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精霊と人間の歩む道~凍結せし氷雪の洞穴~ 後編

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精霊と人間の歩む道~凍結せし氷雪の洞穴~ 後編

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シナリオガイド

――そして人間は、精霊と歩む道に未来を見い出せるか!?
シナリオ名:精霊と人間の歩む道~凍結せし氷雪の洞穴~ 後編 / 担当マスター: 猫宮烈

「ミサカ、現時点で判明している氷雪の洞穴の状況を説明してくれ。……ヴァレリア、いつまで怠けている。こちらに近付いているという冷気の様子を観察してこい」
「ちょっと、巻き込まれでもしたらどうするつもりよ。……分かったわよ、行ってくるからそんな目で見つめないで、感じちゃうわ」
 気だるそうに部屋を出ていくヴァレリア・ミスティアーノ(う゛ぁれりあ・みすてぃあーの)を視線だけで見送って、エリオット・グライアス(えりおっと・ぐらいあす)ミサカ・ウェインレイド(みさか・うぇいんれいど)の報告する内容を書き留めていく。
「氷雪の洞穴の最奥部に『氷龍メイルーン』が出現……レライアがメイルーンに取り込まれた……同時に発生した地割れが、洞穴内部のいくつかの分かれ道を通行不能にしている……こんなところか。ミサカ、他に報告するべき内容はあるか?」
「いえ、その他には……。あの、エリオットさん、皆さん大丈夫でしょうか……?」
 不安気な表情のミサカに、エリオットは表情を緩めずに答える。
「楽観的なことは口に出来ない。だが、これだけは言おう。私達は簡単に負けてやるつもりはない。相手がどれほど強大で、抗えぬものであったとしても、だ」
「エリオットさん……」
 エリオットの言葉に、ミサカの表情が幾分和らぐ。
(やれやれ……このようなことを口にするなど、正気の沙汰ではないな。……『発狂して』いるのだからある意味では正しい振る舞いなのだろうか)
 ヴァレリアの言葉を認める結果になることに、エリオットが自嘲的な笑みを浮かべたところで、ヴァレリアが観察から戻ってくる。
「髪に氷がついたわ、後で手入れをお願いね。直接見たって子が言うには、冷気はイナテミスの右手に広がる森の一部を凍らせながら、街の中心を目指して進んでいるみたい。このままだと確実にここを襲うわね」
 自分たちがいる場所を指して、ヴァレリアが呟く。
「氷雪の洞穴に出現した氷龍、それに合わせるように冷気の襲来……2つの事象は関係していると見て間違いないな。となれば、私達のやるべき事は自ずと決まってくる」
 椅子から立ち上がったエリオットが、視線を向けてくるミサカとヴァレリアに告げるように、口を開く。
「私達は、洞穴に向かった者共が氷龍を滅するまでの間、この街を守り抜く」


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 イナテミスに忍び寄る冷気は、段々とその強さを増していく。
 街の住人と生徒、そして精霊とが協力して修復した門や壁、建物が吹き付ける氷の粒にたたたん、と打ち鳴らされる。
 
 それは公会堂も例外ではなく、防寒結界で弱められたとはいえ、時折入り込む氷の粒が騒音を奏でる。
「おねぇちゃん……」
 今にも泣き出しそうな顔をした女の子を、ミーミル・ワルプルギス(みーみる・わるぷるぎす)の羽が優しく包み込む。
「大丈夫です。皆さんが全部、守ってくれます。ですから皆さんも、信じてください」
 ミーミルの言葉に応えるように、一人が頷き、その頷きは部屋の者たちに伝播していく。それまでどん底にあった部屋の雰囲気が幾分持ち直したことに、ミーミルが微笑みを見せたところで、公会堂の扉が開かれる。やがてミーミルの前に姿を表したサラ・ヴォルテール(さら・う゛ぉるてーる)が、毅然とした態度で口を開く。
「皆も準備を始め、済んだ者は動いてくれている。私も彼らと共に動くつもりだ」
「お兄様を助けてくださった恩もあります。街のことはわたくしたちにお任せください」
 次いで現れたセイラン・サイフィード(せいらん・さいふぃーど)に頷いて、ケイオース・サイフィード(けいおーす・さいふぃーど)がミーミルに告げる。
「君は万が一の時に備えて、ここに残ってくれ。……あの時のようにもう一度、日の出を共に見よう」
 闇黒の精霊らしくないけどね、と付け加えたケイオースに、ミーミルが微笑を浮かべ、振り返って立ち去る三人を見送る。
(皆さん、どうかご無事で……)


