イルミンスール魔法学校

　空京の近くに存在する街・光零。古代遺跡の上に創られた街は、観光・遺跡調査などに訪れる人々はいますが、人通りが多く活気があるとは言い難い街です。
　そんな街で「夜華（ヨカ）」というバーを営むイブは、客が少ないことに悩んでいました。バーとは別の商売を考えていた時、思いついたのが光零の中心地に近い場所にある空き家です。
　光零の住人からは古くから「メアリの家」と呼ばれ、ずっと空き家になっています。メアリという名の老婆と黒い大きな犬の霊が棲んでいて、新しい入居者が来ても追い出してしまうと言われています。
　「メアリの家」は空き家とは思えないほど白塗りの綺麗な二階建ての家で、二階には五つの部屋があります。イブはこの「メアリの家」を買い取り、学生向けの宿屋に改築しようと考えました。
　すでに光零から離れて暮らしていた「メアリの家」の所有者は、安くイブに売ってくれました。
　最大の問題はメアリです。昔から噂だけで、イブの周りでも実際にメアリや黒犬の霊を見た者はいません。イブはメアリの話を信じていませんでした。
　しかし、イブが改築を依頼した大工たちが家に入ると、凄まじい攻撃が始まりました。運んできた木材は宙を飛び次々と大工たちを襲い、大きな黒犬は大工のズボンを咬み千切り、白髪を振り乱した老婆が大工が持ってきた金槌を振り回して追い掛けてきます。
　噂が本当だったと知ったイブですが、財産を注ぎ込んだ宿屋の計画。今更諦めるわけにはいきません。学生が集まる食堂・青楽亭に幽霊退治依頼の張り紙をしました。
　
　メアリの霊が出現した頃、光零の近くの森でも幽霊が目撃されました。青年の霊ですが右手に血濡れた剣を持ち、胸のあたりも血で汚れたまま、ブツブツ呟きながら大きな木の周りをグルグル回っているそうです。目撃者の話では、青年は「指輪……指輪はどこだ？　許さない！……」と呟いていました。
　昔、この森では盗賊団が出没していたので、おそらく青年も盗賊に襲われ指輪を奪われたのでしょう。強い無念の想いと指輪への執着があるようです。その盗賊団は生きてはいませんが、アンデッドモンスターとなって今でも森に潜んでいると言われています。
　
　メアリの出現に呼応するように現れた、森の青年の霊。二体の霊の関係とは？

　少しシナリオガイドの補足と注意を。
　森の青年の霊は、メアリが出現しないと現れませんし、メアリが消えれば青年の霊も消えてしまいます。ですから、青年の霊と会う場合は、誰かがメアリを呼び出している必要があります。
　青年の霊は強い無念を抱いているので、近づくときは注意が必要です。
　メアリに関する話は、あまりに古い話のためにほとんどわかりません。イブはもちろん青楽亭の主人も噂程度の知識しかありません。噂ではメアリは生涯独身で身寄りがなく、番犬として黒犬を飼っていたということだけです。
　……念の為ですが、黒喜館の店主は所用の為、不在です。街から出ることはありませんが、街のどこにいるかは誰も知りません。

・「メアリの家」に行く

・森の青年と会う

・森の中のアンデッドモンスター盗賊団を倒す

・メアリのことを調べるために、街中を探す