イルミンスール魔法学校

「みなさん、聞いて下さい！！！」
　とある街で、ボロを身にまとった、全身傷だらけの少年が人々に呼びかけていました。
　何ごとかと、通行人が足を止め、少年の話に耳を傾けます。
「私は、ステラレの街から、生命からがらここまで逃れてきた者です。みなさん、どうか、私たちの街に救援の手をお願いします！！」
　少年の話を聞いた人々は、一様に顔を曇らせました。
　ステラレの街。
　シャンバラ大荒野の片隅にあるというその街は、盗賊や魔物の群れに襲われて廃墟同然となったことで知られています。
　不幸は重なり、略奪の際の衝撃で、ステラレの街の近くに遺跡として残っていた、古王国時代の気象コントロールセンターの一部の機能が活動を再開し、絶え間のない異常気象を発生させてしまいました。
　街とその周囲には、絶え間なく続く地震に加えて、突発的に巻き起こる暴風雨も激しくなり、街は外界から隔絶されることになりました。援助の手を差し伸べようにも、街の上空には飛行能力を持った魔物や盗賊が飛びまわっていて、飛行しての接近も難しくなったのです。
　閉ざされた街には疫病が流行するなどして、生き残った街の人々は瀕死の状態に陥りました。
　ですが、街に近づくこと自体が困難なうえに、街中に徘徊する盗賊や魔物たちの勢力が非常に強大なために、街を解放しようという動きも盛り上がらず、街はまさに見捨てられている状態なのでした。
　少年の話によると、街では、盗賊たちが我が者顔に暴れまわっていて、生き残っている街の娘たちは次々に連行されて陵辱されているとのことでした。
　街の人々は、娘たちを助けようにも自分たちもケガや病気に苦しみ、治療を受けることもないまま、一人また一人と亡くなっていく状態とのことです。
「みなさん、お願いします！！　このままでは、街は滅びてしまいます！！」
　必死に呼びかける少年に、戦士たちの冷たい声がかかりました。
「そういうけどさ、苦労してその街を解放できたとして、いったい、どのくらいの報酬が出るんだい？」
　その言葉に、少年はきっと顔を上げていいました。
「報酬は、ありません！！」
「なに！？」」
　戦士たちは、あまりにも率直なその言葉に顔をこわばらせました。
（ああ、国家神さま、本当にこんなことをいってしまっていいのでしょうか？）
　少年は、内心不安でした。
　傷だらけになりながら故郷の街から逃げ出し、荒野を歩きながら、国家神に必死に祈りを捧げていたときに、ふと聞こえてきた言葉。
　その言葉は、少年に、街の人々にどう呼びかけるべきかを説いたのです。
「ただ、名誉のために、やって頂ける方を求めています！！」
「名誉だと？」
「そうです！！　誰もが救うことを諦めた街に敢えて踏み込み、危険極まりない闘いに身を投じることに名誉を覚え、満足を覚えられる方を！！」
「おいおい、名誉といったって、その街で死んだとして、誰がそれを語り継いでくれるという保証がある？　危険に身を投じられる自分を素晴らしいと感じたとしても、それはただの自己満足じゃないか。それでいいっていうのは、どんだけイカれた奴だよ！！」
　戦士たちの言葉に、少年は、下を向いてしまいました。
　少年としても、自分の言葉にどれだけ説得力があるか疑問に感じていたのですが、あのとき、脳裏にふと聞こえてきた言葉は、「こう話して、乗ってくる相手に助けを求めるがよい」と語っていたのです。
　しばらくして。
　さらに少年は、続けました。
「これをみて下さい！！」
　どさっ
　少年は、引きずってきた袋を開いて、中に入っていたものをさらけだしてみせました。
「こ、これは！？」
　戦士たちは、驚きに目を見開きました。
　少年が、さらけだしたもの。
　それは、全裸の状態で、全身をズタズタに切り裂かれて亡くなっている、みるも無惨な少女の遺体だったのです。
　その遺体には、何度も性的な暴行を受けた跡も残っていました。
「これが、ステラレの街の現状です！！　どうか、お願いします！！」
　少年は、涙を流して叫びました。

　そして。
　事態は、助けを求めていた少年にとっても驚くべき展開をみせたのです！！
「少年。話は聞いた。いいだろう。眼前に少女の遺体をみせられては、動かざるをえまい。敢えて、大義のため、報酬なきその闘いに身を投じよう！！」
「おう、私もだ！！」
「俺も行くぞ！！　この話を、ネットであちこちに広めようではないか。そうすれば、他にもいるであろう、俺たちのようにイカれた奴らが集まってくるはずだ！！」
　少年の求めに応じることを表明したその戦士の志に賛同して、他の多くの戦士たちも参戦を表明してきたのです。
「み、みなさん、ありがとうございます！！」
　少年は、感動のあまり、涙を流して礼を述べました。
　そのとき。

「ハッピーバースデー！！」
　突然、天空から舞い降りてきた謎の魔法使いが、その場に集まった戦士たちを祝福していいました。
　赤色や青色の宝石をはめた指輪をしているその魔法使いは、魔法によってつくりだしたバースデーケーキを乗せたお盆を戦士たちに差し出してみせます。
「ハッピーバースデー？　どういうことだ？」
　不審に思った戦士たちは、その魔法使いに尋ねました。
「君たちは、いま、これまでの自分を卒業して、新しい自分に生まれ変わろうとしている！！　その誕生を祝福しているのだ！！　この報酬なき闘いに敢えて身を投じる君たちの粋な心意気に敬意を表して、闘いでの活躍の内容に応じて、私の考える称号を授けよう！！　その称号は、後世の人々に語り継がれるものとなることを約束しようではないか！！」
　魔法使いはそういうと、片手を振り上げました。
「さあ、SHOW GO（ショーゴー）タイムだ！！」

