イルミンスール魔法学校

　昼下がりの食堂。
　授業は終わり、課外活動に勤しむ学生たちも居れば、食堂などでお茶やお菓子を片手に友だちとの会話に花を咲かせる学生たちも居ます。
　
「ねえねえ、マナ。ハロウィンって、何？」
　マリエル・デカトリース（まりえる・でかとりーす）は、小谷　愛美（こたに・まなみ）が食べているかぼちゃプリンのパッケージに書かれている「ハッピーハロウィン」という言葉が気になり訊ねました。
「ハロウィンっていうのはね、魔女やお化けとかに仮装して、家を回るの。その際、『トリック・オア・トリート』、お菓子くれなきゃいたずらするぞ！　って言うのね。言われた家の人は、お菓子をあげるのよ」
　プリンを食べる手を止めて、愛美はそう答えます。
「……そっか、そうよね！　これは、運命の人からお菓子を貰い、かつ、私が用意したお菓子も貰ってもらうチャンスだわ！」
　答えてから残りを食べようと一口、スプーンにすくった愛美は思いついたように顔を上げると、まくし立てるようにそう言いました。
「でもマナぁ。その運命の人が、お菓子を用意してなかったら、貰えるものも貰えないんじゃないかなぁ？」
　マリエルはかぼちゃのあんぱんに噛り付きながら、そう聞き返します。
「その辺は、必ず、お菓子を持っているようにすればいいのよ！　そうと決まれば、どんなイベントにするか考えなくっちゃ！」
　そう言って、愛美はカバンから１枚のルーズリーフとペンを取り出しました。

『
　　トリック・オア・トリート！
　　　気になるあの子から、お菓子を貰え！？
　　　　お菓子争奪戦開催！！

　来るハロウィンの日。
　お菓子の争奪戦を行うよ！
　気になるあの子からお菓子を貰うチャンスかもっ！？

・お菓子を１つ用意！
　参加者は必ずお菓子を１つ用意してね。
・仮装必須
　魔女やお化けに仮装しよう！
　それと、争奪戦参加の目印にオレンジのリボンを仮装の何処かにつけておいてね。
・ハロウィンの日の学園内だけ！
　開催日はもちろん、ハロウィンの日。
　場所は蒼空学園の敷地内だけだよ。
・貰うときにはもちろん
　トリック・オア・トリートの言葉を忘れずに！

　以上。

　追記。
　　主催である小谷　愛美、マリエル・デカトリース、両名も参加するわ。
　　是非とも探して、私たちからのお菓子を貰ってね？
』

　翌日、このような争奪戦の案内が学園内の掲示板各所に貼られました。
　案内の下には、参加の目印であるオレンジのリボンが一緒に置かれているようです。

「皆、是非とも参加してね？」
　どこかの掲示板に、案内用紙を貼りながら、愛美は掲示板を見に来た生徒たちへそう告げるのでした。

　こんにちは、朝緋あきらです。
　ハロウィンイベント蒼空学園編です。

　愛美主催による、お菓子争奪戦イベントとなります。

　上記ルールに加えて、いくつかアクションに記入しておいて欲しいことをあげておきますので、参加される方はご確認ください。

１．用意するお菓子の種類・形状。
２．仮装するもの。
３．誰にお菓子を受け取って欲しいか。
４．誰のお菓子を貰いに行くか。

　記入漏れのある場合は、希望通りのお菓子が奪えなかったり、受け取ってもらえなかったりします。
　もちろん、争奪戦ですので、３番４番が被れば、生徒同士で模擬戦的な争いになる場合もあります。

　以上に注意して、是非参加してやってくださいませ。

　皆さんの参加、お待ちしております。

・積極的に奪いに行くよ！

・あの子から貰えればいいかな？

・むしろ私から受け取ってもらいに行く！