クリスマスになるとプレゼントを届けてくれるサンタクロース。
突然ですが、サンタクロースはクリスマス以外の日は何をしているのでしょうか?
「よぉーし、今日はあの山を制覇しようかな!」
フレデリカ・ニコラスは、針葉樹の葉を思わせる深い緑色の瞳で、眼前に聳え立つ山を見上げていました。
クリスマスの時と同じく、白い縁取りのある真っ赤な衣装とお揃いのナイトキャップを被った印象的な衣装ですが、女の子特有のボディラインを活かした大胆なアレンジが加えられた服からは、細い腕や綺麗な鎖骨が露出しており、とても涼しそうです。
一見、ただのコスプレ少女のようですが、彼女は正真正銘、サンタクロースの英霊・聖ニコラウスの孫娘で、新米のサンタクロースなのです。
英霊として実在しているサンタクロースは、『クリスマス』や『サンタクロース』といった地球の文化が広く伝わると、それを信じているシャンバラ地方の子供達にもプレゼントを届けてくれるようになっていました。
「次のクリスマスまでには、立派なサンタクロースになるって決めたんだから!」
フレデリカは、担いできた大きな白い袋の中から、愛用の登山グッズを取り出しました。袋の中には、他にも各種サバイバル用品などが用意されています。
クリスマス以外の日のサンタクロースは、世界中の子供達にプレゼントを配るクリスマスに備え、身体を鍛えていたのです。
フレデリカも祖父や父に倣い、普段から山登りをして身体を鍛えていました。
特にこの季節の山登りは、色とりどりの花々や眩しい新緑など、目でも楽しむことが出来、鍛練だと忘れてしまうほど楽しみでもありました。
今、彼女はヒラニプラにある、シャンバラでも有数の高山に挑もうとしています。
ふと見下ろすと、ヒラニプラの町並みが見えました。
「……みんな、どうしてるかな……」
フレデリカが各校の生徒にクリスマスプレゼントの配達を手伝ってもらって、もう半年が経とうとしていました。
「そうだ、みんなもハイキングに誘おう! 1人で登るよりみんなで登った方が楽しいよね!」
フレデリカは一度下山すると、ヒラニプラにあるシャンバラ教導団の建物へ向かいました。
しばらくして、サンタ少女フレデリカより、各校にハイキングのお誘いの連絡が届きました。