イルミンスール魔法学校

　百合園女学院校長桜井　静香（さくらい・しずか）は、ＧＷ前に書類を片付けていました。
　そんな時、校長室の扉を開けて静香のパートナーラズィーヤ・ヴァイシャリー（らずぃーや・う゛ぁいしゃりー）が、入ってきました。
「静香さん。お客様ですわよ」
「お客様？　誰？」
「お会いすれば分かりますわ」
　そこに現れたのは、独自のセンスで豪華絢爛なあの方です。
「静香校長、久しぶり。元気そうで何よりだ」
「ジェイダス様！」
　ジェイダス・観世院（じぇいだす・かんぜいん）様の登場に驚きを隠せません
「連絡も入れず、来訪したこと許してほしい」
「そんなことはお気になさらず」
（「ジェイダス様、何しに来たんだろう。突然やってくるなんて心臓に悪いよぅ。どうか悪い用件じゃ、ありませんように」）
　そんな静香の想いを知ってか知らずか、ジェイダスは静香の机の上に、白い大きな封筒を差し出します。
　ここで、静香はかなり嫌な予感がしました。
「今日は、静香殿に縁談をお持ちした。簡単に言うとお見合いだな」
「お見合いー！」
「お見合いですってー！！」
　ジェイダスの言葉に静香達は驚きの声を隠せません。
（「ジェイダス様、ボクの秘密知ってるはずなのに、何でお見合いなんて……」）
「ジェイダス様！　お見合いだなんてもの、私の静香さんに私の相談無しで持って来て頂いても困りますわ！」
「ハハハ、それは困りましたな。それではラズィーヤ殿が賛成して下さるように、少しばかりお耳を拝借しても構いませんかな？」
「……賛成などいたしませんけど……」
　ジェイダスは静香に聞こえないようにラズィーヤの耳元で、少し話しました。
　すると、ラズィーヤの表情が一変して、面白そうなおもちゃを見つけたような笑顔に変わります。
　そして……。
「静香さん。折角のジェイダス様のお心遣いですわ♪　お受けしましょう♪」
「えーー！？」
「ほらほら、まずは、お相手の写真を拝見いたしましょう」
　ラズィーヤはすっかり乗り気になってしまっています。
　仕方なく静香は、紙袋からお見合い写真を取りして中の写真を見てみました。
「あらあら、凛々しい殿方ですこと」
　一緒に見ていたラズィーヤが楽しそうに言います。
　写真には、美しい長い金髪を肩口で結んだ、誠実そうな美男子が写っていました。
「彼の名前は、セシル・ラーカンツ。タシガン貴族のご子息なのだが、その美貌ゆえか結婚相手が見つからないそうでね。そこで話を聞いた私が静香校長の話をしたところ、是非一度お会いしたいとのことだったのだよ」
　ジェイダスが笑顔で説明します。
「で……でも……ボク！」
「大丈夫。お見合いには私も介添人としてご一緒するから、心配無用だ」
「そういう心配じゃなくて……」
　静香の気持ちを放っておいて、ラズィーヤとジェイダスでお見合いすることを決めてしまいました。
「静香校長、お見合い場所と形式は、私よりお見合いに詳しい者がいたので、その者に任せてある。その者も張り切っているし、良いお見合いの席になるだろう」
　ジェイダスは言うだけ言って、その場を去りました。
「はあ〜、どうするのさ〜。ラズィーヤさん？」
「どうするもこうするも、静香さんは、ただお見合いをするだけでよろしいんですわ♪」
　ジェイダスが部屋を出て少しした頃、校長室の電話が鳴りました。
　静香は電話を取ると、「もしもし」と受話器に向かって話しかけます。
『もしもし、桜井校長殿かな？　シャンバラ教導団の金　鋭峰（じん・るいふぉん）だが』
「金校長！？　お久しぶりです！？」
　突然の鋭峰の電話に思わず、静香の声が大きくなります。
『元気そうで何よりだ。桜井校長』
「あの突然、何の御用ですか？」
『ジェイダス殿から聞いてはいないかな？　桜井校長。君は、今度お見合いをするのだろう？』
「……は、はい」
『その、お見合いの席を私が準備することになった。大船に乗ったつもりでいてくれたまえ』
「えーー！？　金校長が！？」
　静香が受話器に向かってさらに大きな驚きの声をあげます。
『私は、君たちと比べて非常に多い回数のお見合いをしたことがある。経験豊富と言っていいだろう。なので、ジェイダス殿からお見合いの準備を手伝ってほしいと言われ、君の幸せな未来の為に力を貸すと決めたのだ』
　鋭峰は、お見合いの経験が豊富と言っても、一度として実際に結婚、いや交際まで発展したことが無いのです。
　つまり、彼が経験豊富なのはあくまでお見合いだけなのです。
「あ、あの！　わざわざ金校長にまでご協力を願うのは厚かましいかなと……」
『何を言っている！　校長同士、助け合ってこそパラミダの平和が守れるというものではないか！』
　鋭峰が熱く語るので、静香は次の言葉が見つかりません。
『桜井校長。当日は、正装で空京まで来て頂けるかな。警備にはわが教導団の生徒達を配備する予定なので、邪魔するものはすべて排除する、心配ご無用。良いお見合いになるよう頑張らせて頂く。それでは』
「ちょっと！　待っ……」
　静香の言葉も聞かず、鋭峰は電話を切ってしまいました。
「もう、何でこんな、大事に……」
　しかしそんな静香をよそに事態は更に大きく変化していきます。
　数日後の蒼空学園の校長室では。
「もしもし」
　蒼空学園校長の御神楽　環菜（みかぐら・かんな）に電話がかかりました。
『環菜―！　私ですぅ〜』
「なんだ、エリザベートなの」
　そう電話の相手は、イルミンスール魔法学校の校長エリザベート・ワルプルギス（えりざべーと・わるぷるぎす）です。
「で、何の用なの？　わざわざ電話なんて？」
『相変わらず生意気な態度なのですぅ〜！　百合園の桜井静香のお見合いの話は知ってるですか？』
「知ってるも何も今、ネットじゃその話題で持ちきりだもの。教導団全面バックアップだの、白百合会が同行するだの。それにジェイダスからメールも貰ったしね。とりあえず知っておいてほしいみたいな内容」
『知ってるなら、話が早いですぅ。環菜、私と賭けをするですぅ！』
「賭け？」
『桜井静香のお見合いが上手くいくか、賭けるですぅ！』
「……別に、いいけど。じゃあ、私は上手くいく方に賭けるよ」
『あっさり、受けて、あっさり決める女ですねぇ。もちろん桜井静香の秘密を知った上での発言ですよねぇ？』
「もちろん。私のデータベースをなめないでくれる？　相手の素性も調査済みよ」
　環菜は、エリザベートのテンションにつられることなく冷静に答えます。
『分かったですぅ。それなら、私は上手くいかない方に賭けるですぅ！』
　環菜が了承すると、エリザベートは機嫌よく言います。
『お見合いの援助と妨害はお互い自由ということでいいですねぇ？』
「いいんじゃない？　どうせ、私がお見合いするわけじゃないし」
『じゃあ、私は生徒達を使ってぜ〜ったい！　このお見合いを失敗させるですぅ』
「好きにすれば」
　環菜がやはり淡々と言います。
『あとで、ほえづらかくなですよぉ〜！　環菜！』
　その言葉とともに電話が切られます。
「ふう。……うちの生徒達も、お見合い会場に行かせた方がいいかな……」

