シナリオガイド
愛美にも春が来た! だけど不穏な空気が漂っていて……?
シナリオ名:消えた愛美と占いの館 / 担当マスター:
望月 桜
まだまだ冬真っ盛りですが、小谷 愛美(こたに・まなみ)には一足先に春が訪れていました。
「あなたこそ、マナミンの『運命の人』だわ!」
「俺が……うん、付き合うのはいいけど、まずは友達からな」
愛美の『運命の人』は、一つ年上の先輩、梅木 毅(うめき・たけし)です。
バスケットボール部に所属し、成績は中の上。スポーツマンらしく爽やかで、嫌みのない性格の好青年です。
しかも出会いは、朝、遅刻寸前の愛美がパンをくわえて通学路を駆けていたところ、別の道からやってきた毅とぶつかってしまい、助け起こされたという、今時の恋愛マンガでも使わないようなベタで古典的なものでした。
しかし、それが愛美にとっては却って新鮮だったのと、自分の身を省みず、まず愛美を心配してくれた真摯さ、そして助け起こされる時に差し出されたがっちりとした手など、それらが全て『運命の人』として合致したのです。
「はい、あーん」
「い、いいよ、自分で食べられるから」
「えー、マナミンの手作りのお弁当、あーんして食べてくれないの……」
「分かった分かったから、あーん……うん、美味い!」
毅も押し掛け恋人同然の愛美を受け入れ、「友達から」という言葉の通り、彼自身も愛美のことをもっと良く知ろうと、昼休みや放課後、出来るだけ愛美に付き合うようにしています。
多少強引ながらも真剣な愛美のアプローチを、毅も満更ではないと思っているようです。
「マナ……幸せそうで良かった〜」
愛美のパートナーの守護天使マリエル・デカトリース(まりえる・でかとりーす)も、今回はちゃんとした彼氏彼女のなれるのではないかと安心して見守っています。
このような好青年ですから、憧れる女の子や彼女の一人や二人、いてもおかしくないはずですが……不思議と毅にはその手の話がありませんでした。
見ているだけで良く、誰も声を掛けなかったところへ、愛美が告白したから……という訳でもなさそうです。
「あの女……私の毅様に付きまとって……」
――カリカリカリカリ
楽しそうに連れ立って歩く毅と愛美の後ろ姿を、廊下の曲がり角から憎々しげに見つめる一人の女子生徒がいました。怒りのあまり壁に爪を立てています。
とんがり帽子を被り、襟の高いマントを羽織った彼女は、一目で魔女だと分かる出で立ちをしています。
「あ、あの、浦深さん、占いしてもらって……いいですか?」
「……放課後開始から1時間後に占いの館で……」
「あ、ありがとう!」
後ろから怖ず怖ずと女子生徒が声を掛けると、魔女の彼女は振り向かずに時間と場所だけを告げました。
魔女の彼女は浦深 益代(うらみ・ますよ)といい、「占卜(せんぼく)同好会」の唯一の部員です。魔女の格好をしているように、種族は魔女です。
彼女は占いを得意としており、特に恋愛占いやおまじないは的中率や成立率が高く、蒼空学園の女子生徒の間でちょっとした噂になっています。
先程のように彼女の占ってもらいたい女子生徒や、恋愛成就のお守りを欲しがる女子生徒は後を絶ちません。
「……私は毅様のお姿を見ていればそれで良かったのに……それをあの女は……」
――カリカリカリカリカリカリカリカリ
廊下の壁は猫が爪研ぎをした後のように、無数の引っ掻き傷が残されていました。
「……小谷愛美、あの女を亡き者にすれば……」
「浦深さん、占いをお願いします」
放課後が始まってからきっかり1時間後、益代に声を掛けた女子生徒が占卜同好会の部室、益代曰く「占いの館」に入りました。
部室といっても一般教室で、窓には暗幕が二重三重に掛けられており、日の光が一切射し込まず、薄暗いです。
その中に数々の魔女の道具が転がっているのですが、中でも目を引くのは等身大フィギュアです。益代が言うには、呪いを掛けるための道具だそうですが、薄暗がりの中にうっすらと浮かび上がる数体の等身大フィギュアは、お化け屋敷さながらの怖さがあります。
「あら? 一体増えてる?」
「……それでは始めるわ……」
「は、はい、お願いします。今日は……」
「……サッカー部の子の件ね……」
「どうして分かるんですか!?」
女子生徒は先日来たときより、等身大フィギュアが一体増えていることに気付きました。蒼空学園の女子の制服を着た栗色の髪の等身大フィギュアです。
しかし、益代が現れて、占って欲しい内容をズバリ言い当てると、そんな些細なことはどうでもよくなりました。今は結果の方が大切だからです。
『小谷さんが寮に帰っていない!?』
「うん、それで梅木先輩のところに行っているのかな〜、って思ったんだけど〜」
『い、いや、俺達はまだそういう関係じゃないし……放課後、用があるとかで俺のクラスの前で別れて以降会ってないし、今日はメールも来てないな……とにかく今は様子を見よう。俺も心当たりのある場所を探してみるよ』
「ありがとう〜」
その日の夜、愛美は寮に帰ってきませんでした。
愛美は今時の女子高生とはいえ、外泊はそれ程しません。
心配になったマリエルは毅に連絡を取りました。しかし、彼のところにも行っていないようです。
「マナ、どこに行っちゃったんだろう……」
ここは毅の言うように様子を見るしかないようです。
マリエルは泣きそうになるのをぐっと堪えながら、心当たりのある生徒の携帯電話に愛美を捜して欲しいメールを送信しました。
担当マスターより
▼担当マスター
望月 桜
▼マスターコメント
マリエルからメールをもらったり、直接話を聞いて、失踪してしまった愛美を探すのが今回の依頼の目的です。
また、学校問わずスポーツをやっている自由設定をお持ちであれば、毅から連絡を受けた、としてシナリオに参加することもできます。
その他、愛美の失踪とは関係なく、浦深益代の噂を聞きつけて蒼空学園を訪れ、片思いの相手のことや恋人同士の恋愛を占ってもらうこともできます。
毅が最後に愛美を見たのは、前日の放課後が始まってすぐです。
いつものように毅の教室に彼を迎えにきた愛美ですが、普段なら一緒に部活に行くのですが、その日は用があるからと教室前で別れています。
マリエルは毅より前、愛美が毅の教室に行くからと、1年生の教室で別れています。
二人ともそれ以降の愛美の動向は知りません。
聞き込みをしたり、蒼空学園で愛美が行きそうな場所を調べてみるのもいいかもしれません。
▼サンプルアクション
・マリエルと愛美を探す
・毅と愛美を探す
・益代に恋愛運を占ってもらう
▼予約受付締切日
(予約枠が残っている為延長されています)
2010年01月30日10:30まで
▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)
2010年01月31日10:30まで
▼アクション締切日(既に締切を迎えました)
2010年02月04日10:30まで
▼リアクション公開予定日(現在公開中です)
2010年02月17日