イルミンスール魔法学校

　東西のシャンバラ代王である、セレスティアーナ・アジュア（せれすてぃあーな・あじゅあ）と高根沢　理子（たかねざわ・りこ）。
　ふたりは、ニルヴァーナの児童施設を訪問していました。
　この施設には、人体実験の被害を受けた子供たちが保護されています。ふたりが訪れたのは、子供たちの慰問も兼ねた視察のためでした。

　理子が向かったのは体育館です。
「子供たちが元気そうでなによりだわ」
　彼女は元気に駆けまわる子供たちを、微笑ましげに眺めていました。
　一方、セレスティアーナといえば。
「わざわざニルヴァーナまで遠出したから、お腹すいたのだ」
　いち早く食堂へ向かうと、椅子にどかっと腰を下ろし、給食ができあがるのを今か今かと待ちわびていました。

　すると。
　コートを羽織った怪しげな二人の女性が、それぞれ近づいていきます。
　理子の前に現れた女の子は、茶髪にピアス、日サロでこんがりと焼いた肌。いわゆる黒ギャルです。
　セレスティアーナの前に現れた少女は、ボサボサの黒髪に、赤いフレームのメガネ。着ているコートが白衣なら、幼い科学者に見えることでしょう。

　二人の女性は同時に叫びました。
「――時は来た。今、この地はグラウンド・ゼロになる！！」
　そして、おもむろにコートを脱ぎ捨て、下着姿になったのです。
　派手なランジェリーを見せつける女の子。そんな闖入者を、周りの人々は驚いたような、呆れたような顔で見つめていました。
　周囲の冷ややかな視線も気にせず、二人は高らかに両手を掲げます。
「レイ様万歳！　レイ様万歳！」
　恍惚とした表情で、パラミタ征服をもくろむ男・八紘　零（はっこう　れい）の名を叫び続けました。

「これは一体、なんのつもり！？」
　すかさず理子が、闖入者のもとに駆け寄りました。
　下着を露わにした黒ギャルは、常軌を逸した笑みを浮かべて、こう告げます。
「あたしはファット・ガール。……あんたを殺しにきたの」

　食堂にいるセレスティアーナもまた、闖入者へ歩み寄りました。
「はーっはっはっは！　なんだか面白そうなのがやってきたのだよ」
　しかし、血走った瞳を向ける少女は、明確な殺意をもってこう答えます。
「私はリトル・ウーマンだ。貴様をバラバラにしてやるよ。キケケケ……」


　彼女たちは、自らの正体を明かします。
　自分は、零がニルヴァーナに送り込んだ愛人ナスティ・ガールズであること。
　身につけているのは、ただの下着ではなく、核爆弾を搭載したＰＳ（パワードスーツ）であること。
　そして、ナスティ・ガールズの目的は、自らが生ける核兵器となり、東西のシャンバラ代王を殺害すること――。


　テロリストの出現は、すぐに教導団や契約者たちへと知らされました。
　ナスティ・ガールズは核爆弾を装備しているものの、それ以外の戦闘力は低いと推測されます。契約者が力を合わせれば、取り押さえるのはさほど難しいことではないでしょう。
――彼女たちを護衛する、零の不愉快な仲間たちさえ倒すことが出来るのなら。



　さらに、八紘零が伸ばした魔の手は、ナスティ・ガールズだけではありませんでした。
　施設内からは、高濃度の放射線量が検出されていたのです。
「きっと、これのせいね」
　調査のために赴いていた空京　たいむちゃん（くうきょう・たいむちゃん）は、施設のあちこちから《アトラスの瘡蓋》のレプリカを発見しました。
　アトラスの瘡蓋。それは先日発掘された、放射性物質を多く含む危険な鉱物です。
「……このレプリカ、交換されたばかりみたい。これを置いた犯人はまだ近くにいるかも」
　たいむちゃんは、瘡蓋のレプリカを密閉ケースにしまうと、施設の周辺を調べはじめました。


　突如ニルヴァーナを襲った核の脅威。
　八紘零による野望の序章が、ついに始まります。

　水琴桜花です。
　よろしくお願いいたします。

　日本の多国籍企業《ＺＥＲＯ》の社長を務めながら、パラミタ征服をもくろむ男・八紘零が、この度、本格的に動き始めました。
　零は、先日発掘された《アトラスの瘡蓋》を応用して、核爆弾を搭載した下着型のＰＳ――核ランジェリーを開発。愛人である《ナスティ・ガールズ》に取り付け、東西のシャンバラ代王の暗殺を企てました。

