本頂戴なー　くれなきゃ顔をかっちゃくぞー」


　聞こえてくる囃子唄に頭痛が治まった破名は応接間を出て、浴衣を着せられたジェイダス人形（大）と空のカバン類と荷物が詰まったバックが散乱している玄関に思わず両腕を組みました。
「……まるで旅行だな」
　たったそれだけの光景で子供達がどれだけ楽しみにしているのかがひと目でわかり破名は緩く目を細めます。

　はじめましての方もお久しぶりな方も、こんにちは。保坂紫子と申します。
　どうぞ宜しくお願い致します。
　今回は緩めのフリーシナリオの形式を取らせていただきました。

　浴衣を着た子供達がお菓子をねだりに皆様のご自宅等の玄関先にお邪魔するというのが基本的な流れになっております。
　ですが、場所の指定は特に設けておりません。一般のしかも子供が大勢入れる場所であればご自由に設定していただいても問題ないかと思います。どんな場所でも、どうにかしてバスは現地に向かいます！　大丈夫です！　お菓子をいただけるのなら！
　一ヶ月ほど前から予定を立てておりまして、それぞれ事前にアポイントを取って伺うという形ですが、先日の騒動やら何やらで耳に入り知ったという流れでも問題ないかと思います。お菓子をいただけるのなら！
　また移動は小型バスを利用しています。（一日では回り切れないと思われますので二泊三日くらいの小旅行となっています）

　ろうそくをねだる歌ですが、本当にろうそくが出てきたらがっかりしますのでご注意を！


■以下はＮＰＣの簡単な情報です。
・王　大鋸
　空京の公園で待ち合わせ予定です。

・シェリエ・ディオニウス
　ザンスカールの街の一角にあるおしゃれな喫茶店。
　【カフェ・ディオニウス】で、待ち合わせ予定です。

・シェリー・ディエーチィ
　孤児院『系譜』の最年長のシャンバラ人の少女です。
　先日の騒動から恥ずかしさ故に破名を避け気味になっています。

・破名・クロフォード、手引書キリハ・リセン
　いつも通りです。浴衣とか着ません。
　※破名はシェリーを引き取った頃から彼等子供達に自分の能力を見せたり知られたりするのを避けています。

・孤児院の子供達
　ニカ（守護天使の少年）、ヴェラ（ヴァルキリーの少女）、フェオル（獣人の幼女／最年少）、
　等、古王国時代に居た機晶姫、悪魔、魔女以外の種族が主たるメンバーです。

・バスの運転手（おまけ）
　マザーのお孫さんです。今回無理を言ってお願いしました。

・お菓子をあげる。

・ろうそくをあげる。