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栄光は誰のために~火線の迷図~(第1回/全3回)

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栄光は誰のために~火線の迷図~(第1回/全3回)

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シナリオガイド

それは、長い戦いの始まりだった……
シナリオ名:栄光は誰のために~火線の迷図~(第1回/全3回) / 担当マスター: 瑞島郁

 シャンバラ教導団本校では、大規模な出撃準備が行われていた。
 先日、樹海へサバイバル訓練に出かけた歩兵科の生徒たちが、樹木になかば埋もれた遺跡を発見したのである。発見した生徒たちは装備も少なく、入り口付近の探索しか出来なかったが、人工的かつ機械的な建造物で、古代文明の大規模な遺構と見られている。
 遺跡発見の連絡を受けた団長・金鋭峰(じん・るいふぉん)は、遺跡及びその周辺地域の確保と、遺跡内の探索を生徒たちに命じた。学校を挙げての大規模な作戦となるため、生徒たちは教官の指示の下、出撃準備に駆け回っているのだ。
 技術科2年の女子生徒・深山楓(みやま・かえで)も、初めて出撃を命じられ、緊張した表情で個人装備のチェックを行っていた。
 「遺跡の中にモンスターが住み着いていたり、古代の防御機能がまだ生きている可能性もあるんだよね?」
 そんな楓を、パートナーの機晶姫・ネージュが心配そうに見ている。
 「うん。私も射撃や戦闘の訓練は受けたけど、あんまり上手くならなかったし、ちょっと怖いんだ。けど、日本の国費留学生だから……教導団で勉強したかったら、命令には従わなくちゃ」
 楓はぎゅっと唇を噛みしめる。
 技術科は兵器の開発や製造を担当しており、本来なら最前線に出ることはない。しかし、技術科の主任教官楊明花(やん・みんほあ)が今回の遺跡に大変興味を持っており、技術科の生徒を何人か現地に派遣すると言い出したのだ。楓はそのうちの一人として選ばれたのである。
 「ケガをした楓の手当てをするの、イヤだからね? 無茶しちゃダメだよ?」
 「ネージュが居る所だって、安全なわけじゃないんだから、気をつけてね?」
 楓はじっとネージュを見た。ネージュも衛生科の生徒として遺跡の外で待機することになっているが、サバイバル訓練に使われるような、一般車両も入るのが難しい樹海の真ん中では、絶対に安全だとは言い切れない。二人の少女は、お互いを思いやりいたわるように、固く手を握り合った。

 一方、団長室には、風紀委員長の李鵬悠(り・ふぉんよう)と、そのパートナーで査問委員長の魔女・妲己(だっき) が呼ばれていた。
 鵬悠は金鋭峰と義兄弟の契りを結んでおり、絶対の忠誠を誓っている。校内では『氷の風紀委員長』と呼ばれ、金鋭峰の代弁者として、生徒たちはもちろん、教官たちからも一目置かれる存在だ。そして妲己は、査問委員会を率いて教導団の裏、闇の部分を取り仕切っている。
 「遺跡を発見した生徒たちが、自分たち以外の人間の気配を遺跡周辺で感じたと言っている。あるいは、遺跡の存在が他校にも知られているのかも知れん。遺跡の入り口は、発見した生徒たちと、急ぎ派遣した先遣隊に固めさせているが、油断は出来ない」
 金鋭峰は机の表面をコツコツと指で叩く。
 「今回発見された遺跡には、楊明花が大変な興味を示している。となれば、他校の生徒はもちろん、校内で私と意見を異にしている者たちにも渡すわけには行かん。『技術科を制する者、教導団を制す』……判っているな?」
 「必ずや、成果を上げてご覧に入れます」
 鵬悠は深く頭を垂れた。
 教導団で使用する装備の開発・製作を指揮する楊明花を味方につければ、新開発の装備や強力な兵器を優先的に使用できる。現在、明花は研究予算を惜しまずに出してくれる金鋭峰とは友好な関係にあり、そのおかげで風紀委員や査問委員は他の生徒より良い装備を回してもらえている。だが、今回の遺跡調査で、鵬悠を筆頭とする団長派以外の生徒が手柄を立てれば、明花はその生徒を優遇することだろう。
 「妲己、鼠は一匹たりとも逃すな」
 「お任せください」
 妲己は優美に膝を折り、礼をする。その姿は、教導団の『闇』に君臨する査問委員長とは思えない。
 「ああ……ただし、直接危害は加えるな。他校の生徒を傷つけたとなると、色々とやかましいかも知れん。監視をつけて懲罰部隊へ送るくらいにしておけ」
 面倒そうにため息をつく金鋭峰に再度一礼し、鵬悠と妲己は団長室を出た。

