イルミンスール魔法学校

　五獣の女王器のひとつ白虎牙と、大空賊団という強大な兵力を持っていたキャプテン・ヨサーク（きゃぷてん・よさーく）。
　しかし彼は、本性を現した乙女座の十二星華ザクロ・ヴァルゴ（ざくろ・う゛ぁるご）によって倒され、空から地上へ落とされました。
　その後ザクロは、ヨサークの力をそのまま引き継ぐかのように大空賊団を率い、ザクロ大空賊団をつくりあげてしまったのです。

　空賊団を手に入れたザクロはその後、勢力を拡大させながら次々と周辺の街を攻め落としていきました。
　兵力もさることながら、ザクロが街襲撃の際に見せた白虎牙の力も恐るべきものでした。
　彼女は白虎牙が持つ「超高速移動」と「超硬化」のふたつの力を存分に使い、手のつけられない状態となっています。

　早川　呼雪（はやかわ・こゆき）、風森　望（かぜもり・のぞみ）らは、占拠された蜜楽酒家からギリギリで逃げ出し、酒場の女主人マダム・バタフライから聞いた連絡先でフリューネ・ロスヴァイセ（ふりゅーね・ろすう゛ぁいせ）に連絡しています。
「ヨサークがやられて、ザクロは圧倒的な力を手にしてしまった。ザクロの能力にあの戦力が合わさった今、この空は……」
「ザクロの能力、って？」
「彼女は、おそらく他人の感情を増幅させる力を持っている。これも推測だが、あの光条兵器である扇が媒介の役割を果たしているんじゃないかと思う」
　呼雪の話を補足するように、携帯を借りて望が続きを話します。
「もし、ヨサーク様が元々持っていた野望を煽った結果がこれだとしたら、ヨサーク様も良いように使われていただけということに……」
「そういうことだったのね……」
　タシガン空峡で起こっている不可解な現象の数々。それらをフリューネは思い起こしていました。そして少しの間の後、フリューネは強く、はっきりとした口調で言いました。
「でも手はある。ザクロが持ってる白虎牙の超硬化、それを逆に利用するのよ。ユーフォリア様が昔、呪いによって硬化したまま封印させられたみたいにね。今私たちはその呪法を調べに向かってる」
　フリューネの言葉を聞いた呼雪と望は、そこに微かな希望を見出しました。もちろん協力しない理由は、そこにありません。
「なるほど、では呪法のことは任せて、こちら側では彼女に硬化を使わせるため仕掛ける役割を負おうと思います。そこから先は、頼みました」
「……分かった、無事間に合うことを祈ってて」
「俺たちは他の皆にこのことを伝えてから、俺たちのやるべきことをしようと思う」
　そしてふたりは対ザクロの作戦を空賊たちの耳に入らぬよう広めると、各々の目的を果たすためその場を後にしました。

　一方、ザクロに背後から扇を突き刺され地上へと落下したヨサーク。
　彼はカシウナ襲撃の際に物資保護を目的として海上に広げられていたもちち雲の網によって、奇跡的に一命を取りとめていました。
　しかしその傷は深く、3日経った今でもまだ目を覚ましません。
　どうやら傷の深さもありますが、それ以上に心の問題もあるようです。
　そんなヨサークの脇腹には、痛々しく扇の破片が刺さっています。

　ヨサークのパートナー、アグリ・ハーヴェスター（あぐり・はーう゛ぇすたー）はヨサークを追って慌てて地上に降りると、そんな相棒の姿を悲しそうに見ています。
　しかし自分ひとりの力ではどうすることも出来ないと悟ったアグリは、祈るように言葉を捧げました。
　それは、訛りがひどすぎてほとんどの者が聞き取れない今までのようなものではなく、たどたどしくも口にした初めての標準語でした。
「どうかヨサークを、空峡を助けておくれ……！」

今回のシナリオはシリーズを通して梅村象山マスターの同名シナリオと連動して展開します。「風と踊れ」編から続く後編となります。
片方のみの参加、両方への参加どちらでも大丈夫ですが、両方に参加した場合、場所や時間が矛盾したアクションはとれません。

