イルミンスール魔法学校

　イルミンスール魔法学校の校長室では、校長のエリザベート・ワルプルギス（えりざべーと・わるぷるぎす）と、パートナーのアーデルハイト・ワルプルギス（あーでるはいと・わるぷるぎす）の二人が、文字どおりヘロヘロになって溶けかけています。

「うぅ……暑いですぅ！　８月を過ぎたのに……この暑さは何なんですかぁ！？」
「学校中のクーラーが一斉に故障したのが手痛いのぉ……」
「どうしてこんな暑い日に限って学校全体のクーラーが壊れるんですかぁ！？　陰謀ですぅ！　イルミンスールを陥れようとする悪者の陰謀に違いないですぅ！」
「……先ほどやって来た業者も言っておったじゃろう。定期的なメンテナンスを怠っておったせいで、室外機に埃がたまったのじゃと」
「け、経費削減のために仕方がなかったんですぅ！」

　現在、イルミンスール魔法学校はクーラー全滅という状態。
　それに加えて、この日は九月だというのに30℃越えの厳しい残暑日和。
　今日のイルミンスール魔法学校は、何気に最大級のピンチを迎えていました。

「うぅ……こうなったら」
「こうなったら何じゃ？　氷術でも使って涼しくしてくれるのかえ？」
「そんな疲れることはしないですぅ！　しかも、大ババ様を涼しくする義理なんてこれっぽっちありませんですぅ！」
「……それじゃあ、なんじゃ。何をするつもりじゃ？　また良からぬことを考えたんじゃなかろうな？」
「ふふふ……こうなったら――生徒たちの力を使って涼しくしてもらうですぅ！」

　バッと勢いよく立ち上がったエリザベートは、アーデルハイトが呼び止める間もなく校長室から出て行きました。
　そして、彼女が向かったのは――

『あ〜あ〜！マイクテスト、マイクテストですぅ〜。全校生徒、聞こえてますかぁ？』

　イルミンスール魔法学校内の要所要所に設置されたスピーカーから、エリザベートの声が流れ出します。
　実は、彼女が向かったのは放送室でした。
　学校内にいた生徒たちは、突然の放送に作業や研究の手を休めて耳を傾けます。

『これより、第一回イルミンスール大納涼大会を開くですぅ！』

　エリザベートの突然の開会宣言に、生徒たちの間で戸惑いのざわつきが起きます。

『ルールは簡単ですぅ！　明日の午前中に業者がクーラーの修理に来るまで、どんな手を使ってでも私を涼しくするですぅ！　折角だから、他校の生徒を呼んで私のために働いてもらっても全然ＯＫですぅ！　あ、どんな手を使ってもいいとは言いましたけど、私自身を魔法で氷付けにするとかはナシですぅ！　そんなオチはいらないですからねぇ！　私が快適に過ごしやすくなるのが目的ですから、そんな寝ぼけたことは許さないですぅ！　それじゃ、大会スタートですぅ！！』

　さも当たり前のように放送を終了して、納涼大会を開始したエリザベート。
　そんな彼女に、寝ぼけてるのはどっちだ？　と内心でツッコミをいれる生徒たち。
　もちろん、誰一人として大会に参加する生徒はいません。皆、今まで取り掛かっていた作業などに戻りはじめました。

ところが――

『あ、１つ言い忘れていましたぁ』

　再び校内放送でエリザベートの声が流れ出します。

『この大会に参加しなかった生徒は――何かの手違いで留年なんてこともありえるかもしれないですぅ。まぁ、校長の言うことを聞けない生徒なんて、このイルミンスール魔法学校にはいないと思いますけどぉ！　それでは、改めて大会スタートですぅ！』

　こうして、悪魔のような笑い声を響かせ、校内放送は終了したのでした。

　『第一回イルミンスール魔法学校〜大納涼大会〜』スタートです！

初めましての方も、そうでない方もこんにちは。ゲームマスターのカルーア・長谷川と申します。
よろしくお願いいたします。

さて。８月も終わったというのにまだまだ残暑が厳しいですが、パラミタも例外ではないようです。
なので、今回皆様には思う存分エリザベートを涼しくしていただきたいと思います。
大会のルールーはいたってシンプル！　とにかく、次の日の午前中までにエリザベートの周辺を涼しくし続けていてください。
あんな手やこんな手を使っても構いません！
他校の参加も大歓迎です！

ただし！　あんな手やこんな手を使ってもいいとは書きましたが、大会中は1つの行動しかとれません。
さっきはあの手で涼しくしたから、つぎはこの手で涼しくしてやろう！　というのは駄目です。ダブルアクションは禁止です。
必ず、自分が考えたとっておきの一芸（？）でエリザベートに勝負を挑んでください！

そしてもう１つ。
あまりにも涼しくしすぎると、エリザベートが風邪を引きます。一応、彼女も校長という立場上、風邪を引くわけにもいきません。
なので、手加減ナシの行動は逆効果です！寒すぎず暑すぎず。微妙な調整が必要になってきます！

誰得な大会ではありますが、とっておきの納涼お待ちしています！

・カキ氷などの涼しい料理を作って食べさせる

・魔術を利用したクーラーを作成してみる

・学校の周りに打ち水を撒いて周囲の温度を下げる

・とっておきの怪談話で寒気すら覚えさせる