イルミンスール魔法学校

◇　お願い　◇

このガイドをお読みになられる前後どちらかに、できましたら、かわい家マスターページの「少年探偵　ＣＡＳＥ　ＯＦ　ＩＳＨＩＮ　ＫＡＷＡＩ　２／３　ｉｎｔｒｏｄｕｃｔｉｏｎ」をお読みください。
お手数ですが、よろしくお願いいたします。



◇◇◇◇◇

Ｓｐｉ，ｄｉｔｊａ　ｍｏｅ，ｓｐｉ，ｕｓｎｉ！　ｓｐｉ，ｕｓｎｉ！
（眠れ、私の坊や、眠れ。眠れ）

Ｓｌａｄｋｉｊ　ｓｏｎ　ｋ　ｓｅｂｅ　ｍａｎｉ：
（甘い夢を呼び寄せて）

Ｖ　ｎｊａｎ’ｋｉ　ｊａ　ｔｅｂｅ　ｖｚｊａｌａ
（私はお前の子守にと）

Ｖｅｔｅｒ，ｓｏｌｎｔｓｅ　ｉ　ｏｒｌａ．
（風と、太陽と鷲を呼んだの）


天井のスピーカーからその曲が流れはじめた瞬間、特別移動刑務所（兼少年院）コリィベル内は、まるで時間が停止したかのように、すべてが動きをとめたのでした。
みなが、息をひそめ、耳に神経を集中している、そんな感じです。

「ロシア語かしら。くるとくん。この曲、知ってる？　たしかクラッシックよね」

「作曲したのは、帝制ロシアの音楽家チャイコフスキー。
チャイコフスキーの曲をボクは、フランス映画の「オーケストラ」やＴＶドラマの「のだめカンタービレ」で知った。
他にも彼の曲は映画で使われたりしてる」

「チャイコフスキーか。あたしも名前くらいなら、知ってるけど。
この、いま流れている曲はどんな歌詞なの」

「この曲のタイトルは、Ｋｏｌｙｂｅｌ’ｎａｊａ　ｐｅｓｎｊａ。
意味は、コリィベルの歌。
日本語だとゆりかごの歌」

あたし、日本のミステリ好きの女子高生古森あまねと、あたしの遠い親戚で隣の家に住む映画好きの小学生、少年探偵弓月くるとくんは、パラミタにいる知り合いのかわい維新ちゃんのお兄さん探しを助けるために、特別移動刑務所（兼少年院）コリィベルへとやってきました。
二本足で歩く、山のように大きな刑務所で、あたしたちと応援にきてくれた契約者のみなさんを待ち受けていたのは、殺人？　事件と数々の謎。
そして今度は、突然、大音量で所内に流れだした曲が鳴り止むのとほぼ同時に、あたしたちのところに、どこからともなく、白衣姿の男女の一団が近づいてきたのです。

「診療の時間のはじまりです。
あなたたちは外来さんですね。
初診は、問診からはじめます。リラックスしてください」

女医さんっぽい、胸も瞳も大きな女の人が、明るい笑顔をむけてくれました。
二十代くらいの腰まであるロングがよく似合うきれいなお姉さんです。
あたしとくるとくんを囲んだこの人たちは、もしかして、お医者さんと看護師さんなのでしょうか？
でも、みなさん、剣や銃で武装されてるし。

「みなさんは、ここのスタッフさんですか」

「わたしたちは、コリィベルの医療チームｓｏｌｎｔｓｅです。
コリィベルに収容されている方にも外からこられた方にも、病気の人にはわけへだてなく、治療を施しているんです。
それがわたしたちの役目だし、患者さんたちのためでもありますからね」

キラッ！　とウィンクされても困るんですが。
この人、才色兼備で、しかも相当の自信家な感じがするなぁ。

「ねぇ、あなたさっそくだけど、わたしの質問に答えていただけますか」

「あ、あたしはここの中の人ではなくて」

「外来さんでしょ。了解してますよ。
症状はどれくらい進行しているのかな」

症状ってなんのですか。

「げーむはお好き？」

「え、えええ。ええ。まぁ、たぶ」

「まんがは？」

「それもまぁ、人並みには」

「アニメーションは？」

「それなりに、です」

「正直なところ、あなた、自分が、腐ってると思う？」

「？」

「いま時の日本人の女性ならそう珍しい嗜好ではないから、恥ずかしがらなくてもいいのよ」

初対面の人にこんなことを聞かれて、なんだか恥ずかしいです。
あたし、おかしいですか。

「わたしたちは、あなたのことを知りたいのよ。なにも隠さなくていいの」

「ちょ、その、これは、いったい」

「最初に頭に浮かんだ言葉でこたえてね。
では、あなたの好きな作家はだぁれ」

え、えっと、それはたくさんいすぎて。

「直感的にこたえてみて。さあ、ほら」

どうしても教えろと言うのなら、それなら。
あたしは、なにも考えずに思いのままに、

「エラリー・クイーンです」

「誰、それ」

二十世紀アメリカが生んだ偉大な推理小説家コンビですが、ご存知ないのでしょうか。
お姉さんとお仲間さんたちは、あたしに背をむけ、しばらくの間、小声でぼそぼそと相談をしていました。
エラリー・クイーンはそんなにマイナなのかな。ショックです。

「わかったわ」

再び、お姉さんがあたしの方にむきなおりました。

「あなたは、ギリギリセーフのようです。今回、治療はしなくてもいいでしょう。
だからといって安心してはダメよ。
油断したら、あなたもすぐに・・・になるわ。
お大事に」

