イルミンスール魔法学校

「おぉ、来た来た。ミリアちゃん、今年も手伝ってくれてありがとなー」
「ホント、助かるわぁ。もうね、年々辛くなってきちゃって、やだねぇ」
「そんな、これだけの果実を管理されているだけでも、凄いことですわ。
　いつも新鮮な食材を提供してくださるのですから、こういう機会に恩返しさせてください」

　ザンスカール領内のとある農場にて、一行を出迎えた老夫婦がミリア・フォレスト（みりあ・ふぉれすと）と談笑を交わします。
　ここはカフェ『宿り樹に果実』で振る舞われる料理の材料を提供しており、そして今年も無事、実りの秋を迎える事が出来ました。
「ふむ……見た所、特に影響はないようじゃな。どれもこれも、見事に実っておる」
「そうですね……私にもイルミンスールの不調については、分かりませんでした。
　例の二人……ミーナさんとコロンさんの言う通りのことが、本当に起きているのでしょうか」
「さぁな、我々にそれを確かめる術はなし、じゃ。……ともかく、久し振りのゆったりとした時間、満喫するとしようかの」
　たわわに実った果実を見上げ、アーデルハイト・ワルプルギス（あーでるはいと・わるぷるぎす）とミーミル・ワルプルギス（みーみる・わるぷるぎす）が世界樹イルミンスールのこと、そして『未来から来たという世界樹』ミーナとコロンのことを話題にしつつ、散策を開始します。
「あっ、クリですぅ。もう私、うっかりトゲに刺さるなんて真似しませんよぅ」
　横では、エリザベート・ワルプルギス（えりざべーと・わるぷるぎす）が地面に落ちていた栗を専用の道具を使って掴み、籠に入れます。
「あら、少しは進歩したじゃない。一応ちゃんと成長はしてるのね」
「カンナ、あなた達も呼ばれてたんですかぁ。そうですよぅ、カンナの嫌味にいちいち怒る私じゃないんですよぅ」
　向こうからやって来た御神楽　環菜（みかぐら・かんな）とルミーナ・レバレッジ（るみーな・ればれっじ）へ、エリザベートがえっへん、と胸を張って答えます。
「ふふ、なんだか昔を思い出しますね。確かこの後皆さんで、どちらが多く果実を採れるか勝負したんでしたね」
「そんな事もありましたねぇ。どうしますか？　また勝負しますかぁ？」
「いいわよ、もうあの時とは立場も違うし。それに今の私じゃエリザベートには勝てないと思うし」
「……そう言う割には、大層な格好してますよねぇ？　カンナ」
　エリザベートに指摘され、環菜が頬を染めてそっぽを向きます。
「環菜は準備して来たんですよ、もし勝負を挑まれたら応えてやるって」
「ルミーナ、余計な事言わないでよ！」
　一行の間に温かな笑いが溢れます。
　――あの時とは立場も異なりますが、“縁”だけは切れずに今もしっかりと残っていました。


「おぉ、そうじゃ。今年はのぅ、ちぃと不思議な事が起きとるんだ」
　場が落ち着いた所で、老男性が思い出したように話し始めます。なんでも今年の果実を収穫しようとすると、過去を思い出してとても懐かしい気持ちになったりするようなのです。
　人によっては思い出が誇張されたりするらしく、大事にはなっていないものの作業に影響が出ているとのことでした。

