シャンバラ教導団

　その日、トオルは、ザンスカールの森の散策から帰ってきた磯城（シキ）を見て目を丸くしました。
「何だそれ？」
「……落ちてた、んだが」
　戸惑いがちに、シキは答えます。
　シキが抱えていたのは、眠っている小さな子供――パラミタの地祇、ぱらみいでした。


「ぱらみいが来てるって？　そっちに行ってもいいか」
　トオルからのメールを見て、早川　呼雪（はやかわ・こゆき）が電話をすると、おー、来いよ来いよとトオルは明るく言いました。
「何か急ぐ旅でもないらしいし、地上に興味もあるみたいだから、プールでも連れて行こうかと思ってたところ」

　一方、セルマ・アリス（せるま・ありす）は、ヴリドラのことを考えて心を痛めていました。
　ヴリドラは結局、ナラカへ戻ってしまいました。
「パラミタに居場所がないなんて……そんなのは」
　何とか、ヴリドラのこれからの生き方を提案してあげられないだろうか、と。




　一条　アリーセ（いちじょう・ありーせ）の元に、ドワーフのアンドヴァリから連絡が届きました。
　近々、気分転換と何か面白そうな掘り出し物を探しに、皆でヒラニプラのジャンクヤードへ旅行に行く、というものです。
「何かオススメがあったら教えて欲しいが、無くても好きにやるから大丈夫じゃ」
という手紙に、本当に彼等は好きにやるんだろうな、とアリーセは苦笑しました。


　シャンバラ教導団では、情報科に異動した水原　ゆかり（みずはら・ゆかり）が、中佐に昇進した都築に提出する為の、今回の件の報告書をまとめています。
　彼は近々次の任務に赴くという情報があり、報告書も急がなくてはなりません。
「――トゥプシマティは当座、ルーナサズで保護。以上。と」
　カタ、とメールの送信ボタンを押して、ゆかりはふっと一息つきました。

　あの後、目が覚めたトゥプシマティは、リューリクが消滅したわけではないことを知り、ナラカに戻ると言っているようです。
　シボラの大穴から戻るには、共にいるヴリドラは騎乗に小さすぎる為、別の方法を探しているそうでした。




　ハルカは、光臣　翔一朗（みつおみ・しょういちろう）と、休日の計画を立てています。
　もうすぐ夏休み、色々なところへ遊びに行く相談をしつつ、一番最初に行くのはルーナサズでした。
　イルダーナのこともあり、一旦シャンバラに戻って来ていましたが、改めて訪ねようという話になっているのです。
「終わったら、ルーナサズでメシの約束をしとったしの」

　また、『門の遺跡』に向かったものの、そこまで到達できなかったハルカは、後日樹月　刀真（きづき・とうま）達から事のあらましを説明して貰っていました。
　刀真の説明する空の遺跡の話を、ハルカは興味深く聞きます。
　……カサンドロスに負けてしまったことは、あまり言いたくないことでしたが。


　そして、『門の遺跡』が破壊されて水没したことで、アキラ・セイルーン（あきら・せいるーん）はがっくりと気落ちしていました。
「空の遺跡に住みたかったのに……！」
「まあ、直ったら知らせてやろう」
　気長に修復作業にあたるというドワーフ達に、早く早くと急かしてみましたが、
「ただ壊れたんならまだしも、水没しちまったもんを一朝一夕で直せるか！」
と追い払われてしまったのでした。




　近く皇帝就任の祭りが行われる活気とは裏腹に、パートナー達から受けるであろう説教を先延ばしにして、新風　燕馬（にいかぜ・えんま）は、ルーナサズ観光をしていました。


　選帝神イルダーナは、未だ目覚めずにいました。
　既に身体の負傷は完治し、“結晶”の間から自室に移されています。
「もうじき目覚めるでしょう」
と、イルヴリーヒは見ています。
「兄の中にいる聖霊がダメージを受けて眠っていて、それに同調して、兄も眠っているのです。
　聖霊が完治して目覚めれば、兄も目覚めます」
　それでも、トゥレンはイルダーナの眠るベッドの側を離れないのでした。




　ジールは、帝都ユグドラシルへと帰りました。
　やがて訪れる皇帝就任式典のその日、彼女はひっそりと静かに、その式典を見つめていたのでした。

　このシナリオの素敵扉絵は、ナツサカ　スナ様に描いていただきました！


　このシナリオは、フロンティア・ヴュー最終回まで終わらせた時点で、
　もう１アクションやっておきたいことがある、という方の為のエンディングフリーシナリオです。

　最終回終了直後より、エリュシオン新皇帝就任式典より前までの時間軸で展開いたします。
　式典当日は、帝都ユグドラシルにいらっしゃる方もいると思われる為、他地方舞台の当シナリオでの描写はいたしません。
　シナリオガイドの最後の一行が、リアクションの最後の一行となる予定です。


　また、シナリオ本編にご参加くださいましたＰＣさんの内、何名かの方に、シナリオガイドに登場していただきました。
　こちらは、ガイドの内容の通りのアクションをかけなくてはならない、というものではありません。
　その後予定が変わった、としても構いませんし、気にせず自由なアクションをおかけください。

　九道のＮＰＣに関しましては、アクションをかけてくだされば出てきます。



　また、今回のシナリオに関わらなかったＰＣさんの、普通のフリーシナリオとしてのご参加も歓迎いたします。

　ザンスカールにある巨大プール施設、「ザンスカール・ウォーターパーク」につきましては、、
　某東京夏ランドのような感じと思っていただければ大体オッケーです。

　お気軽にどうぞ。


◇ＮＰＣざっくり状況説明

●都築少佐
　教導団にて休暇中のような、次の任務までの待機中のような。

●テオフィロス
　都築少佐のパートナー。同じく待機中。

●イルダーナ
　エリュシオン、ミュケナイ地方の選帝神。意識不明中ですが心配することなくリアの中で起きます。

●トゥレン
　元エリュシオン第七龍騎士団員。イルダーナが起きるのを待っている。

●イルヴリーヒ
　イルダーナの弟。ルーナサズにて行われる皇帝就任の祭りの準備中。

●ぱらみい（扉絵中央）
　パラミタの地祇。地上に来た早々昼寝していてシキに拾われる。

●リューリク（扉絵左から二番目）
　皇帝の墓場を脱走した、かつての時代の皇帝。ナラカへ帰還。登場しません。

●ジール（扉絵右から二番目）
　アスコルド大帝時代の元皇帝候補。帝都ユグドラシルにて、普通の生活に戻る。

●カサンドロス（扉絵右端）
　元エリュシオン第七龍騎士団副団長。ジールを送り届けた後、龍神族の谷へ戻る。

●リアンノン（扉絵左端）
　皇帝の墓所を護る黒龍騎士。リューリクを皇帝の墓場よりナラカへ還した後、ルーナサズに報告に行く予定。

●ヴリドラ
　“青眼の究極竜”の異名を持つ元ポータラカの八龍。三体の龍が究極合体して三頭龍となる。
　二体はリューリクと共にナラカへ戻ったが、一体は子猫サイズでトゥプシマティの元に残る。

●トゥプシマティ
　リューリクの臣下。魔道書。リューリク封印の後、置いて行かれて現在ルーナサズに保護されている。

●アンドヴァリ
　長生きドワーフ。修復するものが色々増えたので、気分転換にショッピングにでも行こうかなと思っている。


○ルーナサズ
　ミュケナイ地方首都。「龍の背山脈」の麓、山岳地帯森林部に位置する。

・やり残したことをやる

・とりあえず遊ぶ