 その頃、ヨーロッパ系生徒の最大グループである『白騎士(ヴァイサーリッター)』のリーダーであるヴォルフガング・シュミットも、遺跡の探索になみなみならぬ関心を寄せていた。
 「楊技術科主任が興味を持つ遺跡か……もし私たちがそこに眠る技術を手にすることが出来れば、李鵬悠に対して優位に立つことが出来るかも知れないな」
 教導団は金鋭峰の指導力の下にまとまっているように見えるが、李鵬悠をリーダーとした中国系の生徒が強い力を持っていることを内心で不服に思っている生徒は、決して少なくない。ヴォルフガングら『白騎士』も、そういった生徒たちの集まりだ。
 「あなたは、李鵬悠を意識しすぎです。功を焦って無茶をすると、自滅を招きますよ」
 パートナーのヴァルキリー・エルダの諫める声も、ヴォルフガングの耳には届かないようだ。

 さまざまな生徒の、さまざまな思惑を巻き込んで、教導団に嵐がやって来ようとしている。だが、それを知る者は、まだ、誰も居ない……。

担当マスターより

▼担当マスター

瑞島郁

▼マスターコメント

 このシナリオは、続編をあわせると全8回の長丁場になる予定です。よろしくおつきあい下さい。
 戦闘と戦場における人間模様を中心とした、シリアスなシナリオです。軍事関係に詳しくない方でも参加して頂けるよう配慮して参りますが、プレイヤーの軍事の知識の有無に関わらず、アクション判定は厳し目になると思われます。

 また、このシナリオには以下の特殊ルールが適用されます。
1:PCが重傷を負った場合や軍法会議レベルの問題を起こした場合は「本校送還処分」となり、次の回以降このシナリオに参加できません。(他のシナリオには参加できますし、このシナリオの続編にも参加して頂けます)
2:送還処分までは行かないが、問題のある行動を起こした場合、「懲罰部隊送り」という処分になることがあります。懲罰部隊送りになると、行動の自由が制限され、専用の選択肢しか選べません。これは1〜2回程度で通常に戻ります。(解除・復帰はマスターからのコメントでお知らせします)

 そして、早速ですが。
 本文にもありますように、金鋭峰からは、「他校生を遺跡周辺から排除し、遺跡を確保せよ」と指令が出ています。ですので、他校生が部隊内にまぎれ込んだことが発覚した場合、まぎれ込んだPCや、それを手伝ったPCは、もちろん上記の処分の対象になります。また、まぎれ込まれたのを知りながら黙認したり、そのまま一緒に行動することを認めると公言したりしたPCも、同様に処分の対象になる可能性がありますのでご注意ください。

 所属兵科、および学年は自己申告です。明記されていない方については、アクションの内容等も勘案してこちらで仮の所属を決めさせて頂きます。
 金鋭峰に忠誠を誓って風紀委員または査問委員として行動したい方、あるいは『白騎士』のメンバーとして行動したい方は、アクションにそう明記して頂ければ、加入していること前提でアクションをかけられます。もちろん、どちらにも属さないまま居ることもできますし、自分たちで新たな派閥を名乗っても構いません。派閥に所属することで行動の巾を狭める可能性もありますので、良く考えて自分の立場を決めてください。

 それでは、戦場でお待ちしております。

▼サンプルアクション

・本隊が来るまで、遺跡の入り口を守る

・遺跡に突入し、内部を調査する

・後方部隊でサポート/後方部隊を守る

・怪しい人間が紛れ込まないよう監視する

・対立する生徒グループを妨害する

▼予約受付締切日 (既に締切を迎えました)

2009年07月16日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2009年07月17日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2009年07月21日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2009年08月03日


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