　ほぼ人質の状態となった理子とセレスティアーナ。彼女たちの解放と引き換えに、零は『ファーストクイーンのクリスタルを渡せ』と要求しています。

　零がファーストクイーンの力を欲しがる理由は、今のところ不明です。また、彼は依然として行方をくらませており、どこにも姿は見えません。

　代わりに零が送り込んだ刺客たちは、以下のとおりです。


●ファット・ガールについて

　見た目は、よくいるタイプの黒ギャルです。耳だけでなく、鼻や舌やおへそにもピアスをしています。趣味はキノコ狩り。
　与えられた名前について、『ファットなのは胸だけ』と力説していますが、さいきんお腹まわりが気になりはじめています。
《核ランジェリー》の色は、上下とも紫です。


●リトル・ウーマンについて

　見た目は１１歳くらいですが、実年齢は還暦を超えています。細胞の寿命を決めるテロメアに細工して、若さを保っていると自称しています。趣味はキノコ料理。
　極度の性格破綻者ですが、科学者としての能力は本物なので、零も一目置いている存在でした。
《核ランジェリー》の色は、上下とも赤です。


●不愉快な仲間たちについて

　八紘零がシャンバラで見つけてきた部下たちです。
　合計で６組います。


・空京のカリスマ講師

　特徴的なパフォーマンスで人気を博す予備校講師で、空京大学への進学率は非常に高いです。
　しかし、その実態は、気に入った女子生徒を犯して殺す連続猟奇殺人鬼でした。決め台詞は「じゃあ、いつ殺るか？　今でしょ！」
　彼は、女性の体を加工して作った暗器を、体中に仕込んでいます。


・ツァンダの宝石商人

　表向きはただの宝石商で、地元の貴族たちからも評判は良いです。
　しかし、彼が扱っている宝石はすべて、人間の臓器を加工して作ったものでした。
　彼の作り出した宝石には魔力が宿っており、攻撃アイテムとして使用してきます。代表的な臓器宝石は、以下のとおりです。

《心臓ルビー》　火の魔法攻撃の効果があります。
《腎臓アクアマリン》　水の魔法攻撃の効果があります。
《膵臓ペリドット》　風の魔法攻撃の効果があります。
《肝臓アンバー》　土の魔法攻撃の効果があります。
※8/16　宝石の効果について表記を修正いたしました。


・ヒラニプラの捨て機晶姫

　かつてはパートナーと仲良くやっていたが、ある日とつぜん見捨てられ、ヒラニプラに不法投棄された機晶姫です。
　彼女は人を見ると、生きたまま料理に加工したあと、捨ててしまいます。
　その理由は、もともと彼女に設定されていた、

「ご主人様の【身体を】洗う」
「【料理して】卓に並べる」
「掃除が終わったらゴミを【捨てる】」

　という３つのプログラムが混ざってしまい、
【身体を料理して捨てる】
　に、なってしまったためです。


　上記の三人は、ファット・ガールを護衛します。



・タシガンの不整形外科

　腕は素晴らしいのですが、異常なまでに嫉妬深い外科医です。自分が整形した患者の美しさにも嫉妬します。
　患者が幸せになると、手術した部分が爆発する仕掛けを施しており、すでに何人かのリア充が爆発しています。
　彼女は、華麗なメスさばきと、カップルの頭蓋骨を加工した《リア充爆弾》を投げつけて攻撃します。


・ジャタの食人族

　食人文化の残るジャタ族です。老若男女を合わせて、１３人います。
　極度にお腹の空いた状態なので、人をみるや襲いかかってきます。
　戦闘力は個々によって差がありますが、一人あたり平均して総合レベル２０程度です。


・キマクの激おこ糞糞丸

　まきぐそ姿の、ゆる族です。男の子と女の子がいます。
　怒ると体からメタンガスを出し、引火させて攻撃してきます。
　怒り具合によって、攻撃方法が以下のように変化します。