「あの……ごめんなさい。多分、私のせいかもしれないです……」

　話が終わった所で、樹の影から黄緑色の髪をした、なんだか甘酸っぱい香りを漂わせる少女が出てきました。
「あなたは、誰ですかぁ？」
「えっと……葡萄、です」
　エリザベートの問いに、少女は頭上の葡萄を指差しながら答えます。本人の言うことが確かなら、少女は葡萄が人の姿を取ったもの、ということになります。
「私のこと覚えてくれてるかな、なんて思った時にはもう、こうなってたんです。もしかしたら他の葡萄にも私の思ってることが伝わっちゃったのかなって……あうぅ、ごめんなさい」
「あ、謝らなくていいですよぅ。……うーん、これはもしかして、ミーナとコロンが来たからこうなったかも、ですかねぇ」
　エリザベートが呟くと、その当人であるミーナとコロンがひょい、と現れて答えます。
「わたしたちのせい、なのかな？　……でも、それしか考えられないかも。
　この出来事も本来は、イルミンスールによって人に知られないまま解決される問題だったんだと思う。それが今回、皆さんの前に出てきた」
「その可能性が高いね。あまり大きな事件がいきなり起きることはない……と思いたいけど、こういったちょっとした事なら今後、起きるかもしれない。
　これもやっぱり、君たちが代わりに解決すればイルミンスールの寿命がちょっとは伸びると思うよ。そうだなぁ、２年とか３年とかくらい、かな」
　エリザベートがしばらく考えた後で、まとめた推測を口にします。
「要は、楽しく果実狩りをしましょう、でいいんですかねぇ？」
「うん、今回はそれでいいんじゃないかな。それ以外に考えられないし」
「折角だから、女の子にも名前をつけてあげて、エリザベートさん。一緒に遊んであげたら、女の子も喜ぶと思うよ」
　コロンに言われ、エリザベートが「またですかぁ」と言いながらどことなく楽しそうに悩んだ後、少女に向き直って言います。
「ブドウですから、フロウ、でどうですかぁ」
「フロウ……それが私の名前……はい、とても……いいと思います」
　フロウ、と名付けられた少女が、儚さを感じさせる笑顔を向けます――。

　ちょっとしたハプニングを交えつつの、果実狩りのひととき。
　あなたはどう過ごしますか？

　果物を毎日食べられる生活って、いいよね。
　……口調を変えても言ってる内容が変わらないので悲しいのは変わらずです。
　でも食費は１日１０００円（計算上）、猫宮烈です。
　
　さあ、広大な農地に実る秋の味覚を、収穫しながら堪能しましょう。
　今年は“果実”が人の姿を取ってしまったようです。

　●葡萄：フロウ
　黄緑色の髪をした女の子。傷つきやすく引っ込み思案。
　甘酸っぱい香りがする。触れると柔らかくて気持ちいい。

　●梨：ナンシー
　白い髪が特徴的な女の子。「〜デス」と口調も特徴的。
　性格は脳天気。とってもみずみずしい。

　●栗：マロン
　茶色の髪を両脇でまとめている。一見攻撃的だが、気を許した相手には優しい、らしい。
　感情が昂ぶるほど（熱くなるほど）美味しい。

　……と、とりあえずこのくらいで（汗　結構考えるのが大変でした。

　そんな“果実”たちと果実狩りを楽しむもよし。ＮＰＣや気の合う友人、仲間、パートナーと楽しむもよし。
　でもうっかり悪巧みなどしようものなら、『お仕置き』は覚悟しましょう。

　では、秋の一日をどうぞお楽しみくださいませ。


※登場させられるＮＰＣについて

ガイドで登場しているＮＰＣの他、以下のＮＰＣはアクションに記載があれば登場させることが出来ます。
（ほぼ、マスターページに記載されている面々です）

　リンネ・アシュリング
　モップス・ベアー
　カヤノ・アシュリング

　ヴィオラ
　ネラ

　フィリップ・ベレッタ
　ルーレン・ザンスカール

　アメイア・アマイア
　ニーズヘッグ

　飛鳥　豊美
　飛鳥　馬宿
　馬口　魔穂香
　馬口　六兵衛
　鵜野　讃良
　高天原　姫子

　セリシア・ウインドリィ
　サラ・ヴォルテール
　セイラン・サイフィード
　ケイオース・サイフィード

　魔神　パイモン
　魔神　ロノウェ
　魔神　ナベリウス
　魔神　アムドゥスキアス


※『過去を思い出してとても懐かしい気持ちになったりする』について
だいたいその通りです。アクションにて『○○のシナリオのこと』等書いて頂ければ、参照します。
“果実”たちはまた今年も会えましたね、と思っているので、どちらかというと楽しい思い出の方が好まれます。
ちょっとえっちなのは恥ずかしがったり怒ったりするようです。

・エリザベート・環菜一行と果実狩りを楽しむ

・“果実”たちと果実狩りを楽しむ

・パートナーや友人と果実狩りを楽しむ

・お仕置きがなんだ！　俺は悪巧みをするぞ！