蒼空学園

　空京にある男子禁制の尼寺、「Can閣寺」（きゃんかくじ）。
　先日このCan閣寺が一日お寺体験というイベントを行ったところ、なかなかの盛況を呈しました。
　その盛り上がりは、女性に大人気という評判通りのものだったといえるでしょう。
　お寺体験をした者たちの話を聞くと、どうもその好評の理由は、
　恋愛ごとが絡んでいるようでした。
　宗派などは公表されていませんが、おそらく女性たちの恋の悩みをここでは主に扱っているのでしょう。
　事実、お寺からは夜な夜な、熱いガールズトークが聞こえてきています。
「えーマジ？　そいつ超ダサくない？　なんで付き合ってんの？」
「ていうかダサくないし。マジかっこいいし。足とか超なげえから」
「なにそれウケる。身長だけモデルみたいな。だけとか言ってウケる」
　尼僧の声でしょうか、はたまたお寺へ参った女性たちの声でしょうか。
　彼女らは日々ここで煩悩にまみれています。
　そして今日もひとり、またひとりと、噂を聞いた者たちがCan閣寺の門を叩きに来たようです。

　しかしその評判は、決して良い方向にばかり作用したわけではありませんでした。
「尼僧としての品位はないのか、あやつらには。まったく、恥をしれい！　最近の女性は浮つきすぎておる！」
　Can閣寺のあまりの風紀の乱れように、憤った表情でそう怒りを漏らしたのは、
　流浪のサムライ渡辺謙二（わたなべ・けんじ）でした。
　どうやら古風な考えを持っている彼は、Can閣寺の現状に心底嫌気がさしているようです。
「もはや我慢ならぬ。拙者が直接話をつけよう。始末に終えぬようであれば、態度で示すまでよ」
　謙二はそのまま怒りに身を任せ、なんと寺へ押し入ろうとしてしまったのです。
　さらに、謙二は自らの弟子たちも引き連れています。その数およそ、十名ほどでしょうか。
　このままでは彼らは強引に寺へ突撃し、お寺の占拠など強引な方法で自らの主張を通そうとしてしまうかもしれません。
　謙二の言い分も分からなくはないですが、
　一部の女性たちの駆け込み寺として、尼僧たちが女性の悩みのはけ口となっていたのもまた事実です。
　はたして彼らの暴挙とも言えるこの行動、止めるべきでしょうか。それとも止めないべきでしょうか。

　その一方では。
　こないだのお寺体験に参加していた英霊、紫　式部（むらさき・しきぶ）が再びCan閣寺に足を運んでいました。
　どうやら彼女は、あれからちょくちょく恋の悩みを話しに来ているようです。
「私、ほんとにどうやったらモテるの？」
　困り顔の式部にアドバイスをするのは、Can閣寺の副住職、苦愛（くあい）です。
「大丈夫、キミは自分の可愛さにまだ気づいてないだけだよ？　試しに、ちょっとデートに出かけてみて！」
　そう言って、苦愛は式部にデートコースを書いた紙を渡しました。式部はそれを見て驚きます。
「ちょ、これっ……金額的に大人のデートコースすぎない？　私そんなにお金ないし……」
　式部の言う通り、そこに書かれたデートコースは、
　高級アクセサリーのお店や眺め抜群のレストラン、お洒落なバーなど、
　明らかに学生のデート代では済みそうにないものばかりです。しかし苦愛は、笑って言います。
「ほんとに魅力的な子にはね、男の子はお金を使うことをためらわないんだよ？」
「え、ええー……大丈夫かなこれ……」
　要するに男にお金出させちゃいなよ、ということらしいのですが、
　式部はデートコースに、不安しか感じませんでした。
　しかし苦愛は、笑顔を浮かべたまま、半ば強引に式部を空京の街へと送り出すのでした。


※当シナリオのＬＣ追加は、１ＭＣひとりまでとさせて頂きます。ご了承ください。

マスターの萩栄一です。
久々にシリーズものをやらせていただくことになりました。
本シリーズは全３回を予定しており、今回はその１回目です。
前回のシナリオ「比丘尼ガールと切り裂きボーイ」はこのシリーズの導入編という位置づけですが、
参加されていない方でも基本的には問題ありませんので、お気軽にご参加ください。

Can閣寺に恋愛相談を持ちかける、謙二と絡む、式部を口説いてみる、その他の行動、
ガイドに沿ったアクションであればどのようなものでも構いませんが、
MCとLCがまったくバラバラの行動をとるなどしてダブルアクションにならないよう、ご注意ください。
また、ガイドにもある通り１ＭＣにつきＬＣの追加はひとりまでとさせていただきます。
ふたり以上のＬＣを参加させた場合、ふたり目以降は没とさせていただきますのでご了承ください。

舞台は空京で、知らせは全校に出ているため学校の制限はありません。
所属学校関係なくどこに所属している方でも遠慮なくご参加ください。

ここからはシナリオ内の設定についての捕捉です。よくお読みの上アクションをかけてください。

【渡辺謙二（わたなべ・けんじ）について】
現代に侍の魂を蘇らせんとする古風な考えの持ち主です。
50代くらいの男性で、和服にちょんまげ、武器は日本刀といういかにもな出で立ちです。
男女に関しては、男は強くあるべき、女はしとやかであるべきという固定観念を持っているようです。
その堅苦しい性格ゆえか、この歳で女友達がひとりもいません。
今回、Can閣寺を占拠することも考えている彼は、10名ほどの弟子を引き連れています。そこそこの強さがあります。

【式部とのデートについて】
今回式部を誘うアクションをかける方は、基本的に下の三つからどれかを選ぶ形となります。
・高級アクセサリーのお店
・眺め抜群のレストラン
・お洒落なバー
ただし、サプライズとしてこの他のデートコースに連れ出すことも状況次第では可能です。

このシリーズはコメディー要素もシリアス要素もありの、色々な楽しみ方ができるシナリオにしていく予定です。
今回は原点に立ち返って、「シリーズものの醍醐味である、アクション次第で次回以降の展開がガラっと変わる」
ということを今まで以上にフィーチャーしていきたいと思います。
皆様のアクション、楽しみにしております。

・Ｃａｎ閣寺に恋愛相談しに行く

・謙二と共に浮ついた尼僧を叱咤する

・謙二を止める

・式部をデートに誘ってみる