イルミンスール魔法学校

　シャンバラでも、大都市周辺ではインターネットを行うことができます。しかし、地球との常時接続は行うことができません。
　ところが先日、ヒラニプラの東、ヴァイシャリーの南に存在する岬を訪れた契約者が、地上からの電波を受信できる場所を発見したのです！
　そこは、トワイライトベルト上であり、東シャンバラとも西シャンバラともいえない渓谷です。但し、側に建っている古びた建物は、東シャンバラ側に存在しています。
　その建物は、遠い昔、魔術結社の拠点として使われていたようです。
　東シャンバラ政府では、その建物と周辺で、契約者達の心身を鍛えるための合宿を行うことを計画しています。
　この合宿の取り仕切りを担当することになったのは、ロイヤルガードの隊長を務める神楽崎　優子（かぐらざき・ゆうこ）のパートナーのゼスタ・レイラン（ぜすた・れいらん）です。
　彼は、タシガン名家の御曹司です。薔薇の学舎に籍を置いていますが、気まぐれで波羅蜜多実業高等学校で講師をもしている変わり者です。
　薔薇の学舎では普通に合宿への参加を呼びかけた上に「伝説の果実を採りにいこう」とも声をかけていきます。
「トワイライトベルトでしか生らない絶品の果実ってのがあるらしいんだ。現地で最高のスイーツを作り出すことも俺の目的だ！」

　百合園女学院では、生徒会執行部、通称白百合団の団長桜谷　鈴子（さくらたに・すずこ）が生徒会長の伊藤　春佳（いとう　はるか）と共に、生徒達に合宿への参加を勧めていきます。
「長期間使われていなかった建物ですので、まずは合宿に参加される皆さんが寝泊りできる状態にしなければなりません。掃除や、付近で採れた食材を使っての料理も大切な仕事です」
　鈴子と春佳は生徒会の仕事があるため、学院を長期間離れることは出来ませんが、鈴子のパートナーのミルミ・ルリマーレン（みるみ・るりまーれん）は、半ば強制的に参加するよう生徒会から言われています。ミルミは鈴子の代わりに、百合園生の代表を務めます。ライナ・クラッキル（らいな・くらっきる）も本人の意思で、ミルミと一緒に参加するそうです。
　また、友人のミクル・フレイバディが、彼女達のサポートの為にもと同行を志願しています。

　神楽崎優子はロイヤルガード隊員と志願者を集めて、合宿の案内と注意を促します。
「湖や川で賊行為を行っている盗賊グループの拠点の１つがその辺りにあるのではないかともいわれている。賊船を見つけたら、訓練の一環と考え討伐を試みてほしい。人数は多くはないようだが、観光に訪れた他国の者を狙ったり、シャンバラ外の国でも盗賊行為を行っている賊の一味と思われる。アジトを発見した場合は、ゼスタの指示に従って盗品を回収してくれ」

　イルミンスール魔法学校では、魔法考古学研究部の顧問であるグレイス・マラリィンが部員達に参加を勧めています。
「一軒家程度の建物のようだけれど、その建物にも興味があるんだ。何か昔の魔術に関する資料が残っているかもしれないしね。僕は契約者じゃないから、皆の引率として参加することになるんだけれど、現地では地球とインターネットが出来るようだし……気の合う人がいたら、僕も契約考えてみたいな」

　更に、イルミンスールの校長室ではこの件に関しての密談が行われています。
　アーデルハイト・ワルプルギス（あーでるはいと・わるぷるぎす）の元に、イルミンスールの森に住むリーア・エルレンという占い師が、青年を一人連れてきたのです。
　アーデルハイトとリーアはシャンバラ古王国時代からの知り合いです。
　青年の名は、ファビオ・ヴィベルディ。シャンバラ古王国時代、鏖殺寺院と戦って果てた女王の騎士です。彼は約２年前に地球人と契約をして復活しました。現在は訳有って薔薇の学舎に在籍しています。
「５０００年前の戦いの時に、あなたを倒した男のこと……思い出せるかしら？」
「……ローブを纏った黒髪の男。風の魔法は俺も得意な方だけれど、まるで歯が立たなかった」
　リーアの問いにファビオはそう答えました。
「その男の名は『ヴェント』。エリュシオンで書かれた手書きの魔道書じゃ」
　アーデルハイトが説明をしていきます。
　ジャンバラ古王国時代に、アムリアナ女王と敵対した魔道書が存在しました。女王に仕えていた多くの者がその魔道書により倒されてしまいました。
　ファビオが倒された後に、女王の騎士達がその魔道書のパートナーを討ち取ったことで、魔道書が人型になることはなくなりました。
　戦乱後にその魔道書はザンスカール家の手に渡り、大図書室で管理されていました。
　魔道書の文章は暗号で書かれており、解読する術は残っておりません。故に、魔術を行使できるのは魔道書本人のみです。
「その魔道書が３年半くらい前の蔵書整理時に、盗まれてしまったのじゃ……」
　犯人は生徒であったレスト・シフェウナとう名の少年と思われます。現在では青年に成長しているでしょう。
「最近、魔道書の魔術と思われる術を使う盗賊グループが現れての。どうやらその盗賊のアジトが東シャンバラの最南端辺りにあるようでな。……つまり、合宿が行われる辺りじゃ」
　過去に戦ったというファビオなら、それが魔道書の力かどうか判断できるだろから、ついでに調べてきて欲しいとアーデルハイトは続けました。

