シャンバラ教導団

　ＧＷも過ぎ、各学校の新入生もその生活に慣れ始めた頃になると、シャンバラ教導団では毎年恒例のイベントが行われます。それは新入生にとっては必ず受けねばならない、いわば洗礼と言ってもよい行事で、これを体験して初めて教導団の一員になれる、とまで言う教官がいるほどです。
「行軍？」
　新入生の一人、情報科の金元　ななな（かねもと・ななな）は鸚鵡返しに尋ねました。同じく参謀科の新入生・小暮　秀幸（こぐれ・ひでゆき）は頷きました。お昼時、食堂でのことです。
「軍事教練の一つだ。四十キロの荷を背負い、五十キロの道のりをひたすらに歩く――」
「四十キロ！？　それもう、人一人背負ってるようなもんじゃないの！？　しかも五十キロも歩くの！？　無理だよ！」
「地球上と違って我々の体力はＵＰしているから、可能だ。脱落する確率は――」
「いい、いい。可能だって言うなら、出来るんだろうし」
　秀幸は、何でもパーセンテージで表現する癖があります。なななは面倒になって、それ以上の説明を拒否しました。
　しかし、
「――四八．九パーセント」
「半分？　そんなに？　歩くだけで？」
「それが歩くだけじゃないんだなあ」
　レオン・ダンドリオン（れおん・たんどりおん）がカレーてんこもりのトレイを持って、なななの前に座りました。秀幸がさっと立ち上がり敬礼するのを、レオンは構うな、と手の平をひらひら振って座らせました。
「オレも去年参加したけどな、何ヶ所か面倒な場所があって、しかも先輩たちが攻撃してくるからそれをかわさなきゃならない。失敗するとハイサヨナラ、ってわけだ」
「攻撃、って」
「空から爆弾とか、地面から突然出てきたり、寝込み襲われたり、色々だ」
　カレーライスを頬張りながら、レオンは指折り例を上げました。
「それ、洒落にならないんじゃ」
「死にゃしないよ。他校生もいることだし」
「いいの？」
「希望者がいれば、オブザーバーとして参加できることになっている」
と、秀幸。
「今年はどうだろうな」
　レオンはニヤニヤ笑いながら、水でカレーを流し込みました。


　数日後、詳細が発表されました。
・スタート時間は１２００（昼の十二時）。ゴール予定時間は、翌日の１２００。
・四十キロの荷（レーション、着替え等。重さが足りない場合は、雑誌を詰め込む。水筒、装具、銃器は別）を背負い、約二十四時間をかけて五十キロを歩く。
・途中、以下の障害がある。
　１．十キロ歩くと流砂。
　２．そこを抜けると、十キロ四方の何もない平原。
　３．更に十キロ四方の森（ここでは野営を行う。夕食の調達も現地でとする。朝食はレーションとする）
　４．最後に崖と急流がある。
　５．残りを歩くとちょうど五十キロ。
・途中で上級生が攻撃を仕掛けてくることもある。対応できなかった場合、一名ないし二名がランダムで脱落する。
・最後まで辿り着き、特に活躍した生徒（シャンバラ教導団に限る）には、「少尉」の称号を授ける。


「なななは情報科なんだけど、やっぱり参加しなきゃ駄目？」
「敵地に潜入する際には、必要なスキルだろう」
　秀幸に言われ、なななは肩を落としました。
「頑張れよ、お前たち。オレが全力で邪魔してやるからな」
　レオンは機嫌のよい笑顔を浮かべ、言いました。　

　さあ、新入生諸君！　ひたすら歩け！　地獄の五十キロ！　お待ちしております！（もちろん、上級生も！）

　教導団の皆様、お久しぶりです。泉　楽（いずみ・がく）です。
　今回の話は、ちょっと遅ればせながら新入生に向けたシナリオとなります。イベントシナリオじゃないけど。参加者は、行軍チームと攻撃チームに別れます。どちらかを選んで、アクションをかけてください。以下、注意点です。上記とかぶる部分もありますが、よく読んでください。

○行軍チーム
　・階級に限らず、全ての新入生（秀幸となななは少尉ですが、新入生なのでこちらです）と上級生で歩きたい者、または他校生。階級に関わらず新入生と他校生は、攻撃チームに回れません。注意してください。
　・攻撃チームの攻撃をかわすために、アクションにスキルを二つ書いてください。どんな攻撃が想定されるか想像するといいでしょう。それに対抗するためです。誰も対応できなかった場合、ランダムで脱落者が出ます。
　・五ヶ所の難所（流砂、平原、森、崖、急流）の、特に活躍したいと思う場所で、どのような行動を取るか書いてください。行軍チームはバトル以外ではここで目立ちます。

○攻撃チーム
　・攻撃チームは上級生のうち、少尉以上か、「あいさつ掲示板」でサイコロがぞろ目であった者に限ります。ただし、ぞろ目であっても行軍したければそちらで構いません。また、少尉以上のキャラクターは、アクションを掛ける際必ずその称号を表示しておいてください。称号が表示されていない場合、尉官と確認できないため、強制的に行軍になります。
　・どのタイミングでどのような攻撃を仕掛けるか、どんなスキルや罠を使うか、なるべく具体的に書いてください。攻撃チームは、ここが一番目立ちます。
　
　ＭＣとＬＣが別れても問題ありませんが、連絡を取り合うことは不可とします。
　ＮＰＣ三人は参加予定ですが、人数次第では出番がないことになります。ＮＰＣに頼ったアクションは、なるべく避けてください。
　なお、教導団のどの辺にそういった土地があるのか、というツッコミはスルーします。考えないように！

・行軍チームとして、何か色々やってみる（新入生及び下記以外の上級生）

・行軍チームとして、何か色々やってみる（他校生）

・攻撃チームとして行軍チームへ攻撃する（少尉以上及びあいさつ掲示板でぞろ目を出した上級生）