イルミンスール魔法学校

「東部の遺跡で封印されていた魔物が復活……ですか」

　久瀬　稲荷（くぜ　いなり）は新聞に目を通しながら呟きました。
　そこには古びた遺跡を背景に、遺跡から出てきたのであろう魔物たちの残骸と見知った冒険者たちの姿が載っています。
　街には被害という被害は出ていなかったようでした。運よく腕に覚えのある者たちが集まっていたのでしょう。

「久瀬……ウデの調子はどう？」
「思ったより良い感じですね。高い金を払った甲斐がありました」

　機晶姫のクウに返事をすると、右肩に手を置いてぐるっと肩を回しました。
　ギギ、と人の身では鳴らない音が部屋に響きます。
　それは義肢でした。先日、冒険者たちに護衛を頼んでクウが運んできたものです。
　道中アクシデントはありましたが無事に義肢は久瀬の元に届いたのでした。

「クウクンは大丈夫だったんですか？　あの街を経由したのでしょう？」
「ダイジョウブ。私が街を出た後でオキタみたいだから。あ、ソウイエバ……」

　クウは思い出したように一枚の用紙を久瀬に渡しました。

「これは？　――いやはや、どこでこんな情報を手に入れたんですか？」
「アタシにだってコネくらいあります、よ？」
「なんで疑問系なんですか……」
（でもまあ、見知った顔も写真に写ってましたし出所はあのあたりでしょうかね）

　久瀬は納得したように頷きます。
　彼は手元にあったもう一枚の用紙を見ました。

「武道大会ですか……デモンストレーションとしては悪くないですね。地球から見学に来る人もいるでしょうし」
「それ、アタシたちも行くヨテイ」
「ルーノクンとですか。私も行ってみましょうかね」

　用紙にはペアとソロでの参加規程が書かれていました。
　特に参加条件に関しての取り決めはないようです。それは教員でも参加できるということを意味していました。

「義肢の慣らしと……ブランクを埋めるには悪くないかもしれませんね」
「久瀬もシュツジョウするの？」
「ええ、せっかくのイベントです。顔見知りもいるかもしれませんし、私が口だけではないところを見せる良い機会ですよ」

　久瀬は言うと拳を握ったり離したりを繰り返して義肢の様子を確かめます。

（それにクウクンの持ってきた情報を信用するならニルヴァーナにも行かなければ……ね）


　

　初めましての方は初めまして。お久しぶりの方はお久しぶりです。
　このたびもゲームマスターを務めさせて頂きます、砂鳥です。
　よろしくお願い致します。

　今回のシナリオは全5〜7部で完結する予定の長編シナリオの第一部となっています。
　この長編シナリオではあまり知られていない、またはまだ知られていないニルヴァーナとパラミタの史実に基づいた話を取り扱います。
　ちなみに私的にとても重要な情報だと感じています。ですので件の情報が公開されるための条件は厳しくするつもりです。

　もちろん成功・失敗判定の条件などは記載しますがトラップも用意させていただきます。
　○○してもいいよ〜、といった感じですね。その結果良くも悪くもなると思います。
　参加者の皆様には色々展開を想像して対処してもらえればいいなと考えています。
　
　と、ここまで期待させるようなことを書き連ねましたが、当シナリオはニルヴァーナへ向かう準備段階として久瀬が武道大会に参加するといった内容になっています。
　ですのでトラップも何もありません。本編に入る前のインターバルとでもお考えください。
　成功・失敗判定もありません。あえて言うなら武道大会の開催が危ぶまれる何かがあれば失敗といったところでしょう。
　私のほうではアクシデントは用意しておりません。

　なお今回も入手したアイテムなどは手元に残りません。そこはご了承ください。


■目的に関して
　当シナリオでは目的を用意しておりません。
　武道大会に出場するも良し。出場者を応援するも良し。あえて勝敗を利用して賭け事に興じるも良し。
　医療班として待機するも良し。武道大会の警備にあたるも良し。このイベントを利用して商売に走るも良しです。

