イルミンスール魔法学校

「映画、ですか？」
　卜部　泪（うらべ・るい）の言葉に、今回彼女に依頼を持ちかけたとある映画プロデューサーが困ったように頷く。
「ええ、実は今このような映画を撮影しておりまして……」
「あら、この映画は……」
　プロデューサーが出したポスターを、泪は見覚えがありました。
　その映画はクロワサという世界的有名監督の最新作として話題になっていた映画です。
「確か内容も出演者も極秘の映画、と伺いましたが」
　泪の言葉にプロデューサーがはい、と頷きます。
　この映画は、内容も時代劇であるという事以外は全く明らかにされておらず、主演俳優も一切公開されていないという事で話題を呼んでいました。
「実は、この映画に関する依頼でして…‥」
「この映画に関する？　一体どのような……宣伝、とかではないですよね？」
　そう言うとプロデューサーは何やら言葉を選ぶ様子を見せますが、観念したように口を開きます。

「実は……出演者が全員逃げてしまいまして……後脚本家も」

「――はい？」
　今度は泪が首を傾げる番でした。

　プロデューサー曰く、クロワサ監督は映画に関しては厳しい人物で、俳優にもスタッフにもかなり厳しい要求を出す事が多いとのことです。
　それは時には命にかかわるようなことも多く、最初は俳優達も従っていたのですが、余りに厳しい内容に一斉に逃げ出す始末。
　更にその度に脚本の変更を要求されて、脚本家も『探さないでください』と書置きを残して逃げ出してしまいました。

「残っている脚本もこのような物しか……」
　プロデューサーから渡された脚本を開き、泪も眉を顰めます。
　書かれていたのは『平和な町でトラブルが起き、その裏側には悪代官や越後屋が暗躍していた。しかしそれを成敗しめでたしめでたし』という大まかすぎる内容でした。
「スタッフは皆監督をよく知っている人たちなんで、残っていてくれているので撮影は可能なんですが……今から脚本家を探して脚本を書く事も、俳優を探す事も時間的にも製作費的にも無理なんです。そこでお願いしたいのですが……俳優をやってもらえる人を集めてほしいんです」
「俳優をやってもらえる人、ですか？」
「ええ、幸いにも内容を一切公開していなかったので、全てアドリブでやれるような方……ジャンルが時代劇なので殺陣が出来る人もいると助かります。もう他に頼るところが無いんです！　お願いします！」
　プロデューサーに頭を下げられ、泪は困ったような表情を浮かべます。
（うーん……条件的には……これしかないか）
　そして泪は一度頷くと、プロデューサーに言いました。
「解りました。ちょっとツテを当たってみましょう」

　この少し後、各学校へ『急募！　時代劇の俳優やりたい方！』という告知が出されたのでした。

■5月8日　追記
　　今回のシナリオは番外的な要素が強いため、
　　立場や状況に限らず、また、特に関係の深く無い公式ＮＰＣでも誘う事は可能です。
　　ただし、基本的にＮＰＣとの関係が進むようなことはありません。


**************
　今回は皆様には役者として映画に出演してもらいます。
　ただし脚本はあってないような物。内容はアドリブで行ってもらいます。

■映画の内容
　時代劇となっています。
　お約束、王道ともいえる「町中で何かトラブルが起きており、その背後で暗躍する越後屋や悪代官を成敗してめでたしめでたし」という内容になっています。
　ただし詳細は決まっていません。その辺りはアドリブで演技をしてください。

■出演シーン
　出演シーンに関して、大まかに前半後半を分けさせていただきます。

※参加する方は『あいさつ掲示板』にてコメントを残してください。
　その際のサイコロで２〜７の人は前半、８〜１２の人は後半に出演することになります。
　ただしＭＣ、ＬＣで別々の場面に出演はできません。御了承下さい。

　基本的には前半出演の方同士、後半出演の方同士のアクションを絡め、お話を進めます。
　各劇内キャラクターの人間関係についても、指定の無い部分はマスターがフィーリングで決めさせていただきます！
　※相手を指定せずに「誰かの弟役」とか「誰かの相棒役」とか「誰かのカツラ役」とか「誰かを殺してしまった役」といった関係のみの希望もあれば参考にさせていただきます。

　誰とどんな風な絡みになるかはリアクションが来てのお楽しみです！


■演技内容（アクション）に関して
　最低限、自分がどんな役で、どんな役回りをするのかを書いていただければ大丈夫です。
　役やシチュエーションの補足などもあればぜひ！
　※役回りについては、シナリオの性質上、やりたい事がたくさん書いてあっても全て採用できないかもしれません。

　＝＝劇アクションの例＝＝＝
　役：遊び人の珍さん
　役回り：誰かに情報を渡す
　関係：実は誰かの恋人

　酒場に入り浸っている遊び人だが、町の情報通。
　酒１合と引き換えに情報を提供する。
　＝＝＝＝＝＝


　ストーリーについては、ガイドにあるように
　大まかな内容は決まっていますが、それに従った内容でなくても構いません。
　極端な話、前半で悪代官と立ち回っても構いません。

　それでは皆様の演技、お待ちしています。


■公式ＮＰＣに関して
　今回は公式ＮＰＣを呼び出すことが可能です。
　特に関係称号などがないNPCでも呼び出すことは可能ですが、基本的にNPCとの関係が進むようなことはありません。
　
　公式ＮＰＣを呼ぶ場合は、ＬＣを追加し、アクションの一番最初に、
【公式ＮＰＣ：◆◆・△△△△（ＮＰＣのフルネーム）】
　と明記して下さい。
　このＬＣはリアクションへの登場は出来なくなります。

　ＬＣのアクション欄に、NPCの役と役回りをお書き下さい。
　他の方が同じNPCに違う役と役回りを指定していた場合、“どちらも”が採用されることになります。
　例：「密偵役」「さらわれた娘」の役を与えられたNPCは、１人２役、あるいは「さらわれた娘が密偵だった」といった形になります。

　ＬＣが公式ＮＰＣと過ごし、ＭＣは参加しない場合はＭＣの欄を公式ＮＰＣ用の枠として使用しても構いません。この場合、ＭＣはリアクションに登場せず、ＬＣと公式ＮＰＣが描写されます。
　ＬＣのアクションが書ききれない場合は、どこからがＬＣのアクションなのか分かるようにして下されば、 ＭＣのアクション欄を使用しても構いません。

・映画に出演１

・映画に出演２