シャンバラ教導団

　シャンバラ大荒野の端、ヒラニプラにほど近い街の地下に古王国時代の遺跡が発見されました。
　先行した調査隊はその内部で巨大構造物、10メートルほどの人工結晶を発見します。
　残された資料から、それが「夢を見る匣」と名付けられた古代兵器であることが判明しました。

　後日。その遺跡は鏖殺寺院によって占拠されてしまいます。


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「シャンバラ政府に拘束された政治犯、『同志』五十人の無条件解放。……このような要求、呑める道理がないであろう」

　シャンバラ教導団団長金　鋭峰（じん・るいふぉん）は声明文に目を通して舌打ちしました。
　テロリストの手管は非常に効率的と言えます。
　発見されて間もない、周囲に大きな被害を与えかねない『危険物』の情報をいち早く入手し、警備人員が配置されるより先に、遺跡内部の重要拠点を制圧、調査員は人質にするまでもなく全員を解放――そもそも、この『兵器』を手にした時点で街一つ丸ごとが人質となります。美意識すら感じるほどの無駄のなさですが――

「要求が非現実的に過ぎるのだよ」

　こんな要求が通ってしまってはシャンバラの司法が破綻するでしょう。
　あくまで現実的な悪意によって行動しておきながら、言動は夢物語と言えました。

「…………」

　『これ』に真っ当な交渉が通用するだろうか、と鋭峰は指揮官として、胸騒ぎを抑え思考を巡らせます。
　ともかくとして、鋭峰は契約者たちへの協力要請を部下に命じるのでした。


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「リーダー……本当にこの作戦、上手くいくんスよね？」

　テロリストの一人が、鼻歌交じりに銃の手入れをする男に向けて不安そうに話しかけます。

「当たり前だろ？　コイツを爆発させて生まれる被害は人間だけでも数十万人。ついでにヒラニプラは機能停止だ。
　こっちの要求はたかだか五十人の自由。教導団団長サマも引き算くらいはできるだろうよ」

　爆発の規模からすれば、ヒラニプラを含める広範囲の人間が、その地域に足を踏み入れるだけで昏睡状態となることでしょう。
　とはいえ口にしている理屈は前提からして異常なのですが、奇妙なまでの説得力に問うた男は口をつぐんでしまいます。

「でも、遺跡の中で変な幽霊を見たって話もありやすし……」
「不安になるなよ。折角の祭りだ、楽しまなきゃ損だぜ？」

　多くの人間を恐怖に陥れておきながら悪戯をする子供のような口調。
　彼らは『リーダー』の能力そのものは信用していましたが、その人格については理解が及びません。
　同志を救うため。その大義を、盲目的に信じるしかありませんでした。

「……そう、祭りだ。さて、今回は誰が何人死んでくれるかな……？」

　だから、彼の狂気を含んだ呟きを聞き咎める者はいませんでした。


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　遺跡内部を、『幽霊』の少女は独り彷徨っています。

「……お…………ン…………」

　意味を成さない言葉。誰にも届かない言葉。
　匣の中に、啼くような音が響きました。

今回は鏖殺寺院のテロリストの制圧、及び古代遺跡、『夢を見る匣』の奪還が目的となります。
『夢を見る匣』は中心から10km圏内の人間を、地上地下問わず昏倒させる粒子を撒き散らす爆弾です。
解析不能な物質によって脳機能が阻害されるため、現時点で被爆者の治療手段はありません。
起動から臨界に達するまでは20時間程度。爆発してしまった場合、その地域は50年以上の時間、人間の住めない地になるでしょう。
テロリストを制圧しても、爆弾が起動してしまった場合、解除にはパスワードが必要になります。

遺跡を歩き回る少女は神出鬼没であり、その行動には予想がつきません。
接触した調査員の一人が『夢を見る匣』の被爆状態と似た昏睡状態に陥り、現在も入院中です。

テロリストのリーダーは異常性を抱えた人物ですが、周囲のメンバーは説得に耳を貸すかもしれません。
また、遺跡内部を探索すれば、兵器に関する情報の資料が手に入るでしょう。

・テロリストの陽動作戦に参加する

・テロリストと交渉する

・テロリストのリーダーを倒す

・遺跡内部を探索する