シャンバラ教導団

　――イルミンスールの森。

「……」

　鬱蒼と木々が生い茂る中を十二星華の１人、蠍座（シャウラ）のパッフェル・シャウラ（ぱっふぇる・しゃうら）はライフルを構えて走っています。

「……！」

　止まっては構え、また走り出し、止まっては構え、今度はくるりと後ろを振り返ります。

「……良い感じ、ね。次は……」

　ライフルを下ろしたパッフェルが向かった木の根本には、他にもライフルがごまんと立て掛けてあります。
　いずれも本物ではなくエアーガンです。
　彼女の趣味はサバイバルゲームで、先月、秋葉原にエアーガンを買いに行き、今買ってきたものの取り回しなどを一挺一挺確認しているのです。

「……！？」

　新たなエアーガンを取ろうとしたパッフェルは“その”気配に気付き、手に光条兵器の星銃パワーランチャーを顕現させ、“それ”に銃口を向けます。
　銃口には光条兵器の粒子が集まり始め、いつでも光弾が撃てる状態です。

『待つのだ純潔なる乙女よ』
「……あなたは、ユニコーン？」

　しかし、そこにいたのは美しい白い毛並みを持つ一頭の馬でした。しかもその額には螺旋を描く角がそそり立っています。
　ユニコーンと呼ばれる幻獣です。ユニコーンは誇り高く、勇敢な性格をしており、理由もなく人を襲うことはあまりありません。
　パッフェルはパワーランチャーを下ろしました。

『純潔なる乙女よ、私の願いを聞いてはくれまいか？』
「……私で、出来ることなら」
『ありがとう。私の角が万病に効くことは知っているであろう。今、私の角を１人の乙女が狙っている。何でも不治の病にかかった妹を助けるためだとか』
「……この女の子を、角を取らないよう説得しろ、というの？」
『否。その乙女を助けて欲しいのだ』
「……助ける？」
『私と対になる存在、バイコーンが彼女を拐かし、連れ去ってしまったのだ』
「……バイコーン、二角獣、不純を司る存在……でも何故？」
『分からぬ。私の角はかの乙女以外にも以前より狙われていたが、未だ取られてはおらぬ。私を狙う乙女が諦めたのだと思っていたが……少し前より邪悪な気配の者達がこの森に入り込んでおり、バイコーンと接触していることを突き止めた。かの乙女同様拐かされたのかも知れないのだ』
「……（このユニコーンがダシに使われているかも知れない、ということね）……分かったわ、私の方でも調べてみる」
『ありがとう、純潔なる乙女よ。かの乙女はまだ森を出ていないようだ。どこかに捕らわれているやも知れぬ』
「……その代わり、私の願いごとも、１つ聞いて」
『私に出来ることなら』
「……この辺り一帯は、あなたの縄張りよね？　後で、サバゲーさせて……」


　パッフェルは人手が必要だと思い、早速知り合いに電話をかけ始めました。
　同時に十二星華の１人、天秤座（リーブラ）のティセラ・リーブラ（てぃせら・りーぶら）にも連絡を入れ、蒼空学園を始めとした各学校の掲示板にも依頼書を貼ってもらう手はずを整えました。

　こんにちは、または初めまして、古戝正規です。

　パッフェルからの依頼で舞台はイルミンスールの森ですが、各学校の掲示板にも依頼書を貼り出していますので、面識がなくても気軽に参加できます。
　また、万病に効くユニコーンの角の噂を聞いた、といった理由でも参加できます。

　万病に効くというユニコーンの角を求めていた女の子達が、何物かに連れ去られているらしい事件がイルミンスールの森で起こっています。
　パッフェルの見立てでは、このユニコーンを利用した犯行ではないか、ということです。
　しかも、それを行っているのはバイコーンと邪悪な気配の者達（パラ実生？　鏖殺寺院？）のようです。
　ユニコーンの角を狙うくらいですから、女の子達は全員純潔な乙女ではないかと思われます（余談ですが、パッフェルもそうらしいですね）。
　バイコーン達の狙いは何なのか？　そのあたりを予想しながら対応策を立てられるといいと思います。

　パッフェルも同行しますので、アクションに盛り込んで頂ければ必要な役割の人手として使用できます。

　なお、イルミンスールの森の中は、動物以外の乗り物（小型飛空艇やバイク系）に乗って移動するのは、遮蔽物が多いのでかなり危険が伴います。ご注意下さい。

　それと、ユニコーンやバイコーンがテレパシーで人語を解すのは、本シナリオのみのルールとさせていただきます。
　ご了承下さい。

・囮役を買って出る

・囮役を護衛する

・俺が純潔な乙女を攫う！