昔、ヴァイシャリーの百合園学園で、ある事件が勃発しました。
変態紳士と名乗る変質者が金環日食と称して自身の股間を女生徒たちに見せつける。という百合園史上稀に見る馬鹿馬鹿しい事件でした。
事件はコントラクターたちの手により無事に解決し、変態紳士は獄に繋がれることとなりました。
変態紳士は独房の中、裸で自身のしたことを思い返し、何が間違っていたのかと日々考えを巡らせていました。
そして、彼は一つの結論に至ったのです。
裸の私ではなく、服を着ていた奴らに非があるのだ。
そして彼は獄中での務めを終えて、再び野に放たれました。
それから彼は必死になって勉強を始め、同じ頃に出所予定の仲間たちを集め、あらゆる方法で軍資金を集め、獄中で蓄えた知識を元にあるウイルスを完成させました。
変態紳士はヴァイシャリーの郊外に建てた秘密基地という名のど派手な建造物の中にある玉座の間に腰掛けていました。
以前の彼は仮面にサスペンダーのついたブーメランパンツ一丁という奇抜な格好でしたが、今は仮面のみを着け後は全裸という格好をしており彼の前にいる男たちも同様の格好をしていました
「諸君、いよいよ革命の時は来た! 我々人類は衣類というものを捨て去り、本来のあるべきすがたに戻るのだ」
「おおおおおおおおおお!」
男たちは声を上げると、変態紳士はどこから出したのか手のひらにピンク色の霧は入った小瓶を持ち出しました。
「そして、これが我らの革命を現実のものとする! まずはその威力を見てもらう」
変態紳士が指を鳴らすと、衣類を着た男が前に出た。変態紳士は瓶のフタを開けて、ピンクの霧を出すと男に向けて風を送ると、男の衣類はまるで煙のように消えてなくなり、生まれたままの姿を晒しました。
「おおおおおおおおお!」
男たちもこの威力に歓声を上げます。
「見よ! これが我らの革命の鍵、その名も強制脱衣ウイルス『ラマン』だ! この霧は触れた衣類のみを溶かす効果があるのだ! 空気中を漂うだけならじわじわと衣類は溶けるが、風に乗ればご覧の通りの威力を発揮する! 今よりこのウイルスをヴァイシャリーに向けて散布し続ける。後は奴らが裸になるのをここで待つのみだ」
「総統閣下! 我らはその間、何をすれば」
「散布装置の防衛だ。このウイルスは強力ではあるが、ウイルスの寿命を早いため常に散布せねばならぬのだ。この革命は君たちの頑張りにかかっている。期待しているぞ!」
「了解です! 総統閣下!」
男たちは士気を高めるように互いを励まし合う。
が、その中で一人、その輪から脱出する者がいた。彼はヴァイシャリーの衛兵で、普段から怪しい活動をしているこの団体をスパイしに来たのだ。
「早く! 早くこのことを皆に伝えなければ!」
悲壮感漂う表情を浮かべる男は衣服も着ぬまま冷たい床に裸足の音を鳴らしながらヴァイシャリーへと急ぐのだった。
それから数分後、悪夢のウイルスはヴァイシャリーに放たれた。