百合園女学院

葦原明倫館。

「ハイナさん、私はマホロバへ戻らねばなりません」

「……大奥でありんすね」

「ええ」

総奉行のハイナ・ウィルソン（はいな・うぃるそん）とそのパートナーの葦原藩の当主、
葦原房姫（あしはらの・ふさひめ）は真剣な面持ちで話しこんでいました。

葦原藩はシャンバラ再興の悲願を達成するために、
葦原明倫館をシャンバラまで移しています。

また、アメリカとの交易の許可など、
鎖国をしているマホロバの中で特別な扱いを受けているのです。

「葦原藩と将軍家は共に天下統一を行った間柄。

東西に分裂したとは言えシャンバラが再興し、私から神子の力が失われた今、
次は私が将軍家を救わねばなりません」

将軍家は現在苦境に立たされています。
エリュシオンの助力を得た西国の瑞穂藩の影響力が強まっているのです。

瑞穂藩は将軍家が世継ぎを作るために設けた大奥に、
藩主の娘睦姫（ちかひめ）を送り込んでいます。

「睦姫は金髪の巻毛が美しい、容姿端麗な方と聞いております。
睦姫が将軍の心を掴み、次期将軍を托卵される前に何とかせねば……」

マホロバ将軍は桜の世界樹扶桑の化身である天子よりマホロバを統治する力を預かっています。
その血筋は通常の人間とは違い、卵の形で次の世代に引き継がれるのです。

マホロバ将軍の心を射止めた者は卵を産み、
一ヵ月後に卵から次代の将軍が孵ります。

「将軍の幼馴染の房姫なら、世継ぎを産めるでありんす！

だが、それだけで不安なのも事実……そうざんす、
明倫館から有志を募り、大奥に入れるでありんす。

胸の小さいティファニーも十分候補になるでありんす」

現マホロバ将軍の鬼城貞継（きじょうさだつぐ）は英明な君主の片鱗はある物の１５歳と若く、胸の大きな女性を“牛鬼”と忌み嫌うという噂です。

そしてハイナは、マホロバ城下に明倫館の分校を築くことを決定し、
城下や房姫たちの警備を行う生徒たちと、大奥に入る女生徒たちを募集しはじめたのです。

分校長は大奥にも入るティファニーに任せることにしました。

また、大奥はともかく、
分校の生徒についてはシャンバラの他の学校でも問わないと定めました。

葦原藩からマホロバ城への道中や、マホロバ城下で、
房姫を狙う瑞穂藩士の存在が確認されているためです。

それに対抗するためには強力な他校生の力も必要と考えたのです。

マホロバ城。

「鬼鎧（きがい）千機を持って、
天下を統一した将軍家の威光も地に落ちたものだな。

今では瑞穂の増長を抑える事も出来ぬ」

将軍は力なく呟きました。

「太平の世が鬼鎧を必要としなかったのです。
ですが、“鬼の祠”に向かえば鬼鎧の復活も可能かと。

邪鬼どもの巣窟ではございますが……」

「ふむ。ではその任務、葦原藩に任せるが良い。
鬼鎧は葦原の力なしには作りえなかったのだ。

房姫ならばやってくれよう」

将軍は信頼のおける老中に房姫への連絡を命じました。
将軍といえど、瑞穂の力に正面から立ち向かうことは出来なかったのです。

葦原明倫館のメインシナリオとなります。
タイトルにもあります通り、マホロバの大奥が主要舞台になりますが、
展開により舞台は広がっていく予定です。

抽選上は明倫館の生徒が有利ですが、他校生も参加できます。
ただし、他校生の方は、大奥に入って将軍から託卵されませんのでご注意ください。
その他は特に行動の制限はございません。

今回ＰＣの出来る行動の大枠は、

・葦原藩からマホロバ城までの房姫の警護
・房姫と共に大奥に入る
・鬼の祠の探索

となりますが、他にもシナリオから大きく逸脱しない限りは行動可能です。

シナリオに参加したＰＣは基本的には、
明倫館のマホロバ城下分校に所属していることになります。

また、大奥に入った場合も規則を守れば出入りは自由ですが、
将軍から託卵された場合は制限がかかるかもしれません。

それでは、よろしくお願いいたします。

・房姫を瑞穂藩士から守る！

・自分が将軍の子を産む！

・鬼の祠に向かう