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【カナン再生記】迷宮のキリングフィールド

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シナリオガイド

魔女に乗っ取られた坂上教会を攻略し、解毒薬を手に入れろ!
シナリオ名:【カナン再生記】迷宮のキリングフィールド / 担当マスター: 寺岡 志乃

 ばん、と大きく音をたてて扉を開け放ち、青年は薄暗い教会内へ入って行きました。
 靴音を響かせ、信徒席の間を歩いて行きます。正面には、女神イナンナの聖像。何者も歓迎するように両手を広げ、慈愛の表情を浮かべて信徒たちを見下ろすそれが、両側のステンドグラスから差し込む西日によってやわらかく照らされていました。

「やあ、イナンナ。ひさしぶり――って言っても、キミは僕を覚えてないかもしれないけど。なにしろ僕はホラ、とても控えめなタチだから。1年前だって、キミの前に直接現れたりしなかったし」

 青年はイナンナの像に向かって語りかけました。

「正直、キミがここまでねばるなんて思ってもみなかったよ。あの石版の中で、もうとっくにキミのひ弱な心なんか折れて、ズタズタになってると思ってた。計算外もここまでくると、いっそ楽しいよね」
「――モレク様」

 開け放たれたままの扉から、黒い渦が入ってきました。くつくつと笑っている青年――モレクの頭上、天井近くで止まり、言葉を発します。

「首尾は?」
「おおせの通りに。お預かりしました黒矢は、かの人物の心臓を正確に射抜きました」
「ああそう。ご苦労」

 モレクが無造作に手を振ると、黒い渦はみるみる薄まって、散り散りに消えてしまいました。
 バタン、バタン、バタン――――
 音をたて、次々と窓に鎧戸が落ちていきます。窓枠がまるでいばらのつるのように伸びて壁を突き破り、窓と鎧戸に巻きついてこれを固定しただけでなく、互いにつるを伸ばし合い、絡みつき、天井へと伸びてこれを覆いました。
 その様子は、さながら鋼鉄の檻――いいえ、鋼鉄の鳥かごです。
 一片の光も入らない真闇の中、ただ1人、モレクだけが赤黒い燐光を発して立っていました。

「ねぇ、ゲームをしようよ」
 だって、ただ殺し合うだけならだれだってできる。それこそ、物心つかない子どもだって。そんなのは面白くも何ともない。
 ゲームには厳然としたルールがあり、その範囲内で戦うからこそ、面白いのだ。もちろんチートはいくらもあるけれど――どちら側にも。

「イナンナ。キミの信じる彼らがどれほどの知恵と力を持っているか。僕にも見せてほしいな」

*       *       *

セテカが死んだだと!?」

 タイフォン家当主であり東カナン12騎士の長であるネイト・タイフォンは、動揺に割れた声で飛び込んできました。
 知らせを聞き、その足で駆けつけてきたのでしょう。服装は乱れ、騎士の制服も肩にはおっただけの状態です。
 流れ落ちる汗もぬぐわず、切れた息も整えぬまま、ひたすらわが子の姿を求めて室内に目を走らせ――ベッドの傍らに東カナン領主バァル・ハダドの姿を見止め、ネイトはあわてて臣下の礼をとりました。

「これは御領主様……見苦しい姿をお見せしてしまい、申し訳ありません…」
「かまうな。ネイト、こちらへ」
「は、はい…」

 ネイトはバァルとは反対側のベッドの脇につきました。ベッドに眠るのはまさしくわが子――セテカ・タイフォンです。青白い顔に表情はなく、目は閉じ、胸は呼吸にぴくりとも動きません。
 城からの使者が館の門を叩いたときから、いやな予感はしていました。しかしこれほどの凶事とは思ってもみませんでした。
 まさか、セテカが死んだなんて…。
 妻に次いで、息子まで失ってしまった。

「セテカは死んではいない。……まだ」

 がっくりと両肩を落としたネイトに、バァルは硬い声音でつぶやきました。しかしその声も、セテカを見つめる視線も、完全に余裕というものを失っており、楽観視できないことに疑いの余地は全くありませんでしたが。