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『……報告は済ませた。我は先に現場に向かい、見張りを継続する』
 報告に向かわせたデューイ・ホプキンス(でゅーい・ほぷきんす)からの連絡に頷いて、ミレイユ・グリシャム(みれいゆ・ぐりしゃむ)が自らの従えるキメラ、メッツェを呼び寄せる。主のところに駆け飛んだメッツェは、いつでも命令を遂行出来るよう低い姿勢でじっとミレイユを見つめていた。
「よかった、まだここにいたのだな」
 そこへ、公会堂からセイランたちとは別行動を開始したサラが駆け寄ってくる。二人を見つけて、ルイ・フリード(るい・ふりーど)とアルフ、リア・リム(りあ・りむ)とプックルも集合する。
「私はあなた方にも協力を頼みたい。私が共に行けば、街の住人にもいらぬ不安を与えないと思う。何をしてもらうかはこれから決めるとして……どうだろうか?」
 サラの問いは、この中のリーダー的役割を担っているイレブン・オーヴィル(いれぶん・おーう゛ぃる)へと注がれる。一瞬だけ流れる沈黙、そして街の反対側から、凍りついた樹木が重力に引かれて倒れる音が響く――。


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(この氷龍ってのが、今回の異常な現象の原因ってわけね。……それにしてもデカいわね)
 十六夜 泡(いざよい・うたかた)が、全貌を露にした『氷龍メイルーン』を見上げる。龍というよりはもはや山であり、無数の氷柱の先に見える目と口らしきものがなければ、まるで登山者が冬の雪山に挑戦する心境を与えたかもしれない。それほどに眼前の敵は壮大であった。
「泡、あんたレラと仲良かったわよね。あんたならこんな時どうする? まさか放っておくなんてことしないわよね? ……べ、別に力を貸してほしいって言ってるわけじゃないんだからね!? あんなただデカいだけのヤツ、あたし一人だって余裕なんだから!」
 振り返って言いたい放題言ったカヤノ・アシュリング(かやの・あしゅりんぐ)の背後で、爆発音が響く。既にリンネ・アシュリング(りんね・あしゅりんぐ)が率いる『アインスト』の一行が、メイルーンへ攻撃を仕掛けていた。
「カヤノちゃん、リンネちゃん先に行くね! 待ってるから!」
「ちょっと、待ちなさいよリンネ! ……もう、勝手なんだから」
 呟いたカヤノが泡に背を向けて、表情を隠しつつ言葉を漏らす。
「……あんたになら、レラを任せられるかもね。ま、どうするかはレラ次第なんだろうけど!」
 そう言い残して、カヤノが開いた六対の羽を広げて、氷の剣を携えメイルーンに飛び込んでいく――。
(待ってなさい、レラ……!)


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「ああっ……!」

 同じ頃、ホルン・タッカスの家に、眠りについていたキィ・ウィンドリィの呻き声が響く。
「キィ、どうした!? ……これは……」
 駆け寄ったホルンは、キィの両手首に光輝く輪のようなモノが浮かび上がっているのを目の当たりにする。
(……今はとにかく、キィの容態が心配だ。誰かを呼んだ方がいいだろう)
 見舞いに来てくれた何人かの顔と居場所くらいなら覚えている、そう思い至ったホルンが立ち上がろうとしたところで、微かな抵抗を感じて振り返ると、うっすらと目を開けたキィが、ホルンの袖を掴んでいた。
「行か……ないで……ください……」
 懇願するように告げたキィへ、ホルンが微笑みを浮かべて膝をつき、手をキィの額へやる。
「……ああ、どこにも行かない。約束する」
 その言葉に、キィが安心したように微笑みを浮かべた――。


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 イナテミスを襲う冷気、そして、氷雪の洞穴で待ち構える『氷龍』。
 精霊と人間の歩む道は今、最大の難所を迎えようとしていた――。

