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【ぷりかる】死せる竜の砦

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【ぷりかる】死せる竜の砦

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シナリオガイド

ドニアザードの部族の村を囲む骨の砦を越えろ!
シナリオ名:【ぷりかる】死せる竜の砦 / 担当マスター: 相景狭間



 
 昔々、シボラは邪悪なるドラゴン「フェイターン」に悩まされていました。
 天雷竜とも呼ばれたフェイターンは猛々しい雷の吐息を吐き、恐ろしい速度で天を駆けるドラゴンでした。
 その吐息は幾多の部族の村を炭に変え、数多の戦士を骨すら残さず砕きました。
 当代一の戦士であり呪術士であったシャフラザードは三十の精鋭を引き連れフェイターンへと挑みました。
 しかし天を駆けるフェイターンには矢も届かず、その巨体に宿る魔力はシボラの選りすぐりの術士達の呪いすらも防ぎました。
 シャフラザードが討伐に向かってより七日の後、誰もがシャフラザードの敗北を思い描き、絶望に沈みました。
 けれど、シャフラザードは死んでいませんでした。
 九日目の朝と共に現れたシャフラザードは今にも村を灰燼と帰さんとするフェイターンの雷を、その身一つで防いでみせたのです。
 思わず動きを止めたフェイターンにシャフラザードが「崩れよ」と命ずると、フェイターンは絶叫と共に崩壊していきました。
 誰も見た事の無い不思議で強力な呪術に、あのフェイターンの雷をも防ぐ強靭な肉体。
 人々が口々にシャフラザードを称えると、シャフラザードはこう言いました。

「これは私の力では無い。偉大なる奇跡の力である」

 シャフラザードの不思議な言葉の意味が分かる者は、誰もいません。
 しかし、シャフラザードは私達に分からない偉大なる体験をしたのでしょう。
 偉大なるシャフラザード。大英雄と呼ばれるに相応しいのは、後にも先にも彼だけなのです。



「これがあたし達の部族に伝わる伝説……そう言ってたわよね、長」

 アーシア・レイフェル(あーしあ・れいふぇる)の身体を借りているシェヘラザード・ラクシーは、目の前にいる青年にそう言って詰め寄ります。
 そう、ここはシボラ。
 カナンに近く、比較的外と繋がりのある、シェヘラザードの部族の村です。

「それは確かに我等が部族に伝わる伝説。しかし客人よ、何故それを知っている?」
「客人じゃないし。あたしよ、シェヘラザードよ」
「ふむ……?」

 長と呼ばれた青年は、アーシア(シェヘラザード)の瞳を覗き込みます。
 どう見てもシェヘラザードには見えないその姿の奥にある魂を覗き込むかのような姿は、若いながら長の風格を感じさせます。
 シェヘラザードと同じネクロマンサーであるらしい長には、彼女がシェヘラザードである事が理解できるのかもしれません。

「ふむ……よく分かった」
「話が早くて助かるわ」
「ああ、君を嫁に迎えよう。その名前も運命的だ……育ちすぎていないのも魅力的だな。実に僕好みだ」

 満足気に頷く長の顔面にアーシア(シェヘラザード)の拳がめり込み、長は仰向けに倒れます。

「何にも分かってないじゃない。ていうか、まだその性癖治ってなかったの?」
「冗談ではないか……半分くらいは

 何やらぶちぶち言う長の胸ぐらを掴むと、アーシア(シェヘラザード)は長に詰め寄ります。

「冗談に付き合ってる暇はないのよ。あたしの身体がドニアに奪われたんだから」
「ああ、予測はしていたよ。ドニアザードの部族の動きが妙に活発化していたからな」

 そう言うと、長は家の窓から外を眺めます。
 その方向にあるのは森。
 そして、その森の木々の上に見える白い壁……のようなもの。

「お前が使っているその身体、あちらでの協力者の御仁なのだろう」
「そうね。ちょっと借りてるわ」

 その言葉に長は頷くと、静かにアーシア(シェヘラザード)を見つめます。

「お前と次代のドニアザードの仲も知っている。私と今のドニアザードでは無理だったが、お前達なら……と思っていたのだがな」
「……まだ、間に合うかもしれないわ」
「そうだな」