　こんなイベントが自分の通っている学園で行われたらどうするか、想像して頂ければやりたいことが見つかると思います。
　あえていつもどおりの日常を送るのもありでしょう。無理のない内容なら表現したいと思います。


■NPCに関して
　当シナリオでは私が今までに手がけたシナリオで登場したNPCが多数登場します。
　詳細を記載しますのでご参考程度にどんな人物たちか知って頂けると幸いです。


・東雲姉弟
　東雲　優里（しののめ　ゆうり）と東雲　風里（しののめ　かざり）の姉弟です。
　『NPCを参加者が育成する』をコンセプトにしたシナリオで私が使用しているNPCになります。

　優里は地球人で、風里は強化人間です。
　パラミタに着いたばかりで知らないことのほうが多い二人です。
　先輩冒険者に憧れを抱いているようですね。得意武器は現状、短剣です。

　優里は素直ですが風里は天邪鬼です。
　ときおり素直になれず、思ってもいないことを話す癖があるようです。
　先輩冒険者を倒すことを目標にしているようですね。得意武器は現状、槍です。


・魔女ルーノ＆機晶姫クウ
　ツァンダ東部の森に住んでいる仲良し二人組みです。
　ルーノは子供っぽい発言や行動が目立ち、クウは逆に落ち着いた話し方をします。
　ルーノは紅茶やお茶を淹れるのが得意なようで茶葉集めが趣味です。

　二人は仲違いをしたり野盗に襲われたりと大変な目に遭ったりしました、今は平穏無事に生活しています。
　久瀬とも仲が良く、たまにお茶会を開いています。


・久瀬　稲荷（くぜ　いなり）
　ツァンダ南部の蒼空学園分校で教員をしている男性です。
　昔は冒険者だったらしく、当時の仲間を助けるために色々と調べたりもしているようです。
　幽霊が苦手で宿直の日には誰かを呼ぶこともあるようです。生徒たちを呼んだときもありました。

　とある事件で右腕を失いました。
　いまは機晶技術を使用した義肢を付けています。


■武道大会に関して　
　ツァンダ南部、山岳を抜けた先にある蒼空学園分校で行われる武道大会です。
　ソロとペアの部があり、一人または二人で闘っていくことになります。
　特に賞金等は出ないようで純粋に腕試しの場として開催されるようです。

　参加時のアクションでの注意事項があるので、アクションでの諸注意の欄を熟読しておいてください。
　最悪、アクションが不採用になる可能性があります。

　
■称号に関して
　今回のシナリオでは特定の称号は用意していません。
　ですが目覚しい活躍をした方にはちょっとした称号が与えられるかも？


■アクションでの諸注意
　低ステータスでも高ステータスに勝てる可能性を考え、以下のような方法を採用しました。

・武道大会に出場する場合はペアの部門か、ソロの部門を選択する。
・武道大会出場者は攻撃・警戒の二つを選ぶ。
・攻撃・警戒はどちらも『近距離』『中距離』『遠距離』の三種類から選ぶこと。
・『近距離』＞『中距離』＞『遠距離』＞『近距離』といった力関係になっています。

例：近距離中心で戦い遠距離に警戒する場合、遠距離で戦いを仕掛けてくる相手には＋補正がかかります。相手が近距離警戒していた場合は−補正です。

　ただしこれはあくまでも目安なので戦闘方法でどれだけ有利な状態であっても圧倒的な実力差にはあらがえません。
　LV差±30は覆らせられるかも程度ですね。あくまでも判定材料の一つにするだけなので、アクション上有利だからといって必ず勝てるわけではありませんのでご注意ください。
　
　・LC達が出場、MCが応援という参加の仕方も可能です。
　・なおトーナメント形式を採用していますが、対戦相手はランダムです。当方でクジ用意する予定です。
　・スキルの使用は自由ですがドーピングは禁止になっています。薬物等のご利用は計画的に……。

・武道大会に出場して腕前を披露

・遠距離戦闘がいかに強いか教えてあげるわ

・怪我した人を助けるんだ！

・武道大会の邪魔者は排除する