「おまえを呼びに行かせてから判明したことだが、数分に1度、鼓動があるそうだ」
「し、しかし、心臓を打ち抜かれていたと聞きましたが?」

 バァルは強張った表情のまま、頷くと、壁に控えていた神官服の老女を呼び寄せました。
 女神官は2人に一礼し、説明を始めます。

「セテカ様を射抜いたのは、おそらくモレクの黒矢と呼ばれる呪矢です。古来より魔女モレクが好んで使用したことにより、その名がつきました。
 モレクは殺戮そのものよりもその過程を重んじる魔女です。ただ相手を殺害するよりも、本人や周囲に生き地獄を味合わせることを好むような…」
「生きた鳥の羽をむしり取るような?」
「そうです。モレクの黒矢は、対象者の心臓の一部を破壊し、自ら心臓の一部となることで対象者の精神を徐々に破壊していきます。そして完全に黒矢に精神をのっとられたとき、黒矢はもとの呪矢に戻り、対象者は心臓を失って死ぬのです」
「ばかな!? それではセテカはもう死んでいるのと同じではないか!」

 ネイトは愕然となり、その場に両膝を折りました。シーツの上から出た息子の腕を握り、手首にかすかな拍動を……彼の生きた証を感じながら、それが救いとはならないことへの絶望感から枕元へ額を押しつけます。

「今、黒矢は姿を変え、セテカ様の心臓と同化しようとしています。完全に同化が完了すれば、セテカ様は目を覚まされるでしょう。ただし――ええ、おっしゃるとおりです。それはもう、元のセテカ様ではありません。黒矢に蝕まれ、悪のささやきにとらわれた囚人…」
「――その状態から元に戻れた者は?」

 バァルの問いに、女神官は静かに首を振りました。

「皆、早々に狂い死ぬか犯罪に走り、殺されたようです。あるいは自ら命を絶ったか…」
「助かる術はないというのだな」
「はい。残念ながら」
「そうか」

 バァルは一時、空を仰ぐように面を上に向けました。目を閉じ、こぶしを固めます。

「ではやはり、行くしかないわけだ」

 握り締められたこぶしには、白い紙が握りこまれていました。
 それは夕刻、アバドンの使者を名乗る者たちが落として行った物でした。アバドンからの手紙――そこにはこう、書かれていたのです。

『東カナン領主バァル・ハダド様
前略 事後承諾となってしまい、大変申し訳ありませんが、本日あなたの半身をお預かりさせていただきました。もし彼を取り戻したいとお思いになられるのでしたら、どうぞお友達とお誘い合わせの上、坂上教会までお越しください。ほんの気持ちばかりではありますが、お部屋をいくつかご用意してお待ちしております。お気に入られるお部屋が見つかるといいですね! 僕は一番上のお部屋であなたとご友人が来られるのを楽しみにお待ちしています。
 あ、そうそう。せっかくご用意したのに全部のお部屋を無視して僕の部屋に来られても構いませんが、その場合、残念ながらあなたの半身をお返しすることはできません。…………

*       *       *

「――お部屋1つ1つに、カードをご用意しておきました。カードをお持ちいただけない場合は門前払いとさせていただきます。これは絶対です。ルールを守れないお客さまは歓迎されませんのであしからず。
 なお、ご招待した身でこんなことを言うのも何ですが、僕も忙しい身ですから、いつまでもあなた方のお越しを待ってはいられません。明日の夕刻、陽が沈むまでとさせていただきます。どうせ、それを過ぎたらあなたの半身は元に戻れませんしね。いいでしょ、べつに。解毒剤なくても。
 それでは、お待ちしておりますので、いつでもお越しください。早々         Molech」

 かつて女神像があった場所に玉座を構え、怠惰そうに座りながら、モレクは自分の用いた言葉にくつくつと嗤いました。
 ぶらぶら床を擦っていた手が宙でひらめくと、次の瞬間、指と指の間に黒矢の解毒剤が入った小瓶が現れます。

