シャンバラ教導団

　北米大陸、ワシントン。
　かつての米軍基地の一つが、ダエーヴァの基地として存在していました。
　そして、その基地を襲撃しようとしているレジスタンスがいました。
　その組織のリーダーはアナザーにおけるハイナ・ウィルソンその人です。
　ハイナは、日本に留学し、その後アメリカに戻ってから大統領である叔父の補佐をしていましたが、アメリカがダエーヴァに支配されてからは米軍の残党などとともにレジスタンスとして抵抗していたのです。
　ハイナのレジスタンス組織『Revival　Stripe』は星条旗のもとにアメリカを取り戻そうという願いをつけて名付けられた組織ですが、その組織の大きな活動目標の一つに、ダエーヴァに捕まっているハイナの叔父であり大統領であるアイザック・ウィルソンの身柄を取り戻し、正しき指揮権を取り戻すことがあります。
　現在、米軍残党のレジスタンスであるリバイバルストライプは、名目上は副大統領であるトマス・ベイカーが臨時のリーダーということで代表に立ち、大統領の娘であるアナザーハイナが実質的な指揮をとっています。
　これは、在りし日のアメリカの法制度に則ったもので、そのために、アメリカに存在するレジスタンスの中でもリバイバルストライプはかなり大きなレジスタンス組織となっているのです。
「やっと、やっとでありんす」
　アナザーハイナはオリジンのハイナと同様に着崩した和服に身を包みながら、そうつぶやきました。
「左様ですね、お嬢様」
　それに答えるのは副大統領のトマスです。
「ようやく叔父様の居所を掴んだでありんす」
　そう、リバイバルストライプは苦心の末に大統領の捕まっている基地を調べあげ、その基地に対する襲撃の準備をしていたのです。
　そして、トマスは政府時代の様々なコネクションと様々な策を弄し、なんとか日本と通じ、結果としてオリジンの契約者たちに接触。援助を依頼しました。
　ロシア、カナダを経由してイコンが運び込まれ、簡易ながらイコンの整備環境も整えられて、イコンのトラブルにも対応できるようにしています。


「さて大統領、そろそろ例の装置の起動を承認してもらいないかな？　じゃないとまた痛い目にあってもらうよー、キヒヒヒヒ」
　一方のダエーヴァ基地では、サルヴァが捕虜となっている大統領に何かを迫っていました。
「まったく、君の生体細胞と音声と、その他なんだったかな？　まあ、それらもろもろが揃わないとあの装置は起動しないからねえ……でもまあ、大統領、ユーのクローンの培養は順調だから、もうすぐユーも用無しになるよ。その前にぜひとも起動を承認して欲しいのだが？」
　サルヴァは嗜虐をこめた視線でそう尋ねます。
「ノーだ！」
　それに対して、大統領はきっぱりと否定します。
　と、それと同時に大統領の座っている椅子に電流が流れます。
「もう一度聞くよ？」
「ノーだ！」
　そして、また電流が流れます。
「どうしてもかい？」
「ノオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ！！！」
　電流が流れる中で、大統領は絶叫し、意識を失いました。
「まったく、強情な大統領だよねえ」
　サルヴァはそう言って、部屋を出て行きました。
　そして、目が覚めた大統領は、一人つぶやきます。
「レッドグリフォンがあれば、こんな奴ら……」
　それは、真紅に塗装された大統領選用の大型パワードスーツで、ダエーヴァとも互角に渡り合えるだけの戦力を持っていると言われていました。


　そしてリバイバルストライプの基地で、作戦の最終確認が行われていました。
　契約者たちとともに遂行する作戦は以下の三段階に分けられます。

1：旧空軍、陸軍とイコンの合同作戦により、基地に大規模な襲撃を仕掛けて、基地の防衛戦力をおびき出します。アナザーハイナは大統領専用機であるレッドグリフォンを駆って、この戦闘に参加します。戦車を始めとした各種陸戦兵機と各種航空戦力、そしてパワードスーツが投入されます。

2：海兵隊、陸軍の歩兵部隊（パワードスーツ含む）と生身の契約者により基地へ突入し、大規模に陽動するとともに基地内部にいるダエーヴァに反逆して捕らえられている人間やダエーヴァと契約状態になったものの内部の権力闘争に敗北して投獄されている人間、あるいはリバイバルストライプのメンバーでダエーヴァの捕虜になっている人々を解放・救出し、彼らに武器を与えて暴れてもらい、更に騒ぎを大きくします。