《ムカ着火ファイヤー》　威力小の炎攻撃です。
《カム着火インフェルノ》　威力中の炎攻撃です。
《激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリーム》　威力大の炎攻撃です。


　上記の三組は、リトル・ウーマンを護衛します。



●核ランジェリーについて

　小型ながら、爆発すれば、施設を吹き飛ばすほどの破壊力を持ちます。
　また、なにより恐ろしいのは、放射線がばら撒かれることです。もし爆発を起こした場合、施設の周辺はしばらくの間、立ち入り禁止区域となることでしょう。

　核ランジェリーは、ナスティ・ガールズたちの体に直接埋め込まれており、外すと爆発します。
　そのため、『核ランジェリーを脱がす』というアクションは（絵的にも）ＮＧとなります。ご容赦ください。

　また、核ランジェリーはすでに発動しています。教導団がいち早く妨害電波を送ったことで、なんとか爆発を防いでいる状態ですが、それもいつまで持つかわかりません。
　核ランジェリーについては不明な部分が多いですが、教導団の調査から、緊急停止の方法がひとつだけ判明しました。
　その方法は、以下のように報告されています。

『持ち主の生体反応が消えれば、爆弾の活動は停止する』



●対処法について

　ナスティ・ガールズおよび不愉快な仲間たちは、八紘零によって強力な洗脳を受けています。そのため、説得するのはとても困難ですが、決して不可能ではありません。
　うまくいけば改心させられるかもしれませんし、零の情報も聞き出せるでしょう。
　もちろん、通常の戦闘によって倒すことも可能です。

　アクションを掛ける相手は、基本的には一組のみを対象にしてください。内容にもよりますが、二組以上を対象に取られると、ダブルアクションになってしまう場合がございます。


　ちなみに、ナスティ・ガールズおよび不愉快な仲間たちは、自ら望んで参加しているのか、それとも強制的に洗脳されているのか、定かではありません。
　説得するもよし。尋問するもよし。殺すもよし。
　すべては、ＰＬさんのアクション次第です。



●児童施設について

　鏖殺寺院の構成員によって、施設内には《アトラスの瘡蓋》のレプリカが仕掛けられています。
　これは、《アトラスの瘡蓋》から出る放射線の、致死量を調べる実験のためです。すでに子供や職員たちから体調不良を訴える人もでています。
　知らせを受けて駆けつけた空京たいむちゃんといっしょに、残りのレプリカの確保、および構成員を捕獲してください。

　ちなみに、これはけっこう重要なことですが、構成員は核ランジェリーの停止方法を知っています。
　構成員を捕まえて、尋問に成功すれば、《ナスティ・ガールズ》を取り巻く展開に大きな影響を及ぼすでしょう。


　児童施設は、２階建ての建物となっています。
　１階には、事務室、トイレの他に、工作室、音楽室、図書室、食堂があります。
　２階は主に、子供たちの寝室です。
　庭には、大きな体育館があります。

　このパートに関しては、複数の部屋にアクションを掛けることが可能です。しかし、探す場所を絞り込んだほうがアクションの成功率は高くなります。



●子供たちについて

　施設内には、《蠱毒計画》による人体実験から保護された子供たちがいます。彼らはどちらかというと、守られるよりも戦いたいと思っているようです。
　そのため、以下の子供たちとは、構成員を捕まえるために協力して戦うことができます。

・墓場　喜多郎　
・墓場　百合籠　
・ジブリール　
・アクワシア・クワシ
・ソフィア・ドストエフスカヤ
・アリー・アル=アトラシュ
・金　龍雲

　彼らの詳細は、私のマスターページ下部『■施設にいる子供たち』の項目を参照してください。

　また、子供たちに関わる称号を提示していただければ、該当するキャラを連れて、好きなパートでアクションを掛けることができます。




　長くなりましたが、以上となります。
　お読みいただきありがとうございました。
　今回はいつにも増して、シナリオの分岐を多く用意しています。そのため、アクション次第では結果が大きく変わってきます。

　ニルヴァーナを核の脅威から救い、八紘零を追い詰めることができるかは、ＰＬさんの手にかかっています！

　それでは、皆様の素敵なアクションをお待ちしております。

・ファット・ガールを止める

・リトル・ウーマンを止める

・不愉快な仲間たちを止める

・レプリカと構成員を探す