イルミンスール魔法学校

「ああ、何にもしたくない、にゃーん」

「ちょっ、会長、どうしたんですか！　イベントの打ち合わせどうするんですか！」
「にゅー」

　空京某所で、一人の少女が蹲っていました。
　連れだって歩いていた少年が慌てた様子で彼女の肩を揺すりますが、少女は「うゅー」とか「にゃー」とか言うばかりで、一向に埒があきません。
　ああもう、と頭を抱える少年を尻目に、少女は実に幸せそうな顔で、路上に寝転んで仕舞いました。
　その頭には、黒いもさもさした物体が――


　２０２３年２月２２日。
　唐突にその事件は起こりました。
　街中の人々の頭に、ふさふさの、黒いものが生えてきたのです。
　そしてそのふさふさが生えてしまった人は上記の通り、「ああ何にもしたくない」とばかりにその場にへたり込んだり、寝転んだり、ひなたぼっこを始めてしまいました。

　そう、彼らの頭に生えてきたふさふさ、それは真っ黒な猫耳だったのです。

　猫耳は無差別に、街中の人々の頭に次々出現しています。このままでは、空京の都市機能は完全に麻痺してしまうでしょう――


　人々が猫耳の恐怖（？）に怯えて（？）居る頃、空京の片隅にある桜の森公園では、桜の森公園の精　さくら（さくらのもりこうえんのせい・さくら）が謎の集団を発見していました。

「にゃんにゃんにゃー」
「にゃんにゃんにゃー」
「すべての人間をにゃんにゃん化するのにゃー」
「にゃんにゃんにゃー」

　二足歩行の黒猫たちが、輪になって踊っているのです。
　その輪の中央には、さくらも設置した覚えのない猫の形の石像があり、謎の祭壇には魚や缶詰が捧げられ、かがり火が焚かれ、まるで呪術を執り行っているかのようです。
　さくらは目の前の異様な光景を、木の陰から見詰めています。
　公園を勝手に荒らすような行為、さくらとしては絶対に許せません。しかし、黒猫たちの醸し出す禍々しいオーラの前に、少し脚がぷるぷるしています。
――なんなのっ、なんなのアレはっ！
　後一歩を踏み出すことができません。
　と。

「にゃんにゃんにゃー！」

　黒猫たちがひときわ高く叫びます。
　その瞬間――

「うにゃーん」

　さくらの頭にも猫耳が出現、その場でひなたぼっこを始めてしまうのでした――

おひさしぶりです、常葉です。
にゃんにゃんにゃんの日、ということでねこねこ企画に参戦です。

本シナリオでは諸般の事情により、ＬＣ追加は一名まででお願いします。

さて、空京の町は黒猫たちの黒ミサ？によって黒猫耳の呪いに包まれています。
黒猫耳の呪いに掛かると、無気力になり、「にゃー」とか「にゅー」とかの猫語しか喋れなくなってしまいます。
そして猫の様にごろごろしたり、ひなたぼっこをしたりするばかりになります。
黒猫耳の呪いは無差別に空京内に居る人々を襲っていますが、ＰＣはアクションで「呪いにかかった」「かかってない」を選んで行動することが出来ます。

黒猫耳の呪いにかかった場合、猫の様にのんびりとごろごろすることができます。自我はうっすらとありますが、思考が完全に弛緩した状態になります。
かかっていない場合、呪いに掛かった人を介抱したり、からかったり、可愛がったり、喉をゴロゴロしたり、あるいは黒ミサを止めに行くことが出来ます。黒ミサを止める場合は、聞き込みや捜索を行えば桜の森公園にたどり着くことは容易である、とします。
（コメディシナリオですので、その辺の判定はゆるゆるの予定です）

黒ミサを行っているのは何故か二足歩行能力を手に入れた黒猫たち、１０匹ほどです。
戦闘能力はあまり高くなさそうですが、近づくと黒猫耳の呪いが襲うかもしれません。なお、この黒猫耳の呪いは、アイテム・スキルなどで防ぐことは出来ません。運良く呪われないかもしれませんが、基本的には何か対策をした方が良いでしょう。

ちなみにここからはあくまでＰＬ情報ですが、黒猫たちは２月２２日、にゃんにゃんにゃんの日の不思議な力を受けています。逆に言えば、にゃんにゃんにゃんの日が終われば、黒猫たちの不思議な力は無くなってしまいます。
ですから、実際に空京の都市機能が完全停止して大混乱……などということは起こりません。（起こったとしても数時間のことでしょう）
というわけでどうぞ、安心して一日限りのねこねこライフをお送り下さい！

・猫になりたい

・呪いを何とかする