ｓｏｌｎｔｓｅのメンバーさんたちは、あたしから離れていきました。
あの人たちが、コリィベルに収容されている人たちに危険な治療するという医療チームなの。
身につけている武器は、治療に必要な道具ってわけ？

「くるとくん。謎を解くのと、あの人たちを止めるのと、どちらを優先した方がいいの。
応援にきてくれたみんなや維新ちゃんは、大丈夫かな」

「Ｓｕｃｋｅｒ　Ｐｕｎｃｈ．邦題は、エンジェル・ウォーズ。
精神医療施設を舞台に歪んだ妄想とねじれた現実が入り混じるお話」

くるとくんがまたまたわけのわかんないことを言っています。
あの人たちに聞かれたら、治療されちゃうかもよ。
歩不くんを探すのも大事ですが、あたしたちは果たして無事にここから出られるのでしょうか、心配になってきました。

◇◇◇◇◇

パラミタ各地を二本足で歩きさまよう特別移動刑務所（兼少年院）コリィベル。
所内で起こる数々の事件を解決し、隠された謎を解き明かすのも、治療チームや殺人鬼の跋扈する所内にさらなる地獄絵図を展開するのも、すべては、あなたの活躍しだいです！

こんにちは。
かわい家です。
このシナリオのジャンルは、ミステリーです。
参加ＰＬさん全員で、推理や犯罪で彩られたミステリな雰囲気を楽しむのが目的のシナリオです。

今回のお話は、前回の「少年探偵　ＣＡＳＥ　ＯＦ　ＩＳＨＩＮ　ＫＡＷＡＩ　　１／３」の続きであり、次回の三部作最終回の一個前となります。
つまり、全部で三つあるうちの真ん中のお話ですので、今回、お話は完結しませんし、前回に参加にされておられない方には、わかりにくい箇所もあるかと思います。

前回から引き続きご参加くださる方はもちろん、お話の途中からでも、このシナリオに参加してみようかな、という方も歓迎いたしますので、ミステリが好きな方、かわい家シナリオに興味のある方は、どうぞ、ご参加ください。

以下は、アクションを書く際の注意書きになります。
前回からの継続参加の方用と、今回から参加される方用とわけて書いてありますので、ご自分が当てはまるほうをお読みになってくださいね。

前回からの継続参加の方へのメッセージ…引き続きのご参加、まことにありがとうございます。
アクションの書き方等につきましては、前回と同様ですので、特に新たに記すこともありません。
今回も、オリジナル囚人やコリィベル＆事件にまつわるエピソードは積極採用いたしますので、あなたのＰＬだけが知っているお情報（創作）で世界（シナリオ）をどんどん深く大きくしてください。
マスターページに記した地点に、現在、みなさんのＰＣたちはいるわけですが、ここからお話がどう展開するかは当然、みなさんたちのアクション次第です。
アクションによっては、コリィベルから出たり、外から入ってきたりもできますが、前回同様、今回のシナリオ内でも活躍の舞台に選べるのは、コリィベルの中か外のどちらか一方になりますので、ご注意ください。
いつものように個性的なアクションをお待ちしております。

新規参加の方へのメッセージ…このたびは、かわい家のシナリオに興味を持っていただいたありがとうございます。
さて、まずは、ジナリオガイドとかわい家マスターページの「少年探偵　ＣＡＳＥ　ＯＦ　ＩＳＨＩＮ　ＫＡＷＡＩ　２／３　ｉｎｔｒｏｄｕｃｔｉｏｎ」をお読みになって、なんとなくどんな事件が起きているのかは把握されたことと思います。
そういたしましたら、ご自分のＰＣをどんな目的でシナリオ内のどこに登場させたいか、なにをさせるかを決めてください。
例えば、コリィベル内のバラバラ殺人事件を調査したので、事件現場にいたＰＣに聞き込みをするとか。
もっと漠然と、少年探偵弓月くるとの応援にきたや、ＰＣに治療を受けさせるためにコリィベルに入所させたいなんてのもありです。
ただ、注意点として、コリィベルは刑務所（兼少年院）ですので、ＰＣがどうやって入所したかの方法をアクションに書くことを忘れないようにしてください。
誰かの面会に来たや、特技を生かして慰問に訪れた等でよいのではないでしょうか。
コリィベルに入らずに、外の世界で調査をするのもありです。
なにをどんな目的で調べるのかを書いてくださいね。
今回のシナリオ内では、ＰＣが活躍する場所をコリィベルの中か、外の世界か、どちらか一方しか選べません。
どちらかを選択してアクションを作成してください。
また、かわい家のシナリオの特長として、みなさんの創作は積極採用ですので、あなたの考えたオリジナル囚人や事件＆コリィベル、あなたのＰＣの隠されたエピソード等を書いてくださるのもＯＫです。
みなさんのアクションが世界を創るのが、私のシナリオです。
はじめての方でも、アクション次第で活躍できますので、あなたのＰＣらしく楽しくミステリしていただければ幸いです。

それでは、不安と混乱をのせたゆりかごにて、くるとあまね、維新！　とともに、みなさんのお越しをお待ちしております。

・コリィベルに潜入して、くるとに協力する。（ご新規さん用サンプルです）

・やはり、コリィベルで殺人事件を起こす。

・コリィベルをぶらぶらする。事件に巻き込まれ希望。（ご新規さん用サンプルです）