イルミンスール魔法学校

　イルミンスールの一角で、何やら一生懸命鍋をかき回している人がいます。
「これが完成すれば、画期的な育毛剤として大儲け間違いなし……だ！」
　彼の名はクロード・ドリヴェ。歴としたイルミンスールの教師ですが、夏休みの間に妙な薬作りに没頭しているのでした。
　ようやく完成に近づいてきたため、クロードは実験で効果を確かめようと思いました。
　しかし、気軽に他人に頼めることではありません。クロードはまず、自分で薬を飲んでみることにしました。
　すると、みるみるうちに髪が伸びていくではありませんか。

「やった、成功だ！」

　彼はつかの間喜びましたが、すぐに異変に気がつきます。
「あれ、腕の毛やすね毛も伸びているな……」
　あっという間に体中の毛が伸びて、クロードは雪男のような姿になってしまいました。

　そのころ、校長のエリザベート・ワルプルギス（えりざべーと・わるぷるぎす）とアーデルハイト・ワルプルギス（あーでるはいと・わるぷるぎす）は校長室でのんびりお茶を飲んでいましたが、どうも校内が騒がしくなってきました。
「なんじゃ、騒々しい……！」
　アーデルハイトが飛び出してきて驚きました。全身が長い毛に覆われた怪物が、校内で暴れていたからです。
　怪物はとても凶暴で、近くの生徒たちを手当たり次第殴ったり毛で締め付けたりしてきます。
「怪物め、生徒に手を出すな！」
　アーデルハイトが火術を放つと、怪物は苦しそうにうめきながら生徒を放し、逃げていきました。
「大丈夫ですかぁ〜、それにしてもどこからあんな怪物が来たのでしょう？」
　エリザベートが生徒を起こしながら言いました。
「全くだ、まるで日本に伝わる妖怪毛羽毛現（けうけげん）のようじゃったが……おや」
　生徒の近くに、ボロボロになったローブが落ちてました。アーデルハイトが拾うと、クロードの名前が書いてあります。

　薬学準備室にて。
「ええと、確か薬で変身してしまった者を元に戻す薬があるはずじゃ……これじゃ！」
　アーデルハイトは古い書物のページを指差しました。
　怪物が現れたとたんに、クロードが消えてしまったことから、どうやら彼が怪物になってしまったのだと考えたのです。
「材料は、大体そろっておるな」
「あらぁ、『青い星のキノコ』がありませんわ」
　材料棚の前を行ったりきたりしていたエリザベートが言いました。
「はあ、よりによってそれが無いとは……」
　『青い星のキノコ』とは、イルミンスールの森の中でもある一箇所の洞窟にしか生えないという珍しいキノコです。
　しかもその洞窟には凶暴なグリズリー（ヒグマ）の集団が住んでいるのです。

「仕方ない、採ってくるか……」
「でもぉ、クロードさん、また暴れだしそうですよ」
　クロードが変身してしまった怪物は、先ほど魔法を喰らい弱っていましたが、脅威の回復力によって再び動き始めていました。
　こうなると生徒たちを置き去りにして洞窟に行くわけにはいきません。
「だ、誰でもよいから、キノコを採ってきておくれ！！」

今回はイルミンスールとその近辺の森が舞台です。
他校の方も参加して大丈夫です。
グリズリーは４、５匹程度と思われますが、巨大な上に凶暴です。お気をつけください。
怪物になってしまったクロードは、学校の中をさ迷っています。人を見ると手当たり次第襲い掛かってきます。
薬は、クロードの部屋でそのままになっていますので、飲みたい方は挑戦してみてください。
ちなみに特殊な容器に入れないと保存できないので持ち帰ることは出来ません。
運がよければ、長くて美しい髪の毛が手に入ります。運が悪いとクロードと同じような怪物になってしまいますが、事前に把握していればクロードのように精神までのっとられて暴れることはありません。

それでは、皆様のご参加をお待ちしております。

・怪物化した教師と戦う

・薬の材料を探しに行く

・解毒剤を作って教師に飲ませる

・自分で薬を飲んでみる