　パラ実本校、若葉分校に顔を出したゼスタは、パラ実生にはこう呼びかけていきます。
「山の中の渓谷だからな。食料となるものも沢山ある。近くに花畑もあるそうで、今はコスモスが満開らしい。更に盗賊達が運び込んだお宝もその辺りにあるって話だ。……だが、俺等の目的はそれだけじゃあない」
　バンと机を叩いて言葉を続けます。
「いいか。その地球の電波が受信できる場所には、なんと温泉が湧いているんだ。俺等の手でそこに立派な合宿所を建てて混浴温泉を作るぞ！　保健体育の実習やるぞー！」

　一方。
　西シャンバラでは、春から蒼空学園の大学に通うはずだった女子学生の捜索が行われています。
　魔道書をパートナーに持つ、天御柱学院パイロット科の卒業生のユリアナ・シャバノフという名の女性です。
　優れた能力を持った彼女は、特待生として御神楽　環菜（みかぐら・かんな）に招かれた人物でした。
　最近、川や湖で盗賊行為を行っているグループの中に、彼女に似た人物がいたという目撃情報が西シャンバラに広まっています。
「東シャンバラ政府主催の合宿は、東西関係なく契約者であれば参加できるようだ。貴官も参加をし、偵察し……報告せよ」
　首都に赴いていた西シャンバラのロイヤルガード名誉隊長である金　鋭峰（じん・るいふぉん）は、目を軽く光らせ、言葉に含みを持たせます。
「また、ユリアナ・シャバノフを発見せし時には、速やかに連れ帰るように。彼女は貴重な戦力となるだろう」
　金鋭峰は隊員の李　梅琳（り・めいりん）達にそう命じたのです。

こちらは優先学園なしのキャンペーンシナリオです。
シナリオの舞台は、ヒラニプラの東、ヴァイシャリーの南辺りにある岬付近の渓谷です。

今回のガイドの中では、アーデルハイトとファビオの会話のみ、ＰＣが知ることの出来ないＰＬ情報となります。
その他の内容につきましては、どなたでも噂で聞いたなどとして、知っているとしてアクションをかけていただいて大丈夫です。

スイーツ愛好会や魔法考古学研究部は入っているということにしていただいて構いません。
白百合団、若葉分校につきましましては、川岸のマスターページでご確認下さい。

なんだか裏もありそうではありますが、基本的にのんびりほのぼの楽しんでいただきたいシナリオです。
合宿の内容は、自給自足の生活と、ゼスタ達教師陣による基礎訓練、応急手当などの実習……のはずです。
調味料や、一般的なアウトドア用具は持参していきます。

【合宿同行予定ＮＰＣ（所属等）】
ゼスタ・レイラン（薔薇学、東ロイヤルガード、スイーツ愛好会会長、パラ実講師、吸血鬼）
ミルミ・ルリマーレン（百合園、白百合団、ヴァルキリー）
ライナ・クラッキル（百合園、白百合団見習い、ハーフフェアリー）
ファビオ・ヴィベルディ（薔薇学、元女王の騎士、ゼスタ付き添い？、ミクルのパートナー、ヴァルキリー）
グレイス・マラリィン（イルミンスール教師、魔法考古学研究部顧問、狼の獣人）
リーア・エルレン（イルミンスール在住、イルミンスール元講師、若葉分校講師、占い師、魔女）
ミクル・フレイバディ（百合園、白百合団、ファビオのパートナー、地球人、男の娘）
ブラヌ・ラスダー（パラ実。若葉分校生徒会庶務、シャンバラ人）
李　梅琳（教導団、西ロイヤルガード、地球人）

ＮＰＣは必要がなさそうなら、同行していても描写を行わない可能性があります。

尚、このシナリオではロイヤルガードに志願することが出来ます。
認められるかどうかは、これまでの実績（川岸のシナリオに限らず）や熱意、このシナリオでの行動次第かと思います。

それではアクション楽しみにお待ちしております！

・合宿所を建てる

・掃除をする

・食材の調達

・料理をする

・賊を探して攻める