シャンバラ教導団

　“御神楽埋蔵金”

　蒼空学園の創始者にして校長の御神楽　環菜（みかぐら・かんな）が暗殺された後、そんな噂が蒼空学園を中心にシャンバラ地方に流れています。
　環菜の個人資産は小さな国家レベル規模で存在し、蒼空学園を始め、空京大学の設立やツァンダ・空京のインフラ整備に投じられてきました。
　ツァンダや空京の地図を見ると、“御神楽”の名を冠した地名や建物、道路などが所狭しとあります。

　環菜の資産はネットトレードで増やした代物ですが、それは彼女本来の才能とパートナールミーナ・レバレッジ（るみーな・ればれっじ）の能力の賜物と言えます。
　地球とパラミタを繋ぐインターネットは１週間のタイムラグがありますが、ルミーナの能力はそのタイムラグをなくし、パラミタにいながら地球のネットトレードをリアルタイムで行うことが出来るのです。
　しかし、環菜が死亡し、ルミーナが行方不明となった今、その遺志を継いて蒼空学園の校長に就任した、幼馴染の山葉　涼司（やまは・りょうじ）はネットトレードでどうしても後手に回ってしまうため、環菜の遺産のうち、ネットトレード分はみるみるうちに削られていき、最低限維持するのがやっとでした。

　そんな時です。

「あの、御神楽環菜が何もしないで死ぬはずがない」

　このような噂が流れ始め、噂が噂を呼んで、いつしか環菜の隠し財産“御神楽埋蔵金”となってシャンバラ地方に広まっていきました。
　環菜の遺産を管理している山葉は、「そんなものはない」と火消しに回りましたが、彼が否定すればするほど「山葉は御神楽埋蔵金の場所を知っていて隠しているに違いない」と“御神楽埋蔵金”の噂は信憑性を増していき、遂には一攫千金を狙うならず者達が動き出し始めました。
　彼らは「御神楽」の名を関する場所を掘り起こしたり、襲撃するようになったのです。

　その魔の手は長閑で平和な村にも伸びようとしていました。

「ひい、ふう、みい……ざっと３、４０人ってところか」
「村は半包囲されているわ」

　パラ実の制服であるクラシカルなセーラー服に身を包んだ熾月　瑛菜（しづき・えいな）は、物陰に隠れながら敵の数を数えました。
　彼女のすぐ横に、蒼空学園の女子制服の下にブレストプレートを着けた加能　シズル（かのう・しずる）が滑り込み、周囲の様子を報告します。
　彼女達が居るのは、ツァンダの東の森を越えたところにある、人口数百人の小さな村です。
　この村には『御神楽音楽堂』という野外ステージがあり、夏にはロックの野外フェスが開かれます。
　ストリートミュージシャンである瑛菜は、この野外ステージでコンサートをしようと下見に来ていました。
　一方、シズルは御神楽埋蔵金を狙うならず者からこの村を守る警備の依頼を受けて、この村に来ていました。
　しかし、御神楽埋蔵金を狙うならず者は徒党を組んでおり、彼女達では防ぎ切れません。

「あの規模だと、あいつら、御神楽音楽堂を破壊して、その下に御神楽埋蔵金があるかどうか確かめるつもりだと思うわ」
「あたしのライブをあんな奴らに潰される訳にはいかないよ。あたしと何人かでバリケードを築けば、ある程度は持ち堪えられると思うわ。シズル、あんたはその間に蒼空学園に戻って騎兵隊を連れてきて欲しいの」
「……分かったわ。必ず騎兵隊を連れてくるから」
「安心して。あたしは歌でパラ実をシメるんだ。こんなところで無駄死にしないよ」

　シズルは小型飛空艇に乗ると、まだ包囲されていない村の西側から蒼空学園へ向かいました。
　残された瑛菜は、近くにいる生徒達に話し掛けると、村人を避難させると共にバリケードを作り始めました。

　初めまして、この度蒼空のフロンティアのゲームマスターになりました歌留多と申します。
　これからよろしくお願いいたします。

　今回の依頼は、御神楽埋蔵金を狙うならず者達から平和な村を守る、という内容です。
　ツァンダで起こっている事件ですので、蒼空学園の生徒は参加しやすくなっています。
　また、後述する理由からパラ実の生徒も参加しやすいですが、「御神楽音楽堂を見学に来ていて」「シズルから連絡を受けて」「俺も御神楽埋蔵金を探していて」等々、色んな理由で学校に関係なく気軽に参加していただけますと幸いです。
　瑛菜やシズルは新章の新入生ですので、最近始められた方も気兼ねなく参加できます。

　村を半包囲しているならず者達ですが、全員モヒカン姿のパラ実生です。その人数は３、４０人程です。
　スパイクバイクに跨り、血煙爪（チェーンソー）やアーミーショットガン、スパイクバイクに搭載した機関銃などで武装しており、統率者が居るようで組織立って行動しています。

　村の西側（ツァンダ側）は森になっており、瑛菜はそこに村人を避難させつつ、バリケードを築いてならず者達を迎え撃つつもりでいます。
　村は普段は長閑なので、柵などは村の境界線に気持ち程度にあるだけです。急拵えする必要があります。

　シズルは小型飛空艇を飛ばしてツァンダに戻り、騎兵隊ならぬコントラクター達を連れてこようとしています。
　しかし、往復する間に、確実に「１回」はならず者達の襲撃があります。

　参加される方は「最初から村にいる」か、「騎兵隊として駆け付ける」か、どちらかをお選び下さい。
　最初から村にいる方は、バリケード作りに村人の避難と、１回目の襲撃に備えるなど、とにかくやることは多いので、分担されると良いでしょう。
　騎兵隊として駆け付ける方は、基本的にはならず者達との戦いがメインになります。
　掲示板であいさつされる際、どちらを選ぶか併せて書かれると、他の参加者に分かりやすいと思います。

　なお、瑛菜のクラスはローグ、シズルはサムライです。２人にして欲しい行動があれば、アクションに盛り込んでいただければ反映できる範囲で実行します。

　無事にならず者達を撃退できれば、瑛菜は御神楽音楽堂でミニライブをやる予定です。

　しかし、本当に御神楽埋蔵金はあるのでしょうか……？

・村人を避難させる

・バリケードを築く

・騎兵隊としてならず者達と戦う

・俺達がならず者達だ、ヒャッハー！