百合園女学院

「校長、聞いて下さいっ」
　怪盗舞士からラズィーヤ・ヴァイシャリー（らずぃーや・う゛ぁいしゃりー）に予告状が届いた数日後、百合園女学院の校長室にミルミ・ルリマーレンという生徒会執行部に所属する生徒が駆け込んできました。
　ミルミはあどけない顔立ちの泣き虫なヴァルキリーの少女です。彼女は執行部長である桜谷鈴子（さくらたに・すずこ）のパートナーでもあります。
「うちにも、怪盗舞士の予告状が届いたんですっ。犯行予告日はラズィーヤお姉さまと同じ日なの！」
「え？　何が狙われてるの？」
　お茶を淹れる手を止めて、桜井静香（さくらい・しずか）が問いました。
「うちの別荘の地下にしまってある秘宝『麗しき乙女』を狙ってるんだって。でも、そんな秘宝のことなんて誰も知らないの。その別荘ずっと使ってないし。変に騒ぎになるのも嫌だから、別荘壊しちゃおうって話になってるの。それでね、もしホントに秘宝があったら工事の人にあげちゃおうかと思ってるの」
「そっか。秘宝に心当たりがないのなら、それがいいかもしれないね」
　ミルミはこくりと首を縦に振りました。
「家の執事が見にいたらね、すんごく汚れてて、湿気もすごくて、ゴキブリとか、鼠が繁殖してて、大量のゴミも散乱してたみたいなの。大きな別荘だから人手が沢山必要なのっ。ちょっと学校休むことになるかもしれないけど、お友達の高原瀬蓮（たかはら・せれん）ちゃんとか、あと白百合団のお姉さま達も誘ってもいい？」
「うん、団長と副団長はヴァイシャリーのことで忙しいけど、役職についてないメンバーだったら大丈夫だよ」
「ありがとっ。学校の外でも協力してくれる人探してみるね」
　ミルミはぱああっと顔を輝かせて飛び出していきました。

　しかぁし――！
　その別荘には、他にも厄介な害虫が住みついていたのです！
「何ぃ！　俺等の基地であるここをブチ壊すだと！？」
　シャンバラ人のリーゼントの少年ブラヌ・ラスダーが怒声を上げました。
「しかも奴等、俺等のことを害虫扱いしやがった。百合園の女達が、ゴキブリだとか、蛆虫だとか、社会のゴミだとか、散々吹聴して回ってやがる！」
「くっ、百合園のメス豚共が宣戦布告してきやがったか！　おちこぼれ、不良と言われ続けてはきたがッ、こんな街から離れた場所でさえ、俺等の存在を認めねぇってわけか！」
　ブラヌはダンと壁を殴りつけました。
「てめぇら、俺等の城を死守するぞ！　まずは、別荘の周りに奴等が攻め込めねぇようなドデカイ穴を掘る！」
　うぉぉぉぉぉぉーーーー。
　数十人の少年達の雄叫びが木魂しました。
　噂を聞いたオツムの悪い不良さん達は、どうやら自分達が害虫、ゴミと言われていると勘違いをしてしまったようです。
　彼等は自分達の城を死守するつもりのようです。ただ、勿論彼等にこの別荘の所有権はないので、不法占拠でしているわけですが。
　ゴミを散乱させたのも彼等なわけですが。害虫が増えているのも、そのゴミのせいなのですがッ。
「兄貴ぃ！　飛んで攻めてくるヤツがいるかもしれねぇ、バルコニーに罠を仕掛けようぜ！！　相手が女でも容赦はしねぇぇぇぇ！！」
「寧ろ１人２人攫ってこようぜ、甚振って思い知らせた挙句、身代金たんまり奪ってやるぜ！！」
　脳みそが沸騰している彼等には、何を言っても通じなさそうです。いえ、もともと理屈が通じる相手ではありません。
　そう彼等にとっての平和的解決とは、意識を失うまで戦り合うことなのです！

　それから、最後にとても大事なことを１つ申し上げておきましょう。

　彼等にとって、ゴキブリ、鼠は、大切な友達であり非常食です。

こちらは、百合園女学院キャンペーンの２本目です。百合園女学院のキャンペーン扱いではありますが、どの学園の方も大歓迎です。
所属学園関係なく、ふるってご参加いただければと思います。

舞台はヴァイシャリーから少し離れた、川沿いの泥沼近くの別荘になります。
あたりには雑草が生い茂っています。樹木はちらほらと立っている程度です。

こちらのシナリオは『コメディ』です。
真面目に解決を目指していただいても構いませんが、『コメディ』ですので、すんばらしい作戦よりひたすらオバカな作戦の方が成果が得られると思われます。

ＰＣ達は、基本的にミルミやミルミの友達と一緒に別荘に向かうことになります。開始の段階では不良が巣くっていることは知りません。
初回は調査。及び別荘への進入を目指します。
巣くっている不良さん方は、パラ実生もいますが、様々な学校のおちこぼれ達です。
多分戦闘になるでしょう。ならないわけがありませんっ。

【百合園女学院生の方へ】
生徒会執行部には自由に所属することができます。
所属希望と申し出てくだされば、称号を発行させていただきます。

【お知らせ】
百合園女学院のキャンペーンは、２部構成となっております。１部（前編）「狙われた乙女」は全３話、２部（後編）は全５〜６話を予定しています。
且つ、前編の「狙われた乙女」は、ヴァイシャリー編と別荘編の２分割となります。既にヴァイシャリー編の方ご参加いただいた方は、こちら別荘編への参加はご遠慮下さい（物語が同時進行となるため）。万が一間違って参加された場合は、ヴァイシャリーで皆を見送るなどの行動のみ、採用させていただきます。別荘への同行は無理です。

・解体工事に協力する

・皆のお世話をする

・俺はゴミじゃねぇ！