百合園女学院の一番大きな温室を管理している、オーバタ・マナーブ(62)が、生徒達にお願いをしてきました。
美しい七色の花が咲く球根が手に入ったので、その栽培日誌をつけてほしいとのこと。
育て方の違い等を調べたいということで、人員の募集をかけました。
「成長促進剤を使うから、一週間で花がひらくと思うぞ」
「はい」
「ただ……」
「?」
「大きくなると顔が……」
「……顔????」
「まぁいいか。とりあえず愛情かけて育ててくれ。温室は開けておくから、自由に出入りして構わないぞ」
「…か、顔って何だろう……?」
渡された球根は、どろどろしていて、まるで腐っているかのようです。
そして虫に食われたんじゃないかと思う程、穴がそこらじゅうに開いています。
はっきり言わなくても気持ちが悪いです。
こんな不気味な球根から、
七色の美しい花が咲くのでしょうか??
「ちょっと大きくなり始めたら、肥料を変えてもいいかな。お菓子なんかも喜んで食うと思うぞ」
「お菓子??」
不思議な言葉を残して管理人さんは去っていきました。
生徒たちの手に渡った、五つの球根。
ぼこぼこクレーターだらけの、気味の悪い球根。
果たしてどんな結果が待ち受けているのでしょう──??
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
温室の入り口から少し行った所の一画を使って、栽培を始めます。
五つの鉢を横一列に並べ、水と肥料を与えながら世話をしていきます。
この温室には、管理人さんが我が子のように可愛がっているケルベロス君、タネ子さんがいます。
ケルベロス君は温室の番犬。
そして中には巨大はまぐりのような頭を三つ持つ、巨大食虫花のタネ子さん。妙な動きをすると喰われるので気をつけましょう。