■2012年12月18日：追記
称号のサンプルと注意事項を追記致しました。


　このシナリオは、滅びゆく街の救援に赴く内容ですが、どんな活動をしたかによって、参加者全員に称号が与えられるというのが特徴です。MCだけではなく、LCにも称号がつきます。
　事前にどんな称号が欲しいか希望を出せますが、必ず希望どおりの称号になるとは限りません。
　称号は「バトル系」「セクシー系」「癒し系」「個性派系」などにわかれていて、それぞれ激しいバトルをして必殺技を披露したり、セクシーな振る舞い、癒しな振る舞いなどをして、魔法使いに努力が認められれば称号がもらえます。

　街は、近づくこと自体が困難ですが、基本的に、街には何とか着いたことにして、その後の行動を考えて頂ければ大丈夫です。

　街中を歩きまわる盗賊たちや、魔物（スケルトンやゴブリン、スライム、殺人マシーンなど、ありとあらゆる魔物がいます）と闘うことで、「バトル系」の称号は得られやすくなります。なお、ゴーストなど、実体を持たない精霊系の魔物もいますので、物理攻撃だけでは厳しいかもしれません。もちろん、魔法攻撃などでもバトル系の称号は得られます。
　性犯罪に怯える街の娘たちを守って闘ったり、連れ去られた娘たちを救出することも考えられます。

　また、盗賊たちを誘惑したり、闘いに疲れた救援の戦士たちを慰めてあげるために、セクシーな振る舞いをすることで「セクシー系」の称号をゲットできます。
　一緒に闘う仲間を慰めるのもよいでしょう。たとえば、救援に向かう戦士たちをもてなす宿や酒場を主催して、そこでお色気サービスをすることも考えられます。

　このシナリオでは、「治療の達人」「スーパーカウンセラー」「パラミタの伊達直人」など、癒し系の称号を求める人のために、治療系の必殺技も決められるようになっています。
　性犯罪の被害にあった娘たちを精神的にケアすることも重要です。また、ケガや病気に苦しむ街の人々を治療することも重要でしょう。
　あるいは、既に死んでしまって放置されている遺体を埋葬し、弔いをする活動もいいと思います。

　また、自分がもともと街にいて襲われる側になっていても構いませんし、あるいは、盗賊たちに加担して暴れまわっていても構いません。その場合、「被害者系」や「悪党系」の称号が与えられます。

　「大義に殉じた男」など、「殉職系」の称号というのも考えてます。闘いの中で生命を落とした者に与えられる称号です。実際には、そういう方は仮死状態になっただけで、あとで復活することになります。「地獄からよみがえった男」など、「復活系」の称号を与えることも考えています。

　「個性派系」の称号については、その名のとおり個性的で「サンプル」という概念になじまないので、サンプルアクションは紹介しません。ただ、「個性派系」にはさらに「変態系」「妄想系」「発狂系」「パンツ系」「異形系」「カオス系」「特撮系」「意味不明系」など、実にさまざまなサブ分類があることだけ述べておきます。

　なお、街の外には、盗賊たちの乗るイコンが警護活動にあたっていますので、自分のイコンでこれらのイコンと闘うことで、「魔神の乗り手」「淡い彗星」など、「イコン系」の称号も得られるようになっています。
　ただし、イコンに乗ったまま街の中に入ることはできません。

　それじゃ、いい称号、ゲットして下さいね！！　えっ、補正？　最初からそんなものに期待してはいけないと思いますよ！！　えっ、パンツァー？　祈れば出るかも！！！（それは「何系」の称号狙いになるんでしょう？）


・このシナリオで付与される称号の例

（バトル系）
【剣の修羅】
【稲妻スナイパー】
【指輪の魔法使い】
【空飛ぶサイキック】
【燃えるレスキュー魂】

（セクシー系）
【悩殺天使】
【光る太もも】
【可愛いおっぱい】
【聖なる貧乳】
【ご奉仕少女】

（癒し系）
【元気を与える男】
【癒しのロリータ】
【祝福の僧】
【光る掌】
【祈る治療者】

（イコン系）
【鉄の鷹に選ばれし者】
【豪雷の御者】
【旋風を起こすパイロット】
【猛烈イコンアタッカー】
【百戦錬磨のイコン乗り】

（殉職系・復活系）
【おくられびと】
【地獄に拒否された男】
【生命知らずの暴れん坊】
【三途の川をみた男】
【臨死体験者】

※教導団の階級やパラ実の四天王を意味するような、地位に関する称号は付与されません。

・【バトル系称号狙い】街を襲う魔物や悪人たちと闘う。

・【セクシー系称号狙い】悪人たちを誘惑してフヌケにする

・【癒し系称号狙い】心身に傷を負った住民たちをケアする

・【イコン系称号狙い】イコンに乗る悪人と闘う

・【殉職系称号狙い】闘いの中で死ぬ（実は仮死状態）