 しばらくの無言。
 その静寂を破り、長は静かに振り向きます。

「……シェヘラザード。伝承について聞いたな」
「ええ、そうよ」
「何故今更そんな事に興味を持つ」

 その言葉に、シェヘラザードは紙束を投げ出します。
 古代呪術研究所。
 そこでたくさんの契約者たちの協力によって調べた、水晶骨格の謎に迫るための断片の数々。
 そして、ドニアザード達の言葉。

「……水晶骨格。大英雄の手に入れた力って、それなんでしょ?」

 大英雄シャフラザードの手に入れたという、偉大なる奇跡の力。
 それが水晶骨格だというのならば、ドニアザードの村にあるのもある程度納得できる話です。
 そんなシェヘラザードの言葉を聞いて、長は静かに眼を閉じます。

「……それに答える前に、一つ問わねばならない事がある」

 そうして、長は静かにシェヘラザードに問いかけます。

「……その身体の御仁のプロフィールと好きな男のタイプ……あとは連絡先についてだ」
「あんた、もう奥さん二人いるでしょ……」
「お前が居ない間に三人になったが?」

 シェヘラザードの蹴りが長の股間にめり込むまで、残り三秒。


 ■■■

「私が説明しよう」

 股間を蹴り抜かれた衝撃から未だ目覚めぬ長の背後の部屋から現れたのは、このシボラには似つかわしくない……洗練された雰囲気を持った男でした。
 それは、太陽の塔事件に関わった一部の人間は会った事のある……理想追求機関ネバーランドの機関長、オルヒト・ノーマンの姿でした。

「……誰?」

 しかし、アーシアに乗り移ったシェヘラザードは、オルヒトを見た事などありません。
 きょとんとした顔でオルヒトを見るアーシア(シェヘラザード)を、オルヒトは慈しむ目で見つめ返します。

「……ふ。中身を多少替えるだけで、随分と魅力が増すものなのだな……だが、そんな不自然さは私の望む理想ではない……悲しいものだな」
「ああ、うん、分かった。長の趣味友達ね」
「一緒にしないでいただこうか。この部族の長殿は、守備範囲が広すぎるだけだ」

 意味不明の会話を交わすと、オルヒトは一枚の羊皮紙を広げます。
 そこに書かれているのは、先程シェヘラザードが語ったとおりの伝承です。

「この部族に伝わる伝承は、一般向けと長にしか伝わらないものがある。そこまでは君の気付いた通りだ」
「具体的にどこが違うのよ。話を長引かせるつもりなら、呪うわよ」
「ふむ」

 オルヒトは頷くと、羊皮紙の一部を指差します。

 

 これは私の力では無い。偉大なる奇跡の力である



「ここだ。ここは正しくは、こうなるのだよ」

 

 これは私の力では無い。偉大なる女王の御技と、我が身に宿る水晶の骨の力である



「水晶骨格……!」

 女王器……水晶骨格。
 それは、かつて大英雄がその力の源としていたものだったのです。
 そしてその力は、強力なエルダードラゴンを一撃で倒す程のものである……ということでもあります。

「英雄ドニアザードは、大英雄シャフラザードの妹だった……。故に、戦いの後遺症で突如亡くなったシャフラザードをドニアザードは埋葬し、そのドニアザードを慕う者達が寄り集まって部族となったという……」

 それが、ドニアザードの部族の始まりであるのだ……と、ようやく目覚めた長は語ります。

「対する我等は、大英雄シャフラザードの直系。大英雄の亡骸の有り無しなど、些細な問題であったはずなのだが……」
「まさか英雄の墓を掘り起こして使うなんて思わないものね」

 長の言葉に頷くアーシア(シェヘラザード)。
 その二人の言葉を遮るように、オルヒトは静かに口にします。

「私はまだカラクリがあるように思うが……まあ、そもそも使い方が分からなかった、というのが実際のところではないかな?」
「ネバーランドの連中が教えたってことね」
「ん?」

 憎憎しげに言うアーシア(シェヘラザード)の言葉に、疑問符を浮かべる長。

「そこの御仁が、そのネバーランドとやらの機関長だが」
「は?」

 驚いて振り向くアーシア(シェヘラザード)に、オルヒトは悪戯っぽい笑みを浮かべて会釈します。

「自己紹介が遅れたね。私は理想追求機関ネバーランドの機関長……オルヒト・ノーマン。無意味な争いの終結と平和……その理想を支援する為、ここに馳せ参じた」


 ■■■

 オルヒト・ノーマン。
 ネバーランドの機関長と名乗る男は、このシボラを取り巻く状況をこう説明します。

「簡単な話だよ。ドニアザードの部族は、水晶骨格を目覚めさせ……新たな大英雄を作り出す事で闘争を征しようとしている」

 そして、それを手伝うのがネバーランドの副機関長……ガルデ・ラルネン。
 そのガルデとドニアザードの部族たちの手により、ドニアザードの部族の村の周囲には巨大な骨の砦とも言うべきものが存在しているのだといいます。
 そして、それに正面から突入し突破しなければ、ドニアザードの部族の村には辿り着かないのだ……と。