「これがほしいなら、取りにおいで。イナンナの希望たち。彼女を失望させないように。そして僕も楽しませてよね。なんたって、これはゲームなんだからサ」

 真上のステンドグラスからのわずかな光を受けながら、小瓶は赤黒い光を弾いていました。

担当マスターより

▼担当マスター

寺岡 志乃

▼マスターコメント

 こんにちは、または初めまして、寺岡 志乃といいます。
 こちらは「【カナン再生記】迷宮のキリングフィールド」となります。
 扱い的には東カナンメインストーリーの番外編となりまして、前作「【カナン再生記】東カナンへ行こう!」の続きとなっていますが、どちらもまったく知らなくても全然問題なくご参加できます。よろしくお願いいたします。

 舞台となる坂上教会について。
 皆さんのご尽力により、東カナンに建設されました公共施設です。今回、そこがモレクによりのっとられました。
 現在坂上教会の中は異次元空間のような様相を呈しています。外部からは2階建てのごく普通の教会にしか見えませんが、中は真っ暗でドアが5つ浮かんでいます。一番上に、モレクの部屋へ通じるドアがあります。
 どの部屋に入ることもできますが、敵を倒すか倒されるまで出ることはできません。敗北した瞬間、坂上教会の外へ放り出されて二度と入ることはできなくなります。
 また、時間差での途中入室もできません。入るときは一度に、その部屋を選んだ者全員が入ります。
 勝利条件は、敵を倒すこと。そしてカードを手に入れることです。カードはルールによって守られており、勝敗が決するまでだれも手を触れることができません。
 5室のカード全てを集めないと、最上階のモレクの部屋のドアは開きません。0〜4枚で無理に入ろうとすれば、やはり坂上教会から放り出されてしまいます。ただし――これはモレクも認めていますが――ゲームには裏技もあるし、ジョーカーだって存在します。有効な騙し手アクションがあれば、あるいは通用するかもしれません。――ですが、これはモレクに通用するかどうかという基準で判定しますので、一か八かアクションと思ってください。
 1室でも入らない部屋があれば、それだけ失敗の確率は上がります。一か八かアクションが通用しなければその時点で攻略失敗です。堅実策として、掲示板での振り分けをおすすめします。

 部屋について。
 1室目……1人のネクロマンサーがいます
 2室目……2人のフェイタルリーパーがいます
 3室目……3人のフェルブレイドがいます
 4室目……4人のウィザードがいます
 5室目……5人のナイトがいます
 6室目……モレク+αがいます

 アバドンあるいはネルガル側の人たちは、好きな部屋に前もって入っておくことができます。また、それぞれの部屋の者たちを使って作戦を立てることもできます。ただし6室目は、モレクと気が合わない場合はモレクによってほかの部屋に放り出される可能性があります。彼、結構好き嫌い激しいです。我慢しない子です。

 NPCについて。
 バァル・ハダドは、モレクの部屋に一緒に入ります。クラスはフェイタルリーパー、並外れた身体能力の持ち主ですが、弟を失ってさらにセテカを失いそうになっていることで、今回精神的にかなりまいっています。

 モレクはアバドンの配下の男の魔女です。ルールのあるゲームが好き。長くて退屈な人生は、自堕落に生きてもつまらないだけ。ルールで自分を縛ることによって、楽しくなると思っています。だから一定のルールの中で制限されたことをするのが好き。そのためルールを守らない者は嫌いだし、ルールを持たない者も好きではありません。ただし、彼の場合、このルールというのは「マイルール」である可能性がかなり高いです。反則技か有効技かは、彼にとって愉快かどうかです。言葉遣いや言っていることは子どもっぽいですが、性格は子どもではありませんのでその点が注意かと思います。


 それでは、皆さんの個性あふれるアクションをお待ちしております。

▼サンプルアクション

・部屋に入る

・教会の外で待機する

・バァルと会話する

・モレク側につく

▼予約受付締切日 (既に締切を迎えました)

2011年04月18日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2011年04月19日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2011年04月23日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2011年05月16日


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