【両シナリオに参加した方への注意点です】

同時参加者はそれぞれのシナリオで、どういう行動を取りたいのか明確にして下さい。
（萩マスター側では○○する、梅村マスター側では××する、というように）
また、ふたつのシナリオを移動出来るのは１回だけです。
たとえば、私側でヨサークに料理を作った後、梅村マスター側でセイニィと共に戦うというアクションは可能です。
しかしその後ヨサークの元に（私側に）再度戻るというアクションは、2回シナリオを移動する事になるので出来ません。
今回時間軸としては、以下の様な流れになります。同時参加者の方はこれを参考にアクションを組み立ててください。
1日目……ザクロがメディアに登場。呪法調査（フリューネサイド）、ヨサークを蘇らせる（ヨサークサイド）
2日目……蜜楽酒家に鐘を鳴らしに＆呪法会得（フリューネサイド）、ヨサークを蘇らせる＆空賊の説得（ヨサークサイド）
3日目……セイニィも加わりザクロとの決戦（両方）
※なお、ヨサークがいる福島県からツァンダまでは早くても1日はかかります。

【ここからは全体へ向けての注意点です】

・この連動シナリオにおいては、原則MCとLCの別行動禁止とさせていただきます。極力同じ場面にいるものとしてお考えください。
・あらゆるシチュエーションに対応した、目的が数個あるようなアクションは立派なダブルアクションなのでお控え下さい。
　（例……ヨサークを復活させる、その後フリューネとも連絡を取り、ザクロのところへ向かって迎撃する、など）
・片方のシナリオにだけLCを参加させ、もう片方のシナリオにLCを連れてくる行為、
　片方のみの参加者が、MCやLCを同時参加者と共に行動させ、もう片方に連れていく行為は禁止とさせていただきます。
・フリューネ、セイニィなどは主にフリューネサイドで活躍するNPCです。ヨサークサイドでこれらのNPCに関わろうとした場合、
　電話口や回想シーンでのやり取りなどとなるケースが多いためお控えいただいた方がしっかりした描写が出来ると思います。
・時間軸としては前回リアクション最後の3日後から始まっています。もちろん途中からの参加も問題なく出来ます。
　（ツァンダ付近にいたら何やら騒動が起こっていたので聞きつけてきた、ヨサークの危篤を聞きつけ慌てて駆けつけた、など）

【各キャラと各地の状況】
・ヨサーク、アグリ……パラミタから地上に落ち、現在福島県の小さな町にいます。
・ザクロ……大船団を引き連れ、途中にある街を征服しながらツァンダ方面に向かっています。
・蜜楽酒家……ザクロ空賊団に占領されており、中にいる空賊はザクロの息が掛かった者ばかりです。
・ヨサークの船……蜜楽酒家付近の船着き場にあります。
・カシウナの街……空賊団が制圧したので現在も空賊団の拠点のひとつとして占領されたままです。

【蜜楽酒家にいる空賊】
・「食いしん坊」のシューゾ……熱い男です。情に厚いか熱血漢なキャラなら説得しやすいでしょう。
・「伏撃」のソルト……故郷に強い思いがあるなら説得しやすいでしょう。
・「歯肉炎」のデンタル……虫歯に悩んでいます。

前回カシウナで捕虜となった方（前回8ページ参照）でもし今回も参加された方がいましたら、掲示板で専用のスレッドを立て書き込んでください。
最初の書き込み時のダイス合計が6以下なら捕虜のままカシウナからスタート、7以上なら人目を盗んで脱出成功とし、自由に行動が可能です。
書き込みがない場合捕虜スタートとなります。それ以外の場所にいた方（蜜楽酒家、ヨサークの船内など）は好きな場所からスタート出来ます。
そして今回、招待者の中でもさらにごく一部の方々用の専用サンプルアクションを用意しています。
深くは書いていませんが、なるべく該当者以外の方は見ない方が良いかもしれません。
該当者は前回個別コメで「これは一部の招待参加者にしか〜」と書いた方々です。もちろん該当者の方はこれ以外の行動も取れます。
またガイドに登場した方々も、もちろん各々の心情に沿った、各々のアクションをかけていただいて構いません。

なおこのシリーズのジャンルは「冒険」ですが、アクション次第で違うジャンルになることも有り得ます。前回はシリアス寄り冒険ものでした。

・ヨサークに野菜を食べさせて元気にする

・蜜楽酒家にいる空賊を説得する

・ザクロに硬化の術を使わせるため攻撃する

・（一部の招待者専用アクション）ある場所へ行く