3：特殊部隊とアナザーハイナの親友である女性とともに基地に潜入。大統領を救出して離脱をします。

　そして、リバイバルストライプのアジトに集まった契約者たちに紹介されたのは、金髪をポニーテールにまとめてその上からカウボーイハットをかぶり、ハイナにも負けないほどの大きな胸を大胆に晒した西部劇風の衣装と、生脚をこれまた大胆に晒したホットパンツをはいた、銀色の瞳と褐色の肌を持つ女性で、足元だけは実用性の高そうなブーツを履いていました。
「ハーイ、グレース・リバモアです！　よろしくね！」
　グレースの脚には二つのホルスターがあって、そこには二丁の拳銃が収まっていました。また、腰には二本の小剣が吊るされています。見ただけで戦闘スタイルが分かりそうな、そんな女性でした。
「お嬢、このお方はどれほど戦えるので？」
　そんな感じで海兵隊員が一人質問をします。そして、論より証拠とばかりにパワードスーツを着込んだ隊員三人とグレースによる模擬戦闘が始まりましたが、グレースは海兵隊員の攻撃をかすらせもせずに逆にSF映画のアクションシーンのような体捌きで屈強な海兵隊員たちを叩きのめしてしまいました。
「グレースは、ちょっといろいろあって強くなったのでありんす」
　後で密かに語られたことによると、ダエーヴァの細胞を移植した改造兵の被験者ということでした。グレースは、自らそれに志願したのだそうです。
「とまあ、そういうことでよろしくね〜」
　グレースはそう言うと、ウィンクをしたのでした。

　また、現状偵察で判明している敵戦力は以下のようになります。

【ギガース】　量産型の対イコン兵器
【レッド・キャップ】　赤い帽子の子鬼
【クー・シー】　巨大な犬型の怪物
【ロビン・フッド】　伝説の英雄を模した遠距離用の怪物


【ヘリコープス】　ヘリと怪物の融合体
【戦闘機コープス】　戦闘機と怪物の融合体
【戦車コープス改】　戦車と怪物の融合体
【多脚戦車コープス】　歩兵補助用の小型戦車と怪物の融合体
【パワードコープス】　パワードスーツと怪物の融合体

　コープスと名前が付いているものは、米軍の兵器にダエーヴァが融合したもので、もともと自分たちの武装であるこれらの恐ろしさ、とくに戦術リンクシステムを搭載している戦車、多脚戦車、パワードスーツのコープス（死体）を、米軍関係者たちは特に警戒しているとのことでした。

　お久しぶりです。大統領を救出できたらパーティーが始まります。
　それはともかく、久しぶりの蒼空のフロンティアです。やっぱりロボットはいいですよね！　ということで、派手なパーティーを始めましょう。
　なお、このキャンペーンは全３回の予定です。

　ＰＬ情報になりますがボス格として対巨人（イコン）用試作兵器一号ヒューベリオンという20メートルサイズの巨大な生物兵器が基地の中で起動の準備をされています。サルヴァの試作兵器の例に漏れずオーバースペックですので、十分にご注意ください。
　このことはダエーヴァと契約状態になったが権力闘争に敗北して投獄されている人たちが知っていると思いますのでなんとかPC知識に落としこんでください。
　また、樹がシナリオで使うダエーヴァの兵器はマスターページにある程度の詳細とともに掲載しておきますので、よろしければご参照ください。

　味方戦力としての米軍のパワードスーツですが

　ベーシックな【パワード】（15）
　複数の腕とそれらに各種の武装を搭載した【マルチアーム】（20）
　集団で運用することを前提にした【マルチアーム・F型（フルファイア）】（25）
　大統領専用のオーバースペックな【レッドグリフォン】（55）
　それのダウンスペック量産型で指揮官用の【ハイパーイーグル】（35）
　などがあります。
　それぞれカッコ内の数値はパイロットランクのパワードスーツ隊相当の目安です。

　なお、最後の選択肢ですがシナリオに大幅に関係しないことや礼儀を欠いた調べ方などは没になりやすいことに注意してください。
　また、この調査の選択肢に限りこのシナリオでの特例として多重アクション（調べるためにイコンで出る、調べるために生身陽動部隊に行く、調べるためにグレースと一緒に戦う　などといった程度のものなら）を問題なしで描写いたします。

　それでは、よろしくお願い致します。

・基地の戦力をおびき出して潜入部隊の負担を減らす

・生身で暴れたい

・大統領を救出したい

・色々と調べる