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Buch der Lieder: 桜んぼの実る頃

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Buch der Lieder: 桜んぼの実る頃

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シナリオガイド

そして探せよ昔の夢を 悲しい歌の悲しい調べを
シナリオ名:Buch der Lieder: 桜んぼの実る頃 / 担当マスター: 東安曇

 空京の街で人々に暗い感情を『共鳴』させ、精神崩壊から死に至らしめる恐ろしい歌が響いて暫くの事。
 事件に大きく関わった義勇陸軍中隊『プラヴダ』は、実体を持たない犯人――ウィリと彼女達の女王ミルタが、再び動き出す可能性があると考えて行動していました。
 その中でも多く人数をさいていた行動は、“『共鳴』を起こし易い精神状態の人々が多く集まる場所を先んじて抑える事で、事件を未然に防ぐ”というものです。
 今日キアラ・アルジェント(きあら・あるじぇんと)一等軍曹、トゥリン・ユンサル(とぅりん・ゆんさる)伍長、彼女のパートナーのスヴェトラーナ・ミロシェヴィッチ(すゔぇとらーな・みろしぇゔぃっち)上等兵が巡回する先は、空京のとある総合病院でした。
 本来ならば此処に他の兵士達も居て然るべきでしたが、プラヴダは現在別の大規模な事件にも関わっている為、実態の分からないこの事件には人数を裂けないのが現状です。そこで彼女達は、友人達に助力を募りました。
 そして契約者と共に病院内に足を踏み入れると――

「何コレ…………何コレ!!?」
 そこは本来なら病院の廊下である筈の場所。
 ですが皆の前に広がった景色は、人間の身体程大きなお菓子が溢れる異空間
 それだけならばファンシーで可愛らしくもありましたが、元々の世界が混ざり合っているのか、注射器や包帯や薬も転がり不気味な事この上ない光景です。
 おまけにキャンディやマカロンの影から聞こえてくる、少女達の囁くような笑い声や不気味な歌。
おお おばかさん おばかさん 自惚れやのおばかさん達
 あなたの望みは 調子に乗った幼い心は 私の歌に飲み込まれて すっかり殺されたのよ

 誘いかける声はゾッとする程甘やかで、それを振り払おうと契約者達はこの不気味な夢の出口を探して走り出すのでした。
 


 同じ頃。キャップを目深に被りTシャツにジーンズというラフなスタイルの青年が、その服装に不似合いすぎる氷の権杖(けんじょう)で、晴天の繁華街の地面を引っ掻きながら歩いていました。
 周囲から飛んでくる好奇の視線に晒されて、陶器のように白い肌を真っ赤に染め上げたジゼル・パルテノペー(じぜる・ぱるてのぺー)は、耐えきれずにアレクサンダル四世・ミロシェヴィッチ(あれくさんだるちぇとゔるてぃ・みろしぇゔぃっち)のTシャツの裾をくいくいと引っ張ります。
「……おにいちゃん」
「……Eh……?」
「私達、どう考えても怪しすぎると思うの」
「Really?」
「通報とかされたらどうしよう」
「…………Well……」
 アレクが今、権杖の石突で描いているのは、あるものを現世に顕現させる為の大規模な魔方陣です。
 これはミルタの害意から人々を守る為に重要なものではありましたが、空京の街で無許可に強力な魔法を行使しようとしている事には変わりなく、通報されてしまえば面倒な事になりかねません。じっと見つめてくる目が増え始めた事に困り果てたジゼルは、バッグから端末を取り出しました。
「友達呼ぶね。もうちょっと多い人数で囲めば、少しは隠せると思うの」
「Ah……right」
 集中している為かアレクから吐き出されるひたすらにぼんやりした返事に嘆息して、ジゼルはメールを打ち始めるのでした。