担当マスターより

▼担当マスター

猫宮烈

▼マスターコメント

 猫宮・烈です。
 『精霊と人間の歩む道〜凍結せし氷雪の洞穴〜』後編を始めさせていただきます。

 注意点につきましては、前回示したのとほぼ同じです。
 両方のシナリオに参加された場合も、シナリオガイドを参考にご自由にアクションをおかけください。

 ここからは、『イナテミス』の情報を記載します。
 
 イナテミスは、皆さまのアクションにより、門や壁、建物などの施設は獣の襲撃、また強風程度であれば耐えられるほどに復興を遂げました。
 また、街の住人も全員ではありませんが、皆さんそして精霊に対して協力的な態度を取るようになりました。
 
 しかし、今度イナテミスを襲ってきた冷気は、触れたもの全てを凍りつかせながら迫っています。
 これがイナテミスに到達するようなことになれば、今度こそイナテミスは壊滅してしまうでしょう。
 
 これを防ぐには、氷雪の洞穴に現れた『氷龍メイルーン』が皆さんの手によって滅されるまで、冷気の進行を食い止めなければなりません。
 皆さんの信じる力があれば、冷気だって斬れます。皆さんが冷気へ攻撃をすることで、一定以上のダメージを通せば、冷気の進行を遅らせることが出来ます。

 ここからは、『氷雪の洞穴』の情報を記載します。
 
 探索の結果、最奥部【F】への道は開かれ、そして皆さんの前には『氷龍メイルーン』がそびえ立っています。
 メイルーンを倒せば、イナテミスを襲った異常気象を解消し、取り込まれていったレライアを救出することが出来ます。
 
 メイルーンは、山のような建造物が本体です。周囲の氷柱を崩していき、最後に中心部である目と口の部分を壊せばメイルーンは活動を停止します。倒さない限り、上から前から氷柱が迫り、口の部分からは氷結属性のアイシクルブレスを放ってきます。
 メイルーンの攻撃方法は以下の3通りです。
 
 ・氷柱落とし:物理攻撃。上空から降り注ぐため、避けにくい。
 ・生み出した氷柱を飛ばす:物理攻撃。生み出す予備動作を確認出来れば、比較的避けやすい。
 ・アイシクルブレス:氷結属性魔法攻撃。直撃を食らうと氷像にされる。
  兆候はあり、放たれる前にそこら中にある氷の壁の背後に隠れることで回避出来る。
  
 リアクション開始時に皆さんがいる場所は、エリア【E】かエリア【F】です。
 エリアEが拠点、一本道を挟んだ奥、エリア【F】が戦闘地点です。
 エリア【F】からメイルーンへは直ぐに攻撃出来ます。エリア【E】からだと少々かかります。

 なお、前回【四角い水色の直方体】を手に入れた皆さま。それは【アイシクルジャマー】です。使うと、
 ・1MC(LCも含む)の氷結耐性を長時間、0(つまり無効化)にする。無条件に成功する。
 ・メイルーンの放つアイシクルブレスを短時間、放てないようにする。ただし、成功判定を1回行う。
 のどちらかの効果を得られます。自分に使うか、メイルーンに使うかで効果が異なるアイテムです。
 どちらに使うかは、アクションで指定してください。

 なお、冷気および氷龍メイルーンは氷結属性で、同属性の攻撃は回復されてしまいます。炎熱属性の攻撃はよく効きます。
 各判定は各種パラメーターとアクションの優劣で決定します。
 アクション次第で法則すら覆るのが猫宮シナリオ、とだけ言っておきます。

 NPCが持っているスキルも、前回とほぼ同じです。
 サティナとレライアが抜け、セリシアとカヤノのスキルに変更があります。
 
 セリシア:蔦による物理攻撃・サンダーブラスト
 カヤノ:剣による物理攻撃・ブリザード
 
 それでは、よろしくお願いいたします。

▼サンプルアクション

・イナテミスを守るため、冷気に戦いを挑む

・戦いを挑む仲間を信じて、住人の混乱を鎮める

・氷龍メイルーンを、この手で打ち倒す!

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2010年05月15日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2010年05月16日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2010年05月20日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2010年06月15日


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