イルミンスール魔法学校

　　ジャンバラ大荒野に住む遊牧民によって、毎年開催されている祭は活気に満ちています。
　　遥か、古代シャンバラ王朝時代には、緑広がる青々とした大地だった場所は見る影もありません。
　　しかし、祭の賑わいは現代も変わらず、会場は多くの遊牧民、観光客、警備隊などで溢れています。

　「へぇ、なかなか賑やかじゃねえか」

　　以前吉井　ゲルバッキー（よしい・げるばっきー）に斬られた傷を癒し、退院したばかりの山葉　涼司（やまは・りょうじ）は、来賓として訪れていました。
　　そこへ、見覚えのある人物が通りかかります。

　「おや、わたくしに何か御用ですか？」

　　見られていることに気付いたテンプルナイツ・アキラが信者を携えて近づいて来ました。
　　祭会場には、最近になって勢力を拡大しているグランツ教の信者たちも来ていたのです。

　「いや、どっかで見た顔だな、と思ってな」
　「失礼ですが、貴方様……お見受けした限り、蒼空学園の方では？」
　「ああ、俺は山葉涼司だ。今日は呼ばれてこの祭に来ている」

　　涼司は、リハビリも兼ねて祭への招待に応じていました。

　「これはこれは、貴方様がご高名な涼司様でしたか。お目に掛かれて光栄至極……わたくしは、グランツ教のテンプルナイツ・アキラと申します。以後、お見知りおきを……」

　　それを聞いた涼司の表情が強張りました。グランツ教と聞いて笑顔ではいられません。

　「まさか祭を楽しみに来たわけじゃねえよな？」
　「これは手厳しい――わたくし共は、古の時代から続くお祭に是非ともご挨拶を兼ねて参列するように、と猊下から仰せつかっております」

　　涼司の嫌味に対して、テンプルナイツは顔色一つ変えずに答えました。
　　グランツ教は、信者を集めている最中です。ここで自分達が信仰する超国家神絡みの布教は行わないだろうと、涼司も踏んでいました。

　「あーそうかい。ま、精々良い土産話を枢機卿に聞かしてやるんだな」

　　そう言って、涼司はその場を立ち去ろうとしました。これ以上、テンプルナイツと会話をしたくないのです。
　　また、どうも先程から何者かに後をつけられている気がしていたのです。
　　その時、テントの一つから火の手が上がりました。
　　警備隊が慌ただしく駆け回っています。まだ開場全体には知れ渡っていないようですが、テント付近は騒然としています。
　　近くの警備隊員の無線が聞こえます。

　「火災発生。原因は放火。犯人と見られる不審な人物が目撃された。また、同様の人物が数名目撃されている――繰り返す……」
　「チッ！　そういうことかよ……！」

　　この祭は何者かに狙われていたのです。
　　パートナーの花音・アームルート（かのん・あーむるーと）がいない今、迂闊な行動は控えるべきです。
　　涼司は蒼空学園に連絡します。

　「祭会場にできるだけ多く人を寄越してくれ！　何者かが祭を狙っている！　他の学園にも援護要請してくれ！」

　　電話を切り、走り出そうとする涼司にテンプルナイツが言います。

　「わたくし共もお手伝いしましょう」
　「なんだと！？　――いや、もうなんでもいい。ただ、事を荒立てるマネだけはするなよ」

　　そう言って、涼司はテロリストを探しに行きました。
　　その後姿を見つめながら、テンプルナイツは不敵な笑みを浮かべました。

　「見せてもらいましょうか……では、我々も参りますよ」

　　信者達に目配せをして、テンプルナイツもその場を後にしました。

はじめまして。
この度、新しくゲームマスターを務めさせて頂きます、DIJOです。
よろしくお願いします。


テロリストが、護国豊穣をシャンバラ女王に捧げる由緒あるお祭を狙って、無差別テロを開始しました。
どうやら、シャンバラ女王をグランツ教の教祖へ明け渡すよう、要求しているようです。
テロ行為を阻止し、祭を成功へと導いて下さい。

■会場について
会場はかなり混雑しています。
少なくとも、避けながら進まないと必ず誰かにぶつかってしまうくらいの混雑具合です。
その他、屋台、出し物、テントなど敵が身を隠す場所が豊富にあります。

■状況
陽は既に西へ傾いていますが、夕方まではまだしばらく時間があります。
また、敵の存在が一般人に知られると、会場が大混乱に陥る恐れがあります。

■NPCについて
涼司はリハビリ明けなので本調子ではなく、花音を失っているため、光条兵器も使
えません。
ゲルバッキーはシナリオには登場しません。

・要人の保護

・要人の安全確保！

・情報収集！

・お祭り騒ぎ！