「そんな場合じゃないんだってば!」
 ジゼルからのメールを受け取って、ハインリヒ・ディーツゲン(はいんりひ・でぃーつげん)は取り乱した様子で思わずそう口に出してしまいました。ミリツァ・ミロシェヴィッチ(みりつぁ・みろしぇゔぃっち)は眉を寄せながら腕を組み、こっそりラウンジの様子を伺います。
 彼等が居るのは空京のある高級ホテルです。事件について思い当たるところが有ったハインリヒは、地球にある彼の財産の一部を持ってくるよう姉――フランツィスカ・アイヒラーに頼んでいました。
 しかし待ち合わせのホテルで彼を待ち構えていたのは、姉でなく次兄カイと長兄コンラートだったのです。彼等の姿を見つけた直後から柱の影に隠れていたハインリヒのもとに、今度はフランツィスカから電話が掛かってきました。
「どう言う事だよフランツィスカ! 兄さん達がくるなんて聞いて無いよ!?」
 捲し立てるハインリヒを凌ぐマシンガントークでフランツィスカが話したのは、ハインリヒが置かれている現状についてです。
 少し前の事、とある事件に巻き込まれたハインリヒは、記憶を無くしお騒がせセレブリティの如く派手な行動をとったジゼルを庇う為に、彼女の兄としてあらゆるメディアに姿を晒してしまいました。
 “あのイケメンお兄様の正体は!?”――そんな要らないゴシップ記事が幾つも出回り、果ては特集を組まれ……、結果地球の兄達まで知るところとなってしまったのです。
「お兄様達はあなたの軽卒な行動にとっても怒っているわ。今度こそ力尽くでも貴方を地球に連れ戻すつもりよ」
「事情は分かったわ。でも今は逃げ切ってしまえばいいのではなくて?」
 ふと口を開いたミリツァの提案にハインリヒの瞳が輝きますが、希望を断ち切るフランツィスカの声が端から飛んできます。
「それとごめんなさいハインツ。あなたの指環と蔵書? コンラートに取られたわ」
 ごんっと音を立てて後頭部を柱にぶつけ、ハインリヒは宙に視線を彷徨わせます。自分の財産を取り戻す為に、兄達の説得が不可欠になってしまったのです。
「こんな事を人の家族に言いたくは無いのだけれど、あなたの家族は人の話を聞かないわね」
「ああ、そうだよミリツァ。末弟の僕の話なんて特に聞いてくれないね。絶望的だ」
 詰んだ。という風に固まった二人に、フランツィスカの声が響きます。
「――と言う訳で私もこれからそちらに向かうから、地球に帰りたく無いならそれまで持たせなさいね!
 それにしても嗚呼! 今日こそあなたの恋人や親友達に会えるのよね? 楽しみにしていたのよ私、フラウエルフェ! 兄様たちもあなたの新しい関係を知ったら、パラミタに残る事を許してくれるかもしれないわね、なぁんてうふふふふ」
 そうして一方的に通信を切ったフランツィスカの言葉に、ミリツァは何かを思いついたように自分の端末を取り出しました。
「あなたの恋人を呼べばいいじゃない!」
「無理だよ。彼は今……音信不通で――」
「フラレたの?」
 ハインリヒは言葉を詰まらせ、暗い瞳で視線を反らします。ハインリヒがイマイチ気に入らないミリツァは少し意地悪な心でズバリ聞いてしまったものの、こんな反応が返ってくると流石に気まずく同情的になりました。
「……仕方ないわね……こうなったら、そうね…………
 全てでっちあげてしまうのよ!
 あなたの恋人や親友や……その他大勢! コンラートもカイもミリツァの事は覚えているかもしれない。プラヴダの兵士までチェックしている可能性すらあるでしょう。
 けれど流石に他の契約者の顔なんて知る筈ないのだわ。だから皆に演技して貰うのよ!
 例え急場しのぎだとしても、今欲しいものが手に入ってしまえばこっちのものよッ!!」
 有無を言わせぬようなミリツァの迫力に、ハインリヒはとても言い難そうにミリツァに告白しました。
「先に言っておくけど……、僕友達そんないないよ?」
「知っているわ、あなた性格悪いものね」
 優雅に微笑まれて、ハインリヒは泣き出したい気持ちで端末の電話帳を開くのでした。

