シャンバラ教導団

「へっくしょぉんっ！！」

「ズルズルズル……」

「うー、かゆいー」

　春が近いようでちょっと遠い、そんな蒼空学園では、現在、花粉症が大流行しています。
　昨年までは平気な顔をしていた生徒も、今年はちょっと辛そうです。その理由は薬が効かない事にありました。
　原因はツァンダの街の近くの山に群生している「百年草」が花をつけた事にあるようです。
　百年草とはその名の通り、百年に一度白い花をつけて枯れていく、人の膝下くらいの背丈の植物です。その群生が一度に花をつけた事により、蒼空学園の生徒達も、目の痒みや鼻水、鼻づまりに悩み、しかも、プラスアルファで種族ごとに異なった症状が出ているのです。
　（これらはマスク等で軽減させる事も可能です。）
　現在確認されている症状ですと、ヴァルキリー・守護天使・英霊は、くしゃみをすると突風が吹く。
　剣の花嫁・アリス・ハーフフェアリー・地祇は、目が痒く、涙目か涙が止まらない。
　魔女・吸血鬼・ドラゴニュート・魔道書・精霊は、鼻づまりで声が通らず魔法が使いにくい（成功確率は普段の半分程）。
　獣人も鼻づまりと鼻水で、鼻が効かない。
　機晶姫は、性能が大幅ダウン。
　シャンバラ人・ゆる族は上記のどれかにランダムでなるそうです。

　しかし、百年草が咲くのは、ほんの数日の間だけです。昨日、やっと花をつけた百年草のため、ここは何とか我慢しようという声が生徒達から上がりました。
　というのも、百年草は研究材料としても貴重ですが、白い花の美しさと「永遠の愛」という花言葉から、異性へのプレゼントとしても人気が高いものです（当然ではありますが、相手が花粉症だと嫌がられます）。

「永遠の愛、ねぇ……花言葉やプレゼントには興味無いけど、研究材料として東洋魔法の教師達から採取の希望が届いているのよね」
　御神楽　環菜（みかぐら・かんな）は、東洋魔法を教えている教師達から提出された百年草の写真資料を弄っています。
　次の百年草の開花に備えて新たな治療法を研究したい、という申し出があったようです。
　また、一部の生徒は百年草を写生しに行くツアーも企画しているようです。

「蒼空学園の生徒にはぁ、百年草は一本も採らせませぇん！！」

　と、校長室に怒鳴りこんできたのはエリザベート・ワルプルギス（えりざべーと・わるぷるぎす）です。

「環菜ぁ、どっちの生徒が多く百年草を採れるかぁ、勝負するですぅ！！」
「勝負？　面倒よ」
「ふふん、私に負けるのが怖いんですかぁ？」
「……そこまで言うなら受けてあげるわ。そうね、百年草の花言葉にちなんで、負けた方が勝った方の生徒にキスの祝福をするというのはどうかしら？」
「キ、キスですかぁ？」
「あら、嫌ならいいのよ」
「う、受けて立つですぅ。今度こそ吠え面掻かせてやるですぅ！！」

　売り言葉に買い言葉、勝負を吹っ掛けたエリザベートは逆に環菜から罰ゲームを決められてしまいました。

　環菜かエリザベートに協力して百年草を手に入れるもよし。
（他校の生徒も環菜もしくはエリザベートに協力する事が出来ます）
　個人的に採りに行き、パートナーに渡してもよし。

　花粉症というハンデを乗り越え、冬眠明けの熊や狼といったモンスターが出没する山へ、頑張って百年草を採りに行ってきてください。

　こんにちわ！　深池　豪（みいけ　ごう）と申します。
　私自身、数年前から花粉症にかかり、この季節は心身ともに憂鬱な気持ちで過ごしております。春なのに……。


　さて、今回のシナリオは、そんな花粉症にまつわるお話になります。
　百年に一度、白い花をつける百年草。
　その花粉症で満足に力を発揮できないまま、環菜とエリザベートの勝負のため、はたまたパートナーへのプレゼントのため、さらには写生大会のため等々の理由で、百年草の採取に向かわねばならなくなった生徒達を軸に話は進みます。

　尚、「花粉症にならない」生徒もごく少数ですがいます（ご自身がそうだとおっしゃる方は、アクションの手段の最初に【非花粉症】とお書き下さい。（ただし、「イキナリ」花粉症になる事もあります、ご注意下さい！）
　また、花粉症で上記の種族ごと以外の症状をお持ちの方は、お手数ですがアクションの手段の最初に【追加症状】と書いて頂き、今お悩みの症状をできるだけ詳しくお書き下さい。

　百年草の群生は、ツァンダの街の近くの山の中腹にあり、一人の魔法や剣の一振りでは全滅しない程度の数があるものの、咲いているのはごく一部のみとお考え下さい。
　また、道中に出没するモンスターは、花粉症で本来の力を出せない身では随分手こずる事でしょう。

　皆さまのアクションを、心よりお待ちしています！！

・百年草を採りに行く

・百年草の採取を阻止する

・仲間達と花粉症の威力で遊ぶ

・環菜と百年草を採りに行く