　こうして、シャンバラ各校を巻き込んだ静香様のお見合い。
　静香様の運命は？
　ジェイダス様の思惑は？
　鋭峰のセッティングする会場とは？
　環菜とエリザベートの賭けの結果は？
　はたしてこのお見合い、どんな結末になるのでしょうか？

こんにちは。
茨城はるかです。
皆さんＧＷ楽しんでらっしゃいますか？
静香様は大変なＧＷになりそうな予感です。
今回は、ＧＷスペシャルとして校長の皆さん大集合です（行方不明なパラ実と、まだ校長同士の絡みの少ない葦原、空京大は除きます。これらの学校の生徒さんのご参加は歓迎です）。
ですが、校長達のパートナー及び他のＮＰＣはラズィーヤ以外、基本的に出ません。
静香様の幸せを優先するか、各校の校長達の手助けをするかは皆様にお任せします。
ちなみに各校長達は静香様のあの秘密は全員知っています。
それぞれ知った上での行動ですので、頭の片隅にでも入れておいてください。
ＭＣとＬＣが別行動を取る行為はダブルアクションにあたりますので、お気を付け下さい
最後に各校の校長達と特別な関係を築いていらっしゃる方で、校長達との関係を現す称号をお持ちの方は、その称号に変えた上で、アクションを送ってくださるとその関係にもとづいた、リアクションになると思われます（そう言う称号が無いのに【静香様の婚約者候補】や【環菜様の右腕】等と名のられても、全て自称扱いになります。アクション締め切り後、三日ほどはその称号でいてください）。

皆様の楽しいアクションお待ちしております。

・静香様をお助けする。

・金　鋭峰様と一緒にお見合いを成功に導く。

・環菜様の為にお見合いを成功に導く。

・エリザベート様の為にお見合いを失敗させる。

・静香様のお見合い相手を誘惑する。