担当マスターより

▼担当マスター

東安曇

▼マスターコメント

 シナリオガイドをご覧頂き有り難う御座います、東安曇です。
 こちらのシナリオは【Buch der Lieder】シリーズの第二回目です。前回シナリオに参加なさらなかったお客様もご参加頂けます。(シリーズをご存知無いお客様には『行動1』をお薦めします)
 今回シナリオ内の三つの話は独立しております為、行動等については下記を参照にアクションを掛けて頂きますよう宜しくお願い致します。
 それでは、皆様のアクションをお待ちしております!

* * * * *

▼行動について
 こちらのシナリオでは主に三つの行動を取る事が出来ます。
 『行動1』と『行動2』と『行動3』を複数アクションに記入しても、一つしかリアクションに反映されません。予めご了承下さい。 


▽『行動1』キアラ達と異空間となった病院から脱出するパートです▽

・このパート参加の皆様へ
 必ず掲示板でサイコロを振り、結果をアクション欄に数字をご記入下さい。
 1PLにつき一回で結構です。MCとLCは同じ行動を取る事になります。

 右か左(もしくは両方)で数字の『6』が出た場合、そのキャラクターは罠に囚われ、行動不能に陥ってしまいます。『6』が出たお客様は、下記を参考にPCが罠に嵌まるアクションをご記入下さい。
 右か左(もしくは両方)で数字の『3』が出た場合、そのキャラクターは罠に囚われたキャラクターを、一人復帰させる事が出来ます。(助けるキャラクターは、一つ前の罠に掛かったキャラクターとします。またリアクションの描写もその該当キャラクターに合わせたマスターのアドリブになります)
 特に何も無かった場合、バトルアクションをご記入下さい。
 脱出出来る人数が、合計キャラクター数(参加キャラクター+NPC三体の)の半分以下の場合、ゲームオーバーです。こちらのパートが成功すると、ウィリの情報を得る事が出来ます。
 MCとLCのサイコロの結果は同じものとして判定しますが、キャラクターの体数はLCも1体に含めます。
 10体の場合→ 6体以上で成功 5体以下で失敗

・病院について
 本来は普通の総合病院ですが、契約者達が足を踏み入れた瞬間異空間に変わってしまいました。
 身の丈程あるお菓子が溢れる様は、ワールドメーカーの能力(トリップ・ザ・ワールドや夢想の宴など)に良く似ていますが、現実の(病院の)残滓が残っており、様々な罠となって契約者を襲います。
 なお、病院に居た人々はこの空間に巻き込まれていないようです。

・病院の罠
 空飛ぶ注射器:無数の注射器が『ちくっとしちゃうぞ』と襲ってきます。ちくっとされると血を抜かれてしまいます。(つまり血が無い種族は、問題有りません)
 無限に伸びる包帯:何処迄も伸びる包帯が、『まきまきさせて』と襲ってきます。まきまきされると動き辛くなったり、動けなくなってしまったりします。
 美味しく無い飲み薬:とても美味しそうな香りをさせて『私を飲んで』を誘います。飲むと余りのマズさに倒れてしまいます。
 デカいメス:全長1メートルの空飛ぶメス。キレあじはばつぐんだ!というかしゃれにならないです。
 
・このパートに登場するNPC
【キアラ・アルジェント】『3』
 何時もビビりなキアラですが、今回もお化け病院を怖がるかと思いきや、意外と問題なさそうです。出口を探して皆を先導します。
 ※サイコロ『3』の状態です。
 
【トゥリン・ユンサル】『?』
 今回も平常通りなトゥリン。しかしパートナーの状態に、少しだけ困っているようです。
 ※PLのアクションに合わせてサイコロが『3』か『6』の状態になります。

