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シナリオガイド

夏の訪れはペンギンと共に!? 巨大ショッピングモールを舞台に大騒ぎ!
シナリオ名:ペンギンパニック@ショッピングモール! / 担当マスター: 桂木京介

 ちょっと待って、というように彼女は片手を上げてみせました。
 空いた手は携帯電話、これを耳に当ててときおり、「ええ、そう」とか、「そのつもりよ」と相づちを打っています。
 かと思えば携帯電話を首と肩に挟んで、空いた手で手早くメモを取ったりもしているのです。
 忙しいビジネスウーマン、といった印象ですね。
 実際、その印象はまちがっていません。彼女は……いいですか、早口言葉みたいだけど付いてきて下さい。
 彼女は蒼空学園理事長兼校長兼生徒会長――つまり、蒼空学園の理事長であり校長先生でありさらには生徒会長でもあったりするという、凱旋門の上にエッフェル塔を積んだような立派な肩書きを有す一方で、わずか数年の投機で天文学的な数字の富を築き上げた天才デイトレーダー御神楽 環菜(みかぐら・かんな)なのです。
 待つよう命じられたルミーナ・レバレッジ(るみーな・ればれっじ)は、翼を折りたたんだ直立姿勢のまま、身じろぎひとつせず待機しています。

 さらに十分近くのやりとりがあった後、
「……だからこの件は、任せてちょうだい」
 自信に満ちた口調で話を締めくくり、環菜は電話を切りました。
「立ちっぱなしにさせてしまったね。足が棒になったでしょう?」
 そんな環菜に対し、ルミーナはごく平然と答えます。
「いいえ。私の足は棒に形質変化したりしていません。依然として私の足のままですわ」
「いや、そういう意味では……」
 守護天使ルミーナは環菜のパートナー、あらゆる能力に秀でているばかりか、たぐいまれなる美貌の彼女ですが、唯一重大な欠点があります。冗談や比喩がほとんど通じないということです。
「まあいいか、座って」
 ここは理事長室、東から差す陽光が、半開きのブラインドを通って金色の櫛のように差してきます。
 革張りの椅子に身を沈めると、環菜は切り出しました。
「ちょっとした事件があってね。人を集めてもらえるかしら」

 事件、というのはこういうことです。
 近頃空京に、巨大ショッピングモールが登場しました。名を『ポートシャングリラ』といい、ひとつの屋根で覆われた広い敷地内に様々な専門店が集まり、広大な商業地域を形勢しているというものです。
 中に足を踏み入れれば、一日たっぷり過ごすことができるでしょう。ブランドショップや飲食店の種類の豊富さ充実ぶりは言うに及ばず、要塞のような大型書店もありますし、キングサイズのスーパーマーケットも控えています。家電量販店は壮大なものが二店舗もあり、様々なキャラクターショップにも目を奪われることでしょう。玩具店だってまるで、小さな子どもが夢に描いたような豪華さなのです。
 さてこのショッピングモールがプレオープン期間を終え、いよいよ本格的に活動開始となった矢先、この地に突然、大量のペンギンが押し寄せたのでした。

「ペンギン……ですか?」
「そう。ところでペンギンって『ペンペン』って鳴くことから名づけられたって知ってた?」
「それは初耳です。覚えておきますわ」
「ごめん、今のウソだから……忘れて」

 ペンギンは『パラミタコウテイペンギン』という種で、身長は1メートル前後だといいます。臆病なわりに好奇心旺盛で、少々イタズラ好きの面もありますが、基本的には人なつっこく、人を攻撃したりするような動物ではないそうです。
 このところの環境の急激な変動により、寒冷地に暮らすパラミタコウテイペンギンたちは住む場所を失っていました。そのため、多くのペンギンを空京にある動物園や水族館などに輸送することになったのです。ところが移送中にその檻が壊れ、ペンギンたちは好奇心に駆られて空京入りしたというわけなのでした。

「ペンギンだって移送船にすぐ戻るつもりだったのかもしれないけれど、そうもいかなくなってしまったの。ペンギンを待ち受けていたのは、彼等の天敵だったというわけ」

 天敵、それは、トウゾクカモメが突然変異した怪物でした。
 そもそもトウゾクカモメは、ペンギンを襲って食べる獰猛な鳥なのですが、この突然変異種はさらにとんでもなく凶悪です。
 頭は鳥類ですが首から下は人間型、飛翔はできないものの背中の羽で大きく跳躍し、手にした槍でペンギンを突き殺すというのです。しかもそれが数十羽、編隊を組んでペンギンを襲ったのだからたまったものではありません。

