イルミンスール魔法学校

　アイアル達が砦を取り戻してから、一週間が過ぎようとしていた。
　だが、息をつく暇はほとんど無かった。やらなければいけない事が山のようにあったからだ。
　老朽化した砦そのものの修復にも手をつけなければいけなかったし、民を受け入れるための準備も必要もある。
　それに、いつこの砦を取り戻しに敵がやってこないとも限らない。戦いにも備えなければいけない。
　まるで時間が駆け足で動いているかのような、そんな錯覚さえ覚える日々だった。
　そんなアイアル達のところに彼らがやってきたのは、まだまだやるべき事の一つも満足に終わっていない七日目のことだった。



「人質と捕虜を交換して欲しい、と」
　まだ日が昇って間もなくという時頃に、使者を名乗る者が砦に訪れてきた。
　四人の兵士に護衛された男の神官だ。年齢は、四十ぐらいだろうか。
　使者が提示したのは、今までに捕えた民のうち七十人と前回捕虜として捉えたウーダイオスの交換である。
「それは、さらわれた民の総数と考えていいのだろうか？」
「その質問にはお答えできません」
　アイアルの問いに、使者はそう答えた。
　連れている四人の兵は、顔こそ見えないがその身のこなしは堂々としたもので、敵地に少数で乗り込んでいる緊張などは見られない。もしくは、敵として数えらてすらいないかだ。
「なに、すぐに答えを聞こうとは思っていません。こちらも、準備が必要です。そうですね、一週間したら、答えを伺いにまたこちらへ参りましょう」
　そう言って、神官は背中を向けた。
「待て、一つ聞かせてもらえないだろうか？」
「答えられることならば」
　神官が振り返る。
「なぜ、あの男一人のために、危険を犯してこのような交渉にやってきたのだ？」
「困った事に、人気があるのです。彼が居ないと、私の兵の士気が下がってしまう。この四人も、私が止めなければ彼を助けるために乗り込むつもりでした。彼が居ないと兵が乱れるというのは由々しき問題です。ですから、こうして穏便に済ませようとしているのです。むしろ死んでいただいていた方がずっと良かったのですがね。ともかく、そういう事です。できれば、よい返事であって欲しいものです………では、一週間後に」
　そう言って、神官は去っていった。何人かに追わせたが、全員が途中で撒かれてしまい彼らの本拠地の場所は掴めなかった。
「あの男が兵に人気だとは思えないのですが………とにかく、一週間のうちに決めなければなりませんね」
　ウーダイオスを返せば、多くの民を取り戻すことができるだろうが、兵を引き連れてこの砦を奪いにくるに違いない。
　返さなければ、民の安否はわからぬまま。そして、ウーダイオスを取り戻すために奴らはここに来るだろう。
「私には少々荷が重いですね………ともかく、皆にも意見を聞いてみるべきでしょう。一週間のうちに答えが出ればいいのですが」

　もう一月も半ばを過ぎてしまいましたが、あけましておめでとうございます野田内廻です。
　いやはや、前回のシナリオ公開時のマスターコメントで新年の挨拶を入れ忘れてしまっていました。

　今回は前回の続きになります。【カナン再生記】砦へ向かう兵達に合流せよ　の後日談ですね。
　必死に戦ってなんとか砦を奪うことができたアイアル率いるゲリラ兵達。しかし、砦はすぐに使えるほど万全な状態とは言えず、そのうえ面倒そうな奴らまで顔を出しに来た―――と、いうところです。
　続きものではありますが、参加に関して制限はありません。場所や時間についても特に縛りはないので、自由に行動してください。

　さて、シナリオガイドの外側について少し説明します。

●ウーダイオスについて

　ただいま、病室のベッドに縛り付けられております。意識は回復しているので、尋問してみたりちょっかいを出す事は可能です。ただ、尋問しに行くのはアクション扱いになるので、聞きたい事もあるけどやりたい事もあるな～って人は掲示板などなどで誰かに質問を託してみるなどして対応してください。

●正岡すずなについて

　砦の中をうろうろしています。助け出した当初は多少の疲労はありましたが、今は元気になっており、見た限りでは落ち込んでいたりしているようには見えません。城の兵士の手伝いをしたり、市民に話しかけたりして個人的に何かをしている様子です。興味があったら、捕まえてみるのもいいでしょう。

●人質交換について

　メインで扱われている人質交換ですが、こちらは参加者全員の多数決で決まります。アクションの中で、交換すべきか、交換するべきでないか、ご自由にお書きください。キャラクター一人につき、一票を持ってます。また、敢えてどちらにも票を入れないというのでも構いません。

●砦の名前ー募集中ー

　一度落ちてしまった砦は縁起が悪いので、ここで名前を変えてその悪い縁起を断ち切ろうというものです。具体的には、まず掲示板の「アクション相談スレッド」で名前案を出していただき、その中から気に入ったものをそれぞれアクションに記載して投票、得票数の多い名前がリアクションに反映されます。こちらはMCのみ投票でき、MC一人につき一票です。誰がどれに投票したかは、もちろん内緒です。
　それと、「アクション相談スレッド」に出されていない名前案への投票や、卑猥な単語・特定の人物や団体に悪意ある名前は得票数が一位でも没になりますのでご注意ください。

●砦改修計画

　砦は、放っておけば兵士達の努力によって、とりあえず使えるレベルまでは修復されます。しかし、彼らだけではそれが限界です。より砦の価値を高めるためには、みなさんの協力が必要となります。ただ、期限が一週間で資材を運び込む余裕は無いので、現地にあるものを使うことになります。よって、携帯の基地局のような最新技術を使ったものは作れません。手に入る資材は、木材・石材が中心です。あと、敵が残した武器（剣、盾、鎧、矢など）なども使おうと思えば使えます。

・外壁修繕：壊れている外壁を修理する。
・外壁強化：まだ使える外壁を強化し、防御力を高める。
※外壁追加：新たに外壁を作る。
※外装追加：外壁にトラップ（丸太落とし、熱湯落とし、岩石落とし等）を設置する。
・内壁修繕：壊れている内壁を修理する。
・内壁強化：まだ使える内壁を強化し、防御力を高める。
※内装追加：砦内に潜入された際のトラップを設置する。
※内部改修：砦の内部の一部分をリフォームする。

　具体的には、このような感じです。※に関しては、グループアクションが推奨されます。仕掛けたいトラップや、欲しい内装に応じて必要な人数は変わってくると思うので、ティンと閃くものがあったら掲示板などで協力者を募集してみては如何でしょうか。


　こんなところでしょうか。
　投票には定型文をサンプルアクションに入れておきますので、コピペでご利用ください。
　猶予の一週間は、どう過ごすかは自由です。ゲリラの手伝いをしてもいいし、訓練に回してもいいし、ただし一週間でできそうに無いことはＮＧなのでご注意ください。

　ではでは、みなさまの個性的なアクションお待ちしております。

・補修のお手伝い

・兵と訓練

・尋問