あなたはふと目を覚ましました。
「ここは……」
むくり、ベッドから身を起こして周囲を見渡します。
そこは病院のようでした。
なぜここにいるのかを思い出そうとしたあなたは、直後、激しい頭痛に襲われます。頭に手をあてると包帯が巻かれていました。
「そうか、乗っていた馬車が事故ったんだ」
事故にあった瞬間を思い出したあなたは、同時に一緒に馬車に乗っていた人たちのことを思い出します。
そしてきっと心配しているに違いない人たちの顔を。
彼らに自分が目覚めたことを伝えたくて、あなたは廊下に出ました。
廊下は真っ暗でひと気はどこにもありません。
なぜかうす暗く、天井の電灯はチカチカとまたたいて今にも球切れを起こしそうです。廊下の先が見通せず、まるでどこまでも続いているような錯覚に襲われました。
「そんなばかな」
首を振った直後、フッと電灯が消えて真っ暗になります。
暗闇のなか、あなたは突然背後に立った何者かに襲われました。
「!? うわっ!!」
首を掴まれ、恐ろしい力で持ち上げられます。謎の人物はあなたを片手で宙吊りにし、壁に押しつけるとそのまま首を絞めてきました。
(このままだと……殺される!?)
押しつける力は強くて振り返るどころか1ミリも顔を動かすことができません。
ギリギリと締まる首は、窒息が早いか折れるのが早いか……。
そのとき、バチバチバチッと音がして、天井の電灯がつきました。
同時にフッと首を絞める力が消えて、あなたは自由を取り戻します。
せき込みつつ振り返ったあなたの視界のどこにも、敵の姿はありませんでした。病室に逃げ込んだ気配も、廊下を遠ざかる気配もありません。
しかし、あなたを殺そうとした何者かがいるのは間違いありませんでした。
「じ、冗談じゃない……!」
あなたは脱出することを決めました。
さあ、あなたは無事この病院から逃れることはできるでしょうか?