【スヴェトラーナ・ミロシェヴィッチ】『6』
 実は病院が苦手なスヴェトラーナは、足がすくんで真っ先に動けなくなってしまいました。
 ※サイコロ『6』の状態です。



▽『行動2』魔方陣を描くアレクをサポートするパートです▽

・このパート参加の皆様へ
 こちらはアレクの関係称号、またはミロシェヴィッチの関係称号をセットした上でご参加下さい。該当しない場合没アクションとして判定され、リアクションに反映されません。ご注意下さい。

・アレクの行動について
 今回アレクが空京全体に描いているのは、現実(パラミタやナラカ)に存在しないウィリと戦うために必要になるものです。こちらが完成すると、次回シナリオでウィリと戦う事が出来ます。
 必要な内容は怪しすぎるアレクの行動を世間の目から誤摩化すだけ、人数も然程必要では有りません。
 また、何処から見ているか分からない敵から行動を隠すため、スキルは使用は控えて下さい。

・NPC
【アレクサンダル四世・ミロシェヴィッチ】
 集中している為半分は上の空ですが、ウィリについて得た情報やセイレーンについては重要な質問でも大体答えてくれます。

【ジゼル・パルテノペー】
 「うおおおおジゼルが壁になるぞおおお皆はさきにいけえええ……えっおいてかないでー!!」



▽『行動3』ハインツの兄さんたちを説得する▽

・行動について
 ハインツを連れ戻そうとする兄二人から、ハインツの財産(指環)を取り戻すのが目的です。こちらのパートが成功するとミルタの正体が判明し、あるアイテムが手に入ります。
 PCはハインツの兄二人を説得する事を目的にし、PLはハインツの兄二人をPCのペースに巻き込んで(笑わせる)事を目的にして下さい。
 PCが真面目にやらなかった場合(吹いたりすると)、兄達は怒って席を立ってしまう可能性があります。
 またスキルを使用する事も出来ますが、相手はただの地球人ですので負荷をかけすぎるような事がないよう注意して下さい。無理矢理意志をねじ曲げる様な事をすると、ハインツごと地球に連れ帰ってしまいます。

▽NPC
【ハインリヒ・ディーツゲン】
 PCのデタラメに合わせます。半ばヤケクソです。

【ミリツァ・ミロシェヴィッチ】
 PCのデタラメに協力し、信憑性を持たせようとノッてくれます。ただし彼女もズレているところがあります。

【フランツィスカ・アイヒラー】
 姉。30代のエキセントリックな美女。ウィーンでミュージカル女優をしており、コンサートの為シャンバラへやってきています。ノリがよく、基本人の話を聞きません。ハインツの話は右から左です。
 現地には遅れてやってくる予定で、意見としては中立の立場です。

【カイ・ディーツゲン】
 次兄。30代後半の甘いマスクのお兄さん。「ルカス」の名付け親で一人だけルカスと呼んでいます。赤子の頃から面倒をみてきたハインツを溺愛しており、なんとかして地球に連れ帰ろうとしています。女性が大好きでノリはよく、軽いですが(軟派)、やっぱり人の話を聞きません。ハインツの話は一切聞きませんが、フランツィスカの話は聞きます。ハインツの愛情を兄姉よりも持って行くアレクが嫌い(苦手)です。

【コンラート・ディーツゲン】
 長兄。40代のハンサムなおじさま。彼の目から不真面目に見えるハインツを地球に連れ戻そうとしています。実直で几帳面で生真面目で一度決めた事は頑として譲らない性格です。つまり人の話を受け入れません。ハインツの話は一切受け入れません。マニュアルに則った行動を好み、そこから外れる行動や人物に混乱します。アレクの色んなところが大嫌い(苦手)です。

▼サンプルアクション

・『3』が出ました

・『6』が出ました

・魔方陣を隠す

・ハインツを助ける

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2014年05月20日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2014年05月21日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2014年05月25日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2014年06月04日


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