「なるほど、ペンギンが逃げ込んだ先が、ショッピングモール『ポートシャングリラ』だったというわけですわね」

 数え切れないほどのペンギンの群れは、この地に逃げ込んで一安心したのか、好奇心のおもむくまま店舗に飛び込みイタズラをはじめたのでした。食料を盗み食いしたりブティックの服で遊んだり、スーパーマーケットのカートで追いかけっこしたり……数が多すぎたため従業員には避難の指示が出され、現在モールの門は閉鎖されています。

「だから今、無人となったショッピングモールのいたるところにペンギンが闊歩しているみたい……奇妙な状況ね。私の独断で、本件に対し事態の収拾を申し出ておいたわ」
「お話、了承致しました。ペンギンたちを捕獲し、その身を確保せよとおっしゃるのですわね? そのための人員を集めよ、と」
「その通り。パラミタコウテイペンギンは人間を警戒するものの、一緒に遊んでくれる人だと分かれば心を許すという話よ。強引に一網打尽にするより、仲良く遊んで連れ帰るというのがいいと思う。好物は魚類、イカ、オキアミといったところだって聞いてるわ」
「とすればペンギンと一緒に遊ぶ係、餌をあげる係、説得する係といった風に役割分担して挑むのが効率的ですわね」

 モールのほうぼうにいるペンギンを捕まえましょう。また、ショッピングモールの中央にはグランドオープンを控えたミニ遊園地があり、設置に多くの予算を割いたので、最低限これだけは護ってほしいという話です。

「これは伝聞だけど、ペンギンの中に一頭だけ、赤い色のものがいたという目撃情報があるみたい。赤ペンギン? 実在の程は疑わしいけれど、空京で体質が変化したのかもしれないし、特別な種なのかもしれない。可能であれば、その真偽も確認してほしいところね」

 しかし話はこれに留まりません。ペンギンを追ってきた者――変異トウゾクカモメたちもこの地に迫りつつあるのです。
 変異トウゾクカモメは、ペンギンを殺害して食べるのを好みます。また、邪魔する相手であれば人間でも、躊躇なく攻撃してくることでしょう。これを撃破しなくては、ペンギンも安心して移送船に戻れそうもありません。

「ペンギンの確保にトウゾクカモメの撃破、屋内遊園地の防衛……使命は盛りだくさんですわね」
「ええ、それに、幻(?)の赤ペンギンの捜索にも多少人員を割けたらいいわね」
「それでは、その旨伝えて募集をかけましょう。他の学校からも有志を募りたく思いますわ」
「お願いね」
 そうと決まれば行動の早いルミーナです。椅子から立ち、一礼して理事長室を去ろうとします。
 そのとき環菜が、ぽつりとつぶやきました。
「もうじきサマーバーゲンだというのに……このままじゃ買い物に行けないじゃない……」
「なにかおっしゃいまして?」
 ルミーナが振り向き、きょとんとした目で小首をかしげました。
「い、いえ、なんでも……それはこっちの話」
 環菜はコホコホと空咳してごまかすのでした。

 冒険が始まります!
 舞台は巨大ショッピングモール、様々な店の並ぶ中で、夏の始まりをペンギンと過ごすというのはいかがでしょう? 追いかけっこするもよし、仲良く遊んで友達になるもよし、餌で釣ったり釣られたりの知恵比べをしていいでしょう。もう一生分くらいペンギンづくしの一日を過ごせると思いますよ。
 それだけではありません、腕に覚えのある人は、危険な変異トウゾクカモメと戦う道を選んでもいいでしょう。容赦なくペンギンを狩りに来る捕食者を、返り討ちにできるでしょうか。獰猛な相手なので気を抜けません!
 屋内遊園地にはメリーゴーランドや豆汽車、コーヒーカップ、ヒーローショー用のステージ等があります。ペンギンがイタズラをして壊してしまうかもしれませんし、トウゾクカモメがズタズタに蹂躙する恐れもあります。両者から施設を守りきれるでしょうか!?
 はたまた、一羽だけ紛れ込んでいるという赤ペンギンの正体を追ってみるのもミステリアスで良いかもしれません。移送船の時点ではそんなペンギンはいなかったといいますから、環境がこれを発生させたと見るべきでしょうか? それとも、何か秘密の事情があるのでしょうか……?

