聖戦のオラトリオ ~転生~ 最終回 ―Paradise Lost― リアクション公開中! |
シナリオガイド【イコン参加可】これが、すべてのおわり。ここが、すべてのはじまり――
シナリオ名:聖戦のオラトリオ ~転生~ 最終回 ―Paradise Lost― / 担当マスター:
識上 蒼
* * * (聞こえるかい、シャンバラ及び地球の諸君) 突如、大勢の頭の中に、直接声が送られてきました。 (今から、みんなに大事な話をするよ。 この世界は歪んでいる。絶え間なく人は争い、欲に塗れ、過ちを繰り返す。だから、僕達はこの世界を変えることにした。でもね、そのためには……) その内容が告げられます。 (全てを一度洗い流さなければならない――神がかつてそうしたように。そして全てをあるべき姿へ再生する。それが、今まさに僕達がやろうとしていることだよ) それは、現在の世界の滅亡を意味していました。 (もちろん、素直に受け入れてくれるとは思わない。だから、もし君達がこんな世界に価値があるって感じているのなら――僕達を止めに来なよ。逃げも隠れもしないから) 海京クーデター後、突然太平洋上に出現した「古代都市」 声の主――「総帥」、ノヴァはそこにいると告げます。 (それじゃあ、君達の「応え」を待っているよ) * * * 天御柱学院、パイロット科長室。 「科長、海京近海に空母が!」 「空母?」 イズミ・サトー科長は、その報告を受けました。 「はい。それも、見たことのないタイプです。 ……たった今、暗号通信が入ったようです。所属はF.R.A.G.であり、『教会』の命を受け、海京に使者を送ったと」 まだ戦闘するつもりはない、ということのようでした。 「え!? あ、はい。 科長、学院敷地内の旧イコンデッキに使者が到着したとのことです」 F.R.A.G.からの使者が乗るイコンは、何の前触れもなく出現しました。ステルス対策を施したレーダーにさえ、一切映ることがなかったためです。 「こんにちは、シャンバラの皆さん」 乗っていたのは、女性でした。 紅の左目と碧の右目、ウェーブがかったツーサイドアップの白い髪、陶磁器を思わせる白い肌。一見すれば十二歳の少女ですが、彼女の雰囲気には「少女」と思わせないだけの凄味があります。 「自己紹介をした方がいいかしらね。あたしはエルザ。イタリアの契約者養成機関『聖カテリーナアカデミー』で校長を務めている者よ」 シスター・エルザは簡潔に自己紹介すると、一枚の紙を提示しました。 「ヴァチカン――『教会』のトップからよ。内容は『休戦協定と「教会」庇護下の地球諸国とシャンバラ王国との友好条約』。それと『緊急依頼』ね。既に、こちらは調印済みよ」 その主な内容は、以下のようなものでした。 ・シャンバラの情勢に対する調査を欠いたまま、一方的に軍事的制裁を行ったことに対する謝罪。 ・今回の宣戦布告の件は全権を握ったマヌエル枢機卿の独断によるものであり、決してF.R.A.G.の総意ではないという旨。 ・危機が去った以上、争う理由がない。また、今後はF.R.A.G.と天御柱学院の双方を地球、パラミタの情報窓口として相互に協力していきたいということ。 ・協定、及び条約が結ばれた場合、海京の復興支援を約束する旨。 そして、緊急依頼の方は、 ・太平洋上に現れた古代都市を拠点とする勢力が、世界を脅かしていること。 ・その勢力をF.R.A.G.の理念に則り打倒せねばならないが、F.R.A.G.の第一、第二、第三特務が離反しその勢力に与したことで、強大な戦力を向こうが手にしてしまったこと。 ・そこで、シャンバラ王国――特に、天御柱学院の力を貸して欲しいということ。 ・協力してもらえることになった場合、イコン空母【トゥーレ】を前線基地として提供すると約束。 「もちろん、どんな事情であれ、『F.R.A.G.が戦闘を仕掛けた』ことに変わりはない。身勝手なものだとは理解しているわ。あたしはあくまで『ただのメッセンジャー』だから、これ以上は何も言わないけれど……交渉の末、『いい答え』が得られればと思うわ」 F.R.A.G.からは交渉役として、第一部隊隊長ダリア・エルナージと副隊長カール・ウェーバー、そして二人のパートナーが赴く予定だと告げました。 そして、最後に一言発します。 「聞こえているのでしょう? 交渉のテーブルをセッティングしてくれるとありがたいわ。天御柱学院の校長先生さん?」 (ふむ、シャンバラ政府には私から掛け合っておこう。政府も、徒に民からの支持を落とすような真似はしまい) コリマ・ユカギール(こりま・ゆかぎーる)からの返答を聞き、エルザは微笑みました。 その頃、【トゥーレ】の中で如月 正悟(きさらぎ・しょうご)は、途中の海域で回収・修復した『七つの大罪』【レヴィアタン】を見上げ、エルザの言葉を反芻していました。 (――あたしに出来るのは、舞台を整えることだけ。そして今、一つ可能性が増えたわ。あとはあなたが決めなさい。あなたが言う「世界の歪み」とやらに、どうやって抗うのかを) * * * 「『僕達を止めに来なよ』か。ふざけやがって」 辻永 翔(つじなが・しょう)はその言葉を思い出し、唇を強く噛み締めました。 「ああ。あの自分が神にでもなったような物言い、気に入らないな。だが、今の海京はこの有様だ。戦うにしても、まだ厳しいだろう」 アリサ・ダリン(ありさ・だりん)が翔の言葉に応じました。 海京クーデターによって、天沼矛は一部損壊。イコンベースの四分の一が破壊され、万全の整備が行えない状態になっています。 プラヴァーだけでなく、イーグリット・ネクスト改めジェファルコンも調整が完了しましたが、そのポテンシャルを発揮するためにも、出撃前の「最終調整」は整った整備環境の元で行いたいものです。 