「ネクロマンシーの応用のようなものだが……竜の骨らしきものも混ざっている。壊して進むというのは、無理だろうね」

 常に内部構造を変え続け、強力な防衛機構で侵入者を拒み続ける骨の砦。
 それを突破しなければシェヘラザードを救う事も……そして、ドニアザードの部族を止める事もできないのです。


 

担当マスターより

▼担当マスター

相景狭間

▼マスターコメント

こんにちは、相景狭間です。
今回も、よろしくお願い致します!


■探索について
骨で出来た砦型迷宮「死せる竜の砦」の探索になります。
全てが魔力を織り交ぜた骨で造られた、悪趣味な砦です。
砦自体が強力な魔力を持っており、いわゆる一つの巨大なゴーレムやアンデッドのようなものです。
常に内部構造が変わり続ける為、踏破は非常に困難とされています。
各種の部屋、扉も骨で出来ており、その場所や構造も変わり続けています。
ただし一つだけ内部構造の変わらない、しかし常に場所は移動し続ける「鍵の部屋」があり、そこに出口を開く為の番人「竜骨兵」が潜んでいます。

砦の中では侵入者を排除する為、床や壁、天井などからスケルトン兵が組みあがって襲ってきます。
各種武器も砦の魔力で精製される為。攻撃方法も多彩です。
通常のスケルトン兵は白ですが、各種属性攻撃耐性をつけたマジックスケルトン兵(色は緑)も存在しています。
また黒色のスケルトン兵「竜骨兵」は常に一体だけ存在し、これを倒すと30分の間は砦の変形が停止し、どこかにある出口が開きます。
これと同時に「鍵の部屋」は消滅し、砦の何処かに新しい「鍵の部屋」と「竜骨兵」が出現します。
この30分の時間が経過後、竜骨兵は再起動し、同時に砦の変形も再開する仕掛けとなっています。
この時、再び出口は閉じて何処かに移動を開始してしまいます。

この竜骨兵はスケルトン兵の中では最強種となっており、非常に強固な防御能力を備えています。
更に、低い確率で後述する「竜骨の頭」に変形する事があります。
この形態となった後は即座に攻撃モーションに入りますが、この攻撃終了時に元の竜骨兵へと再変形します。

また、ネバーランド副機関長ガルデの配下も何人か迎撃に出てきているようです。
白、あるいは緑のスケルトン兵を自在に砦から呼び出す術も持っていますので、出会ってしまうと手こずるかもしれません。


なお、砦内部はガルデの手により特殊な魔法「魂の刃」がかけられており、入る時には最大で二人ずつしか入れません。
また、契約者とパートナーは一組につき一人ずつ(MC一人、LC一人の組み合わせ)しか砦の中に存在する事が出来ません。
勿論、契約者一人のみでの入室は可能です。

LC追加の際には、一人までが最大となります。
内部での他の方との協力は可能です。



■その他の要素について
極めて低い確率で、雷のブレスを吐く竜骨の頭が組みあがる事があるようです。
ブレスの発射と同時に崩れ去りますが、狭い砦の中で出会ったときは全力で横道に逃げたほうが良い程度の威力があります。


■アーシア先生とシェヘラザード、ついでにオルヒトについて
アーシア先生の身体にシェヘラザードが入っています。
アーシア先生はシェヘラザードに基本的に身体の主導権を貸している為、ほとんど表には出てきません。

オルヒトはシーアルジストです。かなりの実力者のようですが、あくまで「手助け」に徹している為、積極的には動きません。
平たく言えば、邪魔にも頼りにもなりません。ただし、オルヒトの琴線に触れた場合は役に立つ事もあるかもしれません。

▼サンプルアクション

・護衛行動

・探索担当

・戦闘担当

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2012年10月22日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2012年10月23日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2012年10月27日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2012年11月07日


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