 さあ、あなたはどの道を選びますか? そしてどのような一日を送ることになるでしょう? 挑戦をお待ちしています!

担当マスターより

▼担当マスター

桂木京介

▼マスターコメント

 ここまで読んで下さり、ありがとうございました。
 マスターの桂木京介(かつらぎ・きょうすけ)です。よろしくお願いします。

 このシナリオでは、巨大ショッピングモール『ポートシャングリラ』でのペンギン騒動に挑みます。
 学校による参加制限はありません。冒険を求める者であればどなたでも自由に参加できます。


 今回の冒険の目的は、主に以下の四つです。参加される方はどれか一つをお選び下さい。
 (※これ以外の参加方法も思いついたのであれば自由に提案していただいて結構です)

 1……パラミタコウテイペンギンの確保
 目的は、パラミタコウテイペンギンを無事に確保することです。本シナリオのメインとなる作戦といえます。
 ショッピングモールは広大すぎて、探すほうとしても途方に暮れてしまうかもしれませんが、たとえばペンギンが書店を好むとは思えないので、ある程度目星をつけて捜索することができるでしょう。
 二百に迫る数がいるペンギンですが、その正確な数は残念ながらわかっていません。
 ペンギンは大抵二羽以上で行動するようです。人間に対しては警戒心を見せ、逃げようとするかもしれませんが、友好的な態度を示し、一緒に遊んだりすると打ち解けてくれそうです。

 2……トウゾクカモメ撃破
 目的は、モールのどこからか襲ってくる変異トウゾクカモメを返り討ちにすることです。
 トウゾクカモメは数十羽おり、小規模な編隊を組んで襲ってくる傾向があります。知能は余り高くなく、会話などはできません。人間にも襲いかかってきますが、それよりもペンギンを優先して攻撃することでしょう。
 場合によっては、ペンギンを守りながら戦うという苦しい状況に陥るかもしれません。

 3……遊園地防衛
 目的は、屋内遊園地を最小限の被害で守りきることです。本シナリオの中では比較的難易度が高めのミッションとなります。
 ペンギンはせいぜい、遊具を誤動作させて壊すくらいしかしません。問題なのはここで変異トウゾクカモメと戦闘になることでしょう。カモメは遊具を気にすることなく平気で荒らしてきます。
 戦闘に適した場所はヒーローショー用のステージ(客席あり。スポットライト設備付)くらいなのですが、都合良くここに現れるとは限りません。
 この作戦に参加する場合、他の作戦以上にチームワークが要求されます。

 4……赤ペンギン追跡
 目的は、存在が噂されている『赤いペンギン』を探し出すことです。
 実在そのものが疑わしい相手なので、あまり大勢で追い回すのも変な話でしょう。参加は若干名でお願いしたいところです。他の作戦よりは重要度が低いので、このミッションを選ぶ人がいなくても構いません。
 探し方を工夫してみたり、どういう理由で赤いのかを推理してみても面白いでしょう。


 以上、今回も皆さんのアクションに込められた『想い』をできるだけ汲み取ってリアクションに反映させたいと思っております。達成すべき目標はありますが、それをこなすとともに楽しんでご参加いただけたたら、マスターとしてそれに勝る喜びはありません。

 皆様のご参加、楽しみにお待ち申し上げております。
 次はリアクションでお会いしましょう。桂木京介でした。

▼サンプルアクション

・パラミタコウテイペンギンを捕まえる。あるいは仲良くなって付いてきてもらって、安全なところまで連れていく。

・ペンギンを追ってきた変異トウゾクカモメに奇襲をかけ、すべて撃破する。

・遊園地のすべての遊具を、傷一つ出さずに守りきる。被害があっても最小限にとどめる。

・一般ペンギンの確保やトウゾクカモメとの戦闘は他のチームに任せ、ひたすらに赤ペンギンを探す。

▼予約受付締切日 (既に締切を迎えました)

2010年06月05日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2010年06月06日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2010年06月10日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2010年06月24日


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