「プラントやヒラニプラでも整備は行えるが、あの古代都市へ行くとなるとあまり芳しくない。海京より遠くなるばかりか、パラミタから地球へ降りる手間がかかってしまうからな」」 それでも、最悪の場合はそこで整備を行うことになるでしょう。 地球上に、優良な整備環境がない限りは。 (魔力用ユニット以外は何とか間に合った。だが、ダメージフィードバック機構の調整が完全ではない。それでも乗るのか?) 牛皮消 アルコリア(いけま・あるこりあ)はジール・ホワイトスノー博士の言葉を思い返しつつ、彼女に依頼した改造第一世代機へ視線を向けました。 ブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)の技術の一種であるモーショントレーサーにより、自分の身体と同じ感覚でイコンを操縦出来るようになった機体。 生身の戦闘能力が高いほど力を発揮しますが、その分リスクは非常に大きいものです。腕を落とされれば腕の神経が切断され、脚ならば脚のものがと、機体のダメージが直接メインパイロットに跳ね返るようになっているためです。 ホワイトスノー博士による改造機は、もう一機だけありました。 「載せるだけは載せた。だが、まだ未調整だ。理論上は構想段階の第三世代に最も近い力を秘めているが、パイロットへの影響がどれほどか実証出来ていない。下手をすれば二度とイコンの操縦が出来ない身体になり、最悪の場合は死に至る可能性もある」 BMIを搭載したジェファルコン。 シフ・リンクスクロウ(しふ・りんくすくろう)はその機体を見上げます。 「博士、この機体に名前はありますか?」 「――ヤタガラス」 彼女達は、諸刃の剣ともいえるこれらの機体に乗るのでしょうか。 * * * 「ヴェロニカ、もう大丈夫なの?」 ニュクス・ナイチンゲール(にゅくす・ないちんげーる)は【ナイチンゲール】の元へ向かおうとする、ヴェロニカ・シュルツ(べろにか・しゅるつ)を見やります。 「……うん。ここにいるみんなのためにも、あの人を止めたい」 それに、と付け加えます。 「……呼ばれている、気がするの」 トレードマークの青いスカーフを、ぎゅっと握り締めます。 (「確定事象」。やっぱり避けることは出来ないってわけね……) 幾度となく同じ「時」を繰り返して彼女は、これが「最終決戦」となることを、その「結果以外」を知っていました。 (でも、今回は前までとは違う。ならば、あるいは――) * * * 天御柱学院本校舎。 「風間……課長……?」 白滝 奏音(しらたき・かのん)は、クーデターの首謀者として死亡したはずの強化人間管理課課長風間から、一通のメールを受け取りました。 『天住君に嵌められました。残りは零号――君だけです。私を助けて下さい』 そのメッセージと共に、地図が添付されていました。 エキスパート部隊の管区長五人が重症、あるいは死亡した今、学院最初期の六人の強化人間も、レイヴンの「完全適合体」となった彼女だけです。 この「風間」と名乗る人物の思惑とは、一体――? * * * 古代都市。 中央制御コンピューター「E.D.E.N」の前。 「ねえ、ローゼンクロイツ。『彼女達』は来ると思うかい?」 「来ますよ。『これまで』がそうでしたから」 ノヴァの問いに、彼が答えました。 「へえ、まるで何度も繰り返してきたみたいなことを言うね」 それに対しては、微笑で応じました。 「それにしても、『創世計画』とは随分面白いものを思いついたものね」 メニエス・レイン(めにえす・れいん)はノヴァに向けて言い放ちました。 「この世界を『創り変える』。それによって、僕達は『新世界』へ辿り着くのさ」 それが、自らの目的だとノヴァが告げます。 「さて、そろそろ『舞台』を整えないとね」 戦力は、 ・『七つの大罪』【ルシファー】、【ベルゼブブ】、【アスモデウス】 ・一万年前の技術によるイコンサイズの無人兵器:100。 ・秘密裏にマヌエルが海底から引き上げ、改修させていたマリーエンケーファー?(ツヴァイ) 「行こう、ジズ」 ノヴァは白銀の少女ジズと共に【ジズ】へと乗り込みました。 * * * 古代都市。沿岸部。 「……ここは……一体?」 十七夜 リオ(かなき・りお)は目を覚ましました。 「フェル! ……よかった。無事で」 フェルクレールト・フリューゲル(ふぇるくれーると・ふりゅーげる)もでした。【サタン】ごと海中での爆発に巻き込まれたはずですが、無傷とはいかないまでも、こうして生きています。 (動けるなら……早く……逃げろ……) そこへ、男の声がテレパシーで聞こえてきました。 「リオ、あれ……」 二人の視界に移ったのは、青い髪をなびかせたガラス細工の人形のような女性――【サタン】のパイロット、08号の姿でした。 数々の思いが交錯する中、最後の幕が上ります――。 担当マスターより▼担当マスター ▼マスターコメント
識上 蒼です。 ▼サンプルアクション ・ノヴァの軍勢と戦う ・市街地跡で「影」と戦う ・交渉に臨む ・海京の復興作業を行う ▼予約受付締切日 (既に締切を迎えました) 2011年08月15日10:30まで ▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました) 2011年08月16日10:30まで ▼アクション締切日(既に締切を迎えました) 2011年08月20日10:30まで ▼リアクション公開予定日(現在公開中です) 2011年10月03日 |
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