シャンバラ教導団

「助けて！　アリシア」

　イルミンスール魔法学校、魔術科学専攻ベルバトス・ノーム教諭の研究室に、人魚のルファニー・ミセンスが駆け込んで来ました。

　ノーム教諭のパートナーであるアリシア・ルードは、かつて調査に同行した際に出会った彼女たち人魚に、「尾ひれを足へと変化させる薬」を定期的に提供していました。それでもその薬をもって変化させた足も、ルファニーの「必死に決死に駆け走る」には悲鳴を上げてしまったようです、倒れこんだ彼女の足は血で真っ赤に染まっていました。

「魚人たちが湾内を占拠してるの。みんなあんなに優しかったのに、急に人が変わったみたいに乱暴になって……　優しかった目も、みんな真っ赤に鋭くて」

　握る拳と体は脅え震えながらに、ルファニーの瞳からは涙が溢れようとしています。

　パラミタ内海のヴァジュアラ湾沖には、天を突く刀のような「青刀の双岩」と呼ばれる岩が海面から生えています。そしてそれを支える岩場では、歌声を奏でる人魚（♀）たちや、それに合わせて踊る魚人（♂）たちと触れ合う事ができるため、訪れる生徒たちも多いようです。アリシアは、人魚たちの歌声に合わせて踊る魚人たちの楽しそうな笑顔を思い出していました。

「お願い、みんなを止めたいの、だから、お願い」

　俯き繰り返すルファニーを見つめて、アリシアはノーム教諭を振り向き見ました。教諭はアリシアの視線を感じたのか、機械に向かう手を止めて言いました。

「いいよぅ、行っておいで」
「ですが……」
「数少ない友人は大切にしないとねぇ。あぁ、生徒たちを連れて行くんだろう？それなら私の名前を使って良いよぅ。たくさん集まると善いねぇ、くっくっくっ」

「ありがとう、アリシア。ありがとうございます」

　ルファニーは涙塗れの笑顔で、ノーム教諭にも深々と頭を下げました。その時に零れた鈴の音に、ノーム教諭の瞳が動きを止められました。

「それでは。行って参ります」

　調合した薬を持って、アリシアは湾を目指します。並び歩むルファニーの瞳が刹那だけ、鋭く真っ赤に染まったのを、アリシアは気付く事ができませんでした。

　水も滴る良い”ひととき”を。
　ようこそ、ゲームマスターの古戝正規です。本シナリオは全２回の１回目となります。

　湾内で暴れている魚人は、岩をも砕く屈強な肉体で水中を鮫よりも速く泳ぎます、また少数ですが氷術を使える者もいるようです。水の中なら格闘や剣撃の速さと重さは奪われる、空を飛んでいるなら水中からは格好の的となってしまう。何とも手ごわい相手ですね。
　
　参加するＭＣとＬＣには１錠ずつ、アリシアが調合した「含気薬」の錠剤を支給します。服用する事で、５〜１０分の間、水中でも息をする事ができるようになります。

　湾内には幾つかの浮き島が、また湾底には魚人たちの住処がある洞窟が存在します。戦う場所がアクションに大きく影響することでしょう。
　
　美しい湾内での激しいバトルとミステリー。書き描く私の胸は既に強く大きく高鳴っています♪

　水中戦（水中戦）をお楽しみ下さい！　ご参加をお待ちしております。

・魚人と戦う

・魚人たちの住処（水中洞窟内）